連載コラム

第105回 フィットネスクラブのFC最新トレンド

[ 2017年7月28日 ]

フィットネスクラブの市場規模について

 公益財団法人日本生産性本部がまとめたレジャー白書2016によると、フィットネスクラブの市場規模としては、2015年は4,390億円(前年比+1.6%)で過去最高であり、会員数も過去最多を記録している。背景には、国民の高齢化に伴う健康に対する意識の高まりや、2020年東京オリンピック開催に向けたスポーツへの興味・関心の高まりといった市場機会に加えて、サーキットトレーニング特化型やマシントレーニング特化型等、フィットネスクラブの新たな業態が業界をけん引し、需要喚起に成功している事が挙げられる。尚、フィットネスクラブの会員を年齢別に見た場合、60歳以上の会員比率が一番高く、全体の30%を占めている。60歳以上の国民にとって健康寿命の延伸は重要な課題であり、フィットネスクラブはその受け皿の一つになっている。また、日本におけるフィットネスクラブの参加率は2015年で3.3%であり、米国の17.3%、英国の13.7%と比較すると低い水準である事からも、今後も市場開拓の余地はあると見込まれている。

【フィットネスクラブの市場規模推移】フィットネスクラブの市場規模推移(出典:公益社団法人日本生産性本部 レジャー白書2016を元に筆者作成)

【国別のフィットネスクラブ参加率推移】国別のフィットネスクラブ参加率推移(出典:フィットネスビジネス「日本のクラブ業界のトレンド2015年度版」を元に筆者作成)

フィットネスクラブの業態について

 これまでフィットネスクラブの業態としては、マシン・プール・スタジオといった設備を要するコナミスポーツクラブやセントラル、ルネサンス、ティップネスなどの「総合型」と言われる大手が市場を占有してきたが、近年では、顧客ニーズが多様化している事への対応や大手との差別化という点から、サーキットトレーニングや、マシントレーニング、ヨガ・ピラティス等のスタジオプログラムといった一部の機能に絞った比較的小規模な「機能特化型」のフィットネスクラブが隆盛であり、フィットネスクラブ市場をけん引している。

分 類特 徴
総合型 マシン・プール・スタジオなどの多彩な設備を持つことで、多様なニーズに対応する。一般的に施設規模が大きく、多くの設備が必要である事から、出店には多額の初期投資が必要となる。
機能特化型 サーキットトレーニング、マシントレーニング、ストレッチ、ダイエット、ヨガなど、一部の機能に特化し差別化を図っている。施設規模は総合型と比べ小規模である事が多く、初期投資も比較的小さい。

【機能特化型フィットネスクラブのポジショニングマップ】機能特化型フィットネスクラブのポジショニングマップ

フィットネスクラブをFC展開する企業

 フィットネスクラブをFC展開している本部には以下のような本部がある。

コナミスポーツクラブ(株式会社コナミスポーツクラブ)

 コナミスポーツクラブは全国に388施設(2017年3月31日現在)を展開する総合型フィットネスクラブである。マシントレーニング・スタジオプログラム・プールなどの従来のフィットネスに加え、子供から大人までが入会できる様々なスクールを提供する事で幅広い顧客層を取り込んでいる。
(参考)コナミスポーツクラブHP https://www.konami.com/sportsclub/

カーブス(株式会社カーブスジャパン)

 カーブスは「女性だけの30分健康体操教室」として、運動が苦手な方でも気軽に運動が出来るようプログラムされたサーキットトレーニング特化型のフィットネスクラブである。メインの顧客層は40代~60代の女性。1回のトレーニング時間をわずか30分にした事や、予約不要でいつでも好きな時に運動が出来る事で、手軽に運動をしたいと考えている主婦層を中心に利用者を増やしている。
(参考)カーブスHP https://www.curves.co.jp/

エニタイムフィットネス(株式会社Fast Fitness Japan)

 エニタイムフィットネスはアメリカ発のマシン特化型のフィットネスクラブである。提供するサービスをマシントレーニングに特化し、最新のフィットネスマシンを揃えている。また、営業時間を24時間年中無休にし、契約店舗以外にも世界中どこの店舗でも会員は利用可能になる事で、マシントレーニングを好む利用者にとっては利便性の高いフィットネスクラブである。
(参考)エニタイムフィットネスHP http://www.anytimefitness.co.jp/

 ※今回紹介したのはあくまで一例であり、その他にもフィットネスクラブをFC展開しているFC本部は多数存在する。

フィットネスクラブの初期投資及び収支構造について

 フィットネスクラブの初期投資額は、施設規模や設備によって変動するが、一般的には物件の取得費用、内装工事費、トレーニング機器などの設備投資が発生する為、初期投資額は高額になるケースが多い。
 フィットネスクラブの主な収入源は利用者からの月額料金を積み上げるストックビジネスである。よって、会員数が順調に集まれば安定した経営が可能となるが、退会者数も一定数存在する為、常に新規会員の獲得に力を注ぐことが重要である。発生する費用としては、運営スタッフの人件費、地代家賃、減価償却費の3つが大きい。これらの費用は売上の多寡に関わらず発生する固定費となる為、安定的に利益を確保する為には、綿密な売上予測と共に人員数、施設規模、設備投資の適正値を十分に検討する事が重要である。

フィットネスクラブのFC加盟にあたって

 前述の通りフィットネスクラブ市場は、国民の高齢化に伴う健康志向の高まりや、東京オリンピックに向けたスポーツへの関心の高まりを背景に今後も拡大が見込まれている。また、ニーズの多様化に伴い、小規模な機能特化型フィットネスクラブが増加している事から、法人の事業多角化のみならず、個人での開業も可能となってきている。但し、ノウハウがない中で他社との差別化を図るのは簡単ではない為、フランチャイズ加盟によるフィットネスクラブ事業への参入は一考の価値があるといえるだろう。また、近年フィットネスクラブは単なるスポーツ施設ではなく、地域住民のコミュニティ形成の場という側面も持ち合わせている為、加盟する経営者は、顧客である地域住民と友好関係を築き、地域に根差したコミュニティ形成を中長期的に進めていく事も必要である。

(中小企業診断士 小塚達也)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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