連載コラム

第104回 幼児向けFC

[ 2017年7月3日 ]

■幼児向け教育市場の状況

 幼児とは,児童福祉法で満一歳から就学前のものと定義されている。幼児向け市場が注目されている理由としては,①教育熱心という日本人の国民性,②脳科学的な就学前教育の重要性説,③英語教育やプログラミング教育の早期化,④共働き世帯による子供教育の外部化,⑤母親の子育ての不安,などが考えられる。
 また,平成26年度の文部科学省「子供の学習費調査」によると,幼稚園児の学校外活動費(習い事や塾等)は学習費総額において一定の割合を占めていることがわかる。教育関連費用は,6ポケットとも言われる祖父母からの資金拠出もあり,比較的景気に左右されない支出であるといえよう。

学校種別学習費総額の推移

■幼児向け教育のフランチャイズ市場

 上記のように,幼児教育のニーズは底堅く,またおおむね安定したマーケットが確保されていることから,フランチャイズ方式により店舗展開を加速させて,ブランド価値を高めようとする本部も多い。
 また幼児教育はその主たるトレーニング分野からして,主に頭を使う「知育系」と,身体を使う「スポーツ系」に大別される。現在,加盟募集をしているフランチャイズ本部について,事業概要ならび加盟条件などを,この分類に従って比較してみたい。

1) 知育系教育

 「三つ子の魂百までというように」3歳児までに大人の脳の細胞数の8割が完成してしまう説がある。この為なるべく早くという事でゼロ歳児から知育教育も盛んである。
 知育系教育は,子供の潜在能力を引き出すためのプログラムで,乳幼児からでも楽しみながら学べる工夫がなされている。知育系教の各社は,独自の教育理念を掲げるだけでなく,その実践方法としての教育カリキュラムや教材の開発に独自性を顕している。
 また,伝統的な習い事の代表格である「そろばん教室」なども小学校入学準備教室として、人気が高い。

●「七田チャイルドアカデミー」

 七田式の教育は、「知識を教える教育」ではなく、「子どもの才能を引出す教育」をうたい,右脳教育に力を入れている。それに加え、全人格的教育を行い「心を育てる心の教育」に力を入れている。「七田式教育」では、親の子供への接し方・子供の見方・食の指導・しつけの仕方など、家庭環境全般の指導を行っている。

●「コペル」

 コペルには、物事の見方が180度変わってしまう「コペルニクス的転回」と同じように、教育によって、「論理・対立の左脳型社会から感性・共生の全脳型社会への転回」をモットーとしている。カリキュラムは,「感性教育(感じる力)」「知性教育(考える力)」「積極思想(動く力)」「母親教育(愛する力)」の4つの柱から成り立っている。

2) スポーツ系教育

 習い事としては,スイミングスクール,武道系道場などが定番ではあるが,最近では顧客のニーズに伴い多様化してきている。スポーツを通してしつけ教育を行うタイプから,本格的な元プロ選手から一流の技術や精神論を学ぶなど細分化している。
 近年、オリンピックや世界大会での日本の若手選手の活躍がスポーツ系教育市場にも追い風である。

●「コナミスポーツクラブ」(運動塾)

 「学校の体育とは、異なる運動塾のスタイル」をとり入れ子供に合ったスポーツを通して体の成長を促すのが運動塾のスタイルである。各スタッフが子供の発育とスキルに合わせて丁寧に指導する。「年齢・体力・能力に応じた段階別」が適切なタイミングで適切な運動経験を積み上げていくことで、「体・頭・心」の様々な能力と機能を育てる。

●「明光サッカースクール」

 元プロ選手や公認ライセンスコーチなど,プロフェッショナルが指導をするサッカースクール。「一流の技術」を目近に見ることで,自ら感じ考える場を与える。子供たち一人一人と目線を合わせ,「絶対上手くさせる」「成長させる」というゆるぎない自信と意思をもって,コーチングに取り込んでいる。

■フランチャイズ加盟の留意点

 フランチャイズに加盟する際は,何よりも本部の経営理念や教育方針に共感できるか,が重要になる。その上で,ビジネスモデルに競争優位性があり持続的な成長が見込めるかを判断する。教育が多様化しニーズが細分化されていく中で,いかに最終顧客のニーズをくみ取りメニュー化できる企画力をもっているか,また時流に対応できる力を持っているか,を見極めなければならない。
 特に、教育系のFCの場合は、講師の教育力と品質の維持、教材の開発力、カリキュラム(能力別、年齢別)、スポーツ系では安全管理体制が重要になる。
 本稿が,幼児教育フランチャイズ事業への加盟を検討されている方にとって,多少なりとも参考となれば筆者としては幸甚である。

(中小企業診断士 秋山 典克)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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