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連載コラム

第109回 JFA統計とフランチャイズ・ショーの見方

[ 2019年1月4日 ]

■JFA統計調査総括

 2017年度のフランチャイズビジネスに関する統計調査結果が,日本フランチャイズチェーン協会(JFA)から発表された。FCチェーン全体の概要としては,売上高は 25兆5598億円(前年比1.8%増),チェーン総数は1,339チェーン(同0.3%増),国内の総店舗数(直営店と加盟店の合計数)は26万3490店(同0.1%増)となり,売上高とチェーン数は8年連続,総店舗数は9年連続の増加となった。
 しかしながら,FCチェーンの売上高・店舗数の統計上の成長率は,増加とはいえ100~101%台となり,4年前の103~105%台と比較すると低水準となった。要因として,消費者のライフスタイルの変化にともない,これまで市場を牽引してきたFC業態の入れ替わりが起きていることや,売上高・店舗数ともに大きな影響を与えるコンビニエンスストアの成長率鈍化が挙げられる。
 今後も,社会的・環境的な要因とされる法律や制度の変化,インターネット通販の浸透,インバウンド需要などを好機と捉え,変化に対応した新しいFCパッケージを開発することが,チェーン成長の鍵となることは間違いない。

2017年度FCチェーン数・店舗数・売上高
  チェーン数 店舗数 売上高(百万円)
  チェーン数増減 店舗数増減前年比 売上高増減前年比
総計 1,3394 263,490381100.1% 25,559,802462,424101.8%
小売業 339-3 109,7081,077101.0% 18,185,594345,177101.9%
(うちCVS) 22-1 57,956138100.2% 11,025,240194,515101.8%
外食業 5765 58,554-14299.8% 4,193,93379,113101.9%
サービス業 4242 95,228-55499.4% 3,180,27538,134101.2%

*CVSはコンビニエンスストアの略
出典:JFA『2017年度 フランチャイズチェーン統計調査』

FCチェーン成長率推移(総計)
  2013年2014年2015年2016年2017年
売上高前年比 105.5%102.8%101.9%102.0%101.8%
店舗数前年比 103.0%102.6%100.7%100.8%100.1%

出典:JFA『フランチャイズチェーン統計調査』より筆者作成

■FCチェーン業種別動向

 JFAでは,FCチェーンの業種を大きく小売業・飲食業・サービス業に分類して集計・分析している。それぞれの業種別動向は以下の通りである。

 小売業では,売上高は18兆1856億円(前年比1.9%増),チェーン総数は339チェーン(同0.9%減),店舗数は10万9,708店(同1.0%増)であった。
 小売業のうち,店舗数で約53%,売上高で約56%と圧倒的な影響力を持つ「コンビニエンスストア」では,店舗数は前年比0.2%増とほぼ横ばいだが売上高は前年比1.8%増となり,客単価が増加していることがうかがえる。有名店とのコラボレーション企画商品など,弁当やデザート・菓子類の新商品を相次ぎ発表して話題性と付加価値を高めているほか,こだわりや安全性,手軽さを訴求することで,高齢者層の利用が増加していることが背景となっている。また,「ドラッグストア」は,食料品販売の強化に加え,免税対応やキャッシュレス決済,外国語での接客対応などインバウンド需要をとらえて,店舗数・売上高ともに伸長している。

 外食業では,売上高は4兆1939億円(前年比1.9%増),チェーン総数は576チェーン(同0.9%増),店舗数は5万8,554店(同0.2%減)であった。
 好調を継続しているのは「コーヒーショップ」業態で,フードメニューの充実や上質で落ち着いた飲食空間の提供が消費者に支持されている。その一方で,「持ち帰り寿司・弁当店」は他の中食業態との競合が激しく,売上高・店舗数ともに減少した。また,「居酒屋・パブ」は,人材不足や消費者のアルコール離れなどにより業界全体が縮小傾向にある中で,今年は売上高が前年比1.1%増,店舗数が前年比2.5%増と3年ぶり増加に転じた。主流の「総合居酒屋」モデルから,焼き鳥・海鮮など専門店化された新業態開発を進めたことが理由の一つといえる。
 さらに,2018年7月の改正健康増進法成立を背景に,店内の禁煙・分煙を推進した店舗はファミリー層や女性の来店が拡大した。ただし,会社員や男性グループなどこれまでの喫煙者が敬遠して客単価に影響を与える懸念もある。

 サービス業では,売上高は3兆1803億円(前年比1.2%増),チェーン総数は424チェーン(同0.5%増),店舗数は9万5228店(同0.6%減)であった。サービス業の店舗数が減少したのは2009年度以来8年ぶりとなる。
 減少幅が大きかったのは「クリーニング」業態と,DVDや生活用品レンタルを含む「リース・レンタルサービス」業態で,消費者のライフスタイルの変化の影響を大きく受けた結果となった。「介護サービス」についても法律改正の影響を受けてデイサービス(通所介護)を中心に事業所数の減少が見られる。一方で,英語教育やプログラミング教育など新学習指導要領に対応した授業メニューを展開した「学習塾」や,利用時間の柔軟化や女性・高年齢層をターゲットとした店舗展開を行った「フィットネスクラブ」などは,売上高・店舗数を伸長させている。

 今後の注目は,2019年の「消費税増税」である。市場へのインパクトが非常に大きいと予想され,FCチェーンにおいても,とくに外食業では軽減税率の対象となる「テイクアウト業態」を各社がFCパッケージの中にどのように取り入れ,活性化していくか注視したい。
 さらに引き続き,「人手不足」の対応もFCチェーンが克服すべき大きな課題である。一部の小売業ではAIの活用による無人化が導入されつつある一方で,コミュニティ形成やパーソナルな対応で人によるサービスの高付加価値化を目指すサービス業もある。各FCチェーンの工夫による新たな仕組み作りが期待される。

■フランチャイズ・ショーの効果的な見方

 FCチェーンの展示会では国内最大規模を誇る「フランチャイズ・ショー 2019」(日本経済新聞社主催)が,2019年3月6日(水)~8日(金)に東京ビッグサイトで開催される。2018年の開催では,227社が出展し3万人を超える来場者があった。事業拡大や多角化を検討する企業や独立開業希望者が多く参加したほか,多店舗化やFC本部構築を目的とした来場者も多く,国内外のFCチェーンを自分の目で比較検討する絶好の機会となる。「フランチャイズ・ショー」の効果的な見方についてポイントを挙げる。

1. 興味あるブランドや業態は事前にピックアップ

 200社以上のブランドが一堂に会するため,全てのFC本部の話を一日で聞くことは難しい。Webサイト等で出展者一覧や会場地図を事前に確認し,興味ある業種や企業をリスト化することで,FCショー当日の時間を有意義に使うことができる。また,興味ある業種のFCパンフレットは会場で収集しておくと,展示会後の比較検討がしやすくなる。

2. FC本部への共通の質問を考えておく

 ビジネスモデル,他社との差別化ポイント,本部の支援体制,加盟店の収益など,出展者であるFC本部への質問を揃えることで,各FCチェーンの強みや特徴が比較しやすくなる。FCパッケージの理解を深めるため,気になることは遠慮なく質問することをお勧めする。

3. セミナーやワークショップは極力参加

 出展者は,各ブースや特設会場で「事業説明会」を行うこともある。理念・社会背景・事業の魅力・収益構造などを短時間で聞くことができるので,興味あるFCチェーンの説明会に顔を出すと良い。また,FCショーでは加盟者向けのセミナーも充実している。本部の見極め方や多店舗展開の成功事例など,客観的な立場から「フランチャイズビジネスとは何か」を学ぶ非常に良い機会となるので参加しておきたい。

 FCショーに参加することで,統計上の数字では知ることのできないFCチェーンの熱意や勢いを感じることができる。自分・自社に合ったビジネスなのか,一時の流行ではなく市場に長く支持される商品・サービスなのかを見極めるという観点を持って,最大級の展示会を有効に活用して欲しい。

(中小企業診断士 稲葉康弘)

最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

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