連載コラム

第6回 介護関連FCリポート

[ 2009年5月26日 ]

 介護ビジネスは、現在の日本において数少ない成長分野であるといわれる(ここでの介護ビジネスとは、介護保険制度下のサービス及びその周辺サービスとする)。日本の人口動態変化の推計からも、この分野の市場が拡大することは明らかである。平成17年の介護保険認定者は約400万人。65歳以上人口の約16%が介護保険の認定を受けている計算になる。この割合に変化がないとすると、平成32年には介護認定者は約550万人となり、これは市場が今後15年間で約40%も拡大することを意味している。一方金額ベースの統計として厚生労働省の介護給付費実態調査を見ると、2007年度の介護給付費の総額は6兆4,729億円となっている。

 以上の点から見た介護ビジネスの市場性から、介護関連のフランチャイズも昨今増加傾向にある。ただし、ひとくちに介護関連のフランチャイズといっても、様々な業態がある。利用者の自宅に訪問してサービスを提供する訪問介護や、施設内で入浴及び食事の提供等のサービスを提供する通所介護サービス等、介護保険が適用されるサービスから、高齢者向け配食サービスやハウスクリーニングなど、介護保険適用外のサービスまで、多様な業態のフランチャイズが続々と誕生している。中には訪問介護分野のさくら介護グループ(約140拠点)や通所介護分野の茶話本舗(約100拠点)など、急成長を遂げているチェーンも少なくない。

 その中でも最近特に注目されているのが、比較的軽度の介護者を主な対象とした、リハビリなどの機能訓練をサービスの中心とした通所介護サービスである。これは、従来の通所介護サービスと異なり、食事や入浴などの生活面での介護サービスは提供せず、機能訓練やコミュニケーションに絞ってサービスを提供する業態である。
      
 この業態の基本的な仕組みは、フランチャイズ本部は加盟店募集、加盟店に対する各種ノウハウの提供、営業支援や職員採用支援などを行い、加盟店から加盟金の他にロイヤルティを徴収し、加盟店側は利用者へのサービス提供の他、ケアマネジャーを中心とする利用者拡大の営業活動を行う。事業構造は、初期投資が約1,500万円、利用者1人当たりの月間売上が約3万円、ランニングコストは月間約200万円となっており、利用者が65名から70名で損益分岐点を超えるのが一般的である。本年の「フランチャイズ・ショー2009」でも同種のフランチャイズチェーンが出展しており、今後も多くの企業が参入してくると予測される。

 この業態が成長している背景として、下記の3点が考えられる。

1)市場性
2006年の介護保険改正により、より重い介護が必要な状態にならないようにするための「介護予防」に重きが置かれるようになったことで、軽度の介護者に対してのサービスが求められるようになった。

2)収益性
介護保険の活用により、利用者負担は原則として1割と僅かであることから、利用者は自己負担額に比べて質の高いサービスを受けることができる一方で、事業者は高い売上を見込むことができる。

3)安全性
介護事故の多くは転倒によるものであり、中でも入浴時は事故の発生率が高い。また、食事時は窒息が原因となり死亡事故につながるリスクが高い。本サービスは、こうした入浴や食事等のサービスを提供しないために事故発生のリスクが比較的低い。
   
 以上の点から当面の成長は続くと思われるが、不安要素は「介護保険」という今後大きく変化する可能性のある制度の上にビジネスモデルが成立していることである。各FC本部ともに、介護保険制度の変化(要介護認定基準や利用者負担率の変化)への対策を講じていると推測するが、加盟を検討する際には「本部の認識と対策」を調査しておきたいものである。

 介護事業は、顧客の継続的な利用が前提となるため、品質の高いサービスを提供すれば、中長期的な観点から見れば利用者は増加し売上も安定する。ただし、サービスの質はサービスを提供する人材の質に依存するため、人材育成が事業成功のための最重要ポイントとなる。そのため、フランチャイズに加盟するメリットとして、開業時の許認可取得のサポート、サービスマニュアルの提供、ブランド力を活かした営業活動サポート等があるが、特に人材育成に関する本部のスタンスや、実際のサポート体制がどの程度充実しているかを十分に見極めた上で加盟することが重要なポイントとなろう。

 しかし、いくら本部のサポート体制があったとしても、実際に人材育成の主体者となるのは事業オーナー自身である。それゆえ、オーナー自身が自ら人材育成をおこなうという熱意と覚悟が必要なことは言うまでもない。

(中小企業診断士 柴田昌行)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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