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連載コラム

第17回 不況下における財務諸表を使ったチェーン選びのポイント

[ 2010年4月27日 ]

 リーマンショックからの回復期にあるとはいえ、どの企業も進むべき道に少なからずの不安を抱えている。フランチャイズ(FC)加盟希望者が「どのFC本部に加盟すれば良いか」という迷いがあるのと同様に、「こんな時勢でどのようにブランドを維持・構築していくか」という岐路に立たされている本部もある。
 FC本部によっては、ブランド維持・構築などを考える以前に、厳しくなった資金繰りを解消するために「新規加盟希望者(加盟金)をかき集めろ!」などという号令が発せられていないだろうか。

FC契約は「結婚」と同じ。結婚相手の過去を
         「法定開示書面」でチェックしよう!

 そのようなFC本部と契約しないように、加盟しようとするFC本部の台所事情を大雑把でもいいから把握しておきたい。
 法定開示書面はFC契約前に必ずFC本部から提示されなくてはならないものであり、そこにはFC本部の過去3年間分の財務諸表が記載されている。
FC加盟は、結婚相手を選ぶことと似ていて、どんな素性や過去を持つ本部なのか、将来同じ道を歩んでいく相手としてふさわしいかという自分なりの基準に合格した相手と契約するものであり、「容姿が素敵だから」や「その場の雰囲気や成り行きで」という理由での加盟は後悔することが多い。

財務諸表チェックは「分析するという行為」と
           「FC本部への質問」に意味がある

 では、入手した財務諸表から何をチェックすればよいのか。法定開示書面に記載されている財務諸表では正直なところFC本部の内情など本当のことまでは読み取れない。せいぜいできることとしては、3年間の財務指標の傾向や推移について確認するぐらいのものであるが、この作業をするだけでも得られるものは少なくない。
 図表は、ある居酒屋チェーンの財務分析数値であり、公表されている法定開示書面と有価証券報告書から筆者が作成したものである。
 みなさんだったら、この推移表から何を感じ取り、加盟しようとするFC本部に対してどのような質問をぶつけるだろうか。おそらく、筆者が作成した表を眺めているだけでは感じ得るものは少ないかもしれない。しかし、自身で手を動かしてみるとわかるのだが、このような表を作成するだけでもFC本部の過去・現在・未来について考察する有意義な時間であり、(筆者はこの表を作成しながら、2008年の売上高総利益率の異常値に反応し、調査した結果、この公表されている法定開示書面の単純な集計ミスに気付く)その時間において、FC本部に対するたくさんの質問を用意したいものである。
 法定開示書面には、財務諸表の他に加盟店舗数の推移やFC契約に関する訴訟の件数なども記載されているので、それらの情報もあわせて疑問に思ったことについて、ほんの些細なことでも「そこで何があったのか、今後どのように対処するのか」を質問する姿勢はとても大切なことである。そこで結婚相手として誠実な態度で接してくれるか、すなわちFC本部がどのような反応を示すかという本部力をしっかりと見抜いて欲しいものである。

(税理士 伊藤 達仁)

  評価項目 2006年 2007年 2008年 2009年
安全性 流動比率
 =(流動資産÷流動負債)×100
84.8% 88.9% 93.9% 100.3%
自己資本比率
 =(純資産÷総資産)×100
84.8% 88.9% 93.9% 100.3%
収益性 売上高売上総利益率 64.8% 65.1% 57.9% 64.4%
売上高営業利益率 7.9% 8.6% 8.7% 7.8%
売上高経常利益率 8.2% 8.8% 8.8% 8.1%
売上高当期利益率 4.2% 4.5% 4.7% 4.2%
総資産経常利益率(ROA)
 =(経常利益÷総資産)×100
13.4% 14.9% 15.0% 13.9%
成長性 売上高伸び率 - 22.6% 12.4% 1.6%
経常利益伸び率 - 30.4% 12.9% -6.3%
当期純利益伸び率 - 31.4% 16.3% -9.4%
最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

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