連載コラム

第103回 高齢者マーケット向けFCの最新トレンド

[ 2017年5月29日 ]

■日本の高齢化状況

 厚生労働省がまとめた平成28年版厚生労働白書によると、日本の高齢化率(65歳以上の人口割合)は1950年時点では5%に満たなかったが、2015年には26.7%へと急激に上昇している。また、今後の見通しでは2060年には39.9%となり、国民の2.5人に1人が65歳以上となる見込みである。高齢化率を欧米及びアジアの主要国と比較した場合、日本の高齢化率は主要国の中で最も高い水準であり、推移としては世界に類を見ないスピードで進展している。世界各国にとって高齢化は極めて重要な課題ではあるが、その先陣を切っている日本の対応については、グローバル社会が極めて高い関心を寄せている。

【年齢3区分別人口及び高齢化率の推移】年齢3区分別人口及び高齢化率の推移出所:厚生労働省「平成28年度版厚生労働白書(概要版)」より

【欧米・アジアの主要国における高齢化率の推移】欧米・アジアの主要国における高齢化率の推移出所:厚生労働省「平成28年度版厚生労働白書(概要版)」より

■高齢者マーケットに向けたFCのトレンド

 前述した市場背景の中、介護・医療を始めとした高齢者マーケットに向けたビジネスは拡大しており、FCを活用し事業展開を図る企業も増加傾向にある。今回は高齢者マーケットに向けたFCとして、現時点で加盟店募集が多く見受けられた「デイサービス」「訪問医療マッサージ」「配食サービス」の3業態について、事業概要やFC加盟に関するポイントをまとめる。

1)デイサービス

 デイサービスとは、通所介護と呼ばれ、利用者へ送迎付きで食事・入浴・レクリエーション・リハビリなどのサービスを提供する事業である。利用者の在宅生活の支援、社会的孤立感の解消などに加え、介護をする家族の身体的・精神的負担の軽減が主な目的となる。提供するサービス内容は本部によって様々であり、一般的な食事・入浴・レクリエーションなどのサービスを提供する一般型や、入浴サービスに絞った入浴特化型、体操やマシントレーニングなどによるリハビリ特化型などのビジネスモデルがある。通所介護の事業所数は介護サービスにおいて最多であり、競争は激しい。介護サービスを個人で一から事業を立ち上げ、他社との競争に勝っていく事は容易ではない為、競争力のあるFCに加盟し、本部のノウハウやマニュアルを活用する事は、事業を軌道に乗せるための手段の一つと言える。

2)訪問医療マッサージ

 訪問医療マッサージとは、医師の同意に基づき、按摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ施術者が利用者宅へ訪問し、機能訓練も含めた医療マッサージを提供する事業である。医療上必要なマッサージは健康保険の対象となり、利用者は1割~3割(1回あたり300円~500円程度)の負担でサービスを利用出来る。利用者の経済的負担が小さいことから、継続利用が見込めるサービスである。FC加盟後の運営方法としては、加盟者自身が施術者兼経営者として利用者宅への訪問・施術を行うものや、加盟者は経営に専念し、施術は採用した従業員が行うものなど、自身のスキルや希望する働き方に応じた事業運営が可能となっている。事業を成長させるためには新規顧客の開拓に加えて、施術者を安定的に確保する事が重要となるが、施術者の採用を支援してくれるFC本部もある為、本部がどこまで支援してくれるのかはしっかりと確認しておきたい。

3)配食サービス

 配食サービスとは、高齢者の夫婦世帯や一人暮らしのご自宅にお弁当をお届けする事業である。身体的な機能低下により食事の用意が困難となった方々に向けて、営業バランスのとれた食事を提供することで健康的な生活をサポートする事が主な目的となる。また、配食サービスは単にお弁当を配送するだけでなく、利用者の安否確認などの見守りサービスの側面を持つことから、利用者自身のみならず、遠方に暮らす家族にとっても重要な存在となっている。FCのビジネスモデルとしては、FC本部で調理済みの食材を加盟店に配送し、加盟店は注文に応じて食材の盛り付けと配送のみを行うといったシンプルなビジネスモデルである為、業界未経験でも比較的事業を始めやすい業態の一つである。

■高齢者マーケット向けFC加盟にあたって

 前述の通り高齢者の増加に伴い、高齢者マーケットは拡大傾向にある。しかし、拡大するマーケットには参入事業者も多数存在する為、競争は激化するのが常である。また、今回取り上げた3つの業態で留意する点としては、立ち上げ時の集客にある程度の時間を要する事である。具体的にはデイサービスでは、集客を担うケアマネージャーとの信頼関係を築く事が必要であり、訪問医療マッサージや配食サービスでは、利用者に対し提供するサービスの認知度を高める事が必要となる。
 尚、介護サービスに関しては、介護保険制度の影響が非常に大きく、3年に一度の制度改正は事業の成否にかかわる重要なポイントとなる。よって、高齢者マーケットに向けたFCへ加盟する際には、検討している本部のビジネスモデルに競争優位性があり、持続的な成長が見込めるかどうかを見極めることに加え、介護保険制度や医療保険制度について理解し、制度改正の方向性なども十分に検討しておく事が大切である。

(中小企業診断士 小塚 達也)

最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

バックナンバー

PAGE TOP