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連載コラム

第106回 「フランチャイズチェーン統計調査2016年度」

[ 2017年11月27日 ]

  2016年度のフランチャイズ(FC)ビジネスに関する統計データが、(一社)日本フランチャイズチェーン協会(以下「JFA」)から発表された。FCチェーン全体の概要としては、売上高は 25兆974億円で前年比2.0%増(5,029億円増)、チェーン総数は1,335チェーンで前年比0.5%増(6チェーン増)といずれも7年連続のプラス成長となった。また、国内の総店舗数(直営店と加盟店の合計数)は26万3,109店舗で前年比0.8%増(2,117店舗増)となり、8年連続の増加となった。
 売上高や店舗数が増加した大きな要因としては、大手コンビニエンスストアの積極的な出店戦略が挙げられるが、2016年の特徴として、小売業ではドラッグストアの成長、外食業ではコーヒーショップの積極的な出店とハンバーガー最大手チェーンの売上回復、サービス業ではコインランドリー店の店舗数増加が顕著である。
 しかしながら、売上高や店舗数の成長はこの2年間低水準となっている。大きく成長している業態の一方で、人手不足の影響やインターネット通販業態に顧客を奪われているチェーンもあり、各FCチェーンは、消費者ニーズを新商品や新サービス開発に活かし成長基調を継続していくことが期待されている。

図表1:2016年度FCチェーン数・店舗数・売上高
 チェーン数店舗数売上高(百万円)
 チェーン数増減店舗数増減前年比売上高増減前年比
総計1,3356263,1092,117100.8%25,097,378502,850102.0%
小売業342-3108,6311,040101.0%17,840,417393,612102.3%
(うちCVS)23-357,818766101.3%10,830,725331,687103.2%
外食業571258,696148100.3%4,114,82056,817101.4%
サービス業422795,782929101.0%3,142,14152,421101.7%

※店舗数は各チェーンの加盟店・直営店数の合計、売上高は加盟店・直営店の店舗末端売上高。
※CVS=コンビニエンスストアの略

出典:JFA『2016年度 フランチャイズチェーン統計調査』

図表2:FCチェーン成長率推移(総計)
 2013年2014年2015年2016年
売上高前年比105.5%102.8%101.9%102.0%
店舗数前年比103.0%102.6%100.7%100.8%

出典:JFA『フランチャイズチェーン統計調査』

小売業

 小売業では、売上高は17兆8,404億円で前年比2.3%増(3,936億円増)となった。チェーン総数は342チェーンで3チェーン減少し、国内の総店舗数は10万8,631店舗で前年比1.0%増(1,040店舗増)であった。
 「コンビニエンスストア」は、大手チェーンへのブランド転換が相次ぎ話題となった。チェーン数は減少したものの、店舗数は1.3%増(766店増)、売上高は3.2%増(3,317億円増)と依然成長を続けている。日本経済新聞社の「コンビニエンスストア調査」によれば、大手3社(セブン‐イレブン・ファミリーマート・ローソン)の売上高合計はコンビニ全体の89.2%となり、寡占化が一層進んでいる。惣菜や淹れたてコーヒー等カウンター商材の拡充やイートインスペースの拡充など店舗の魅力向上の工夫のほか、異業種と共同での出店も活発化している。
 「ドラッグストア」は、食品販売の強化やインバウンド需要への対応、調剤薬局の増加などの施策により、売上高前年比3.9%増と、小売業の中でも高い成長率となった。
 一方、ディスカウントストアや家電販売店などの「飲食料品関係小売」「家具・家電・家庭用品関係小売」分野は、アマゾンなどインターネット通販の急成長の影響を受けたこともあり、売上高前年比はそれぞれ1.4%、1.3%の減少となった。

図表3: 主なコンビニエンスストア業界再編のニュース(2016年4月~2017年3月)
2016年4月スリーエフがローソンと資本業務提携を発表し事業統合
2016年8月ポプラがローソンと山陰地区の共同運営を開始
2016年9月サークルKサンクス(ユニーグループ)がファミリーマートと経営統合
2017年2月セーブオンがローソンとメガフランチャイズ契約を締結し順次ブランド転換

出典:日本経済新聞

外食業

 外食業では、売上高は4兆1,148億円で前年比1.4%増(568億円増)、国内の総店舗数は5万8,696店舗で前年比0.3%増(148店舗増)となった。チェーン総数も2チェーン増加し571チェーンとなった。
 「ハンバーガー」は、最大手であるマクドナルドの業績回復の影響が大きく、店舗数は前年比1.8%減(96店舗減)となったものの、売上高は前年比10.4%増(565億円増)と大幅に伸長した。その他のチェーンも、地方の名物を取り入れた「ご当地バーガー」やアルコール類提供店舗の増加策が消費者から支持された。
 「コーヒーショップ」は、コンビニエンスストアのカウンターコーヒーの影響が懸念されたが、コメダ珈琲店など大手チェーンの積極的な出店や分煙対応等の改装により、店舗数は前年比6.1%増、売上高は前年比7.7%増と好調を堅持した。「カレー・牛丼・各種丼物」分野や、うどん店やお好み焼き店等の「その他ファーストフード」も、店舗数・売上高を伸ばしている。
 一方で「居酒屋・パブ」は、店舗数が前年比3.7%減(252店舗減)、売上高は前年比5.6%減(236億円減)となった。他の業態店の「ちょい飲み」需要開拓の影響を受けたほか、人材不足、特色ある業態開発の遅れが業績停滞の要因となった。

サービス業

 サービス業では、売上高は3兆1,421億円で前年比1.7%増(524億円増)、国内の総店舗数は9万5,782店舗で前年比1.0%増(929店舗増)といずれも増加した。チェーン総数も7チェーン増加し422チェーンとなった。
 「学習塾・カルチャースクール」は、店舗数は前年比1.5%増(479店舗増)、売上高は前年比0.1%増(672億円増)となった。学習塾は、子供一人あたりの教育費増加を背景に、義務教育における英語教育・プログラミング教育の推進など教育行政の方向性に柔軟に対応したサービスが伸長している。
 「クリーンサービス・クリーニング」は、コインランドリー店を中心に出店が増加し、店舗数が前年比3.3%増(194店舗増)と大きく伸長した。共働き世帯・単身世帯のまとめ洗いや、布団や毛布など大物洗いができる点が支持されている。「住宅建築・リフォーム・ビルメンテナンス」分野は、リフォーム需要が旺盛で売上高前年比0.3%増となった。
 デイサービスや介護関連事業が含まれる「その他サービス」は、介護保険法改正の影響が薄らぎ減少に歯止めがかかった。高齢化の中で介護に対するニーズは依然大きく、社会制度の変化に対応した新しいサービスは今後も誕生するだろう。

(中小企業診断士 稲葉 康弘)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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