連載コラム

第9回 学習塾業界リポート

[ 2009年8月27日 ]

 学習塾ビジネスは1,000万円前後の少額投資で開始できることから新規参入しやすいビジネスである。少子化の影響で子どもの人口は減少傾向が続き、市場規模は縮小しているが、一方では不況期にあっても、子供への教育投資は削られにくいと言われている。この業界は、市場から撤退する業者も多いが新規参入する業者も後を絶たず、競争は激しくなる一方である。競争力を高めるうえで大切なことは、生徒・保護者のニーズにしっかり対応していくことである。最近の業界環境のキーワードとしては、個別指導への取り組み、中学受験ニーズへの対応、学習指導要領改訂への対応が挙げられる。

個別指導への取り組み

 矢野経済研究所の『教育産業白書』によると、学習塾・予備校の市場規模は少子化の影響で漸減傾向にあり、2008年度は9,280億円と予測されているなかで、個別指導塾の市場規模は年々増加傾向にあり、2008年度は3,700億円と予測されている。今では学習塾業界の4割を個別指導が占めるまでに至っている。こうした、個別指導塾の成長を牽引しているのは、フランチャイズ方式による出店戦略である。個別指導最大手の明光義塾のほか、ITTO個別指導学院、スクールIEなどがフランチャイズ方式で全国展開を進めている。これまで個別指導に取り組んでこなかった大手学習塾でも、京進スクールワン(京進)、ビザビ(栄光)、個太郎塾(市進)、コベッツ(城南予備校)など、個別指導方式のスクールを積極的に展開しており、栄光を除きフランチャイズ方式を取り入れている。今では大手学習塾の約97%が何らかの形で個別指導を取り入れている(前述『教育産業白書』)といわれており、個別指導どうしでの競争も激化しつつある。生徒ごとの理解に応じた指導ができ、ニーズにきめ細かく柔軟に対応できる点が個別指導の成長の背景にあると考えられる。

学習塾予備校市場規模 個別指導塾市場規模

中学受験ニーズへの対応

 大学全入時代が到来し、今では大学入学希望者総数が入学定員総数を下回るようになった。難関大学を除き、大学受験への意識は薄らぎつつある。学習塾に通う生徒の割合は高校受験を目的とした中学生で一番高くなっているが、最近では、中学受験を目的とした小学生も増加している。こうした中学受験の増加は、中高一貫校の増加が背景にある。過去5年間で中高一貫校は約2倍に増加している(文科省)。公立高校で中学校を併設する動きが広がっており、人気も高くなっている。中学受験ニーズに対応し、学習塾各社でも「入試対策コースを拡充(栄光)」「中学受験の専用コースを導入(東京個別)」など、対応策を打ち出している。

中高一貫校

学習指導要領改訂への対応

 新学習指導要領で、2011年度から小学校高学年を対象に英語が必修化となり(2009年度から2年間は移行期間)、体制の整った学校では今年度から前倒しで授業を開始している。こうした動きに対応し、学習塾各社では、「小学生向け英語授業の教室を4倍の100教室へ広げる(栄光)」「子供向け英語教室事業に参入(ナガセ)」といった対応策を打ち出してきている。

(中小企業診断士 高橋利忠)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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