連載コラム

第18回 カレーチェーン

[ 2010年5月28日 ]

 一強皆弱とみられ、安定した伸びを続けてきたカレーチェーン市場。その中で86%のシェア(壱番屋ホームページ「財務情報」より)を誇る壱番屋が方針を180度転換し、個店の競争力を追及する、ストアレベルマーケティングの導入を進めている。一方で、皆弱とみられたチェーンの中にも、積極的な展開を図る新興チェーンが台頭している。今後カレーチェーン市場はどのように変化していくのだろうか?

一強皆弱のカレーチェーン市場

 2001年から始まったとされるカレーブームは、カレーうどんやスープカレー、キーマカレーなど花形商品を変えながら、現在も続いている。
 このカレーブームを背景に、カレーチェーン市場は順調な伸びを示し、2005年には707億円だった市場規模は、2012年には832億円になると予測されている(富士経済「外食産業マーケティング便覧2008」より)。
 その内訳となるマーケットシェアを見てみると、CoCo壱番屋を展開する壱番屋が86%と圧倒的なシェアを持ち、2位以下のカレーハウスサンマルコ、カレーショップC&C、ゴーゴーカレーなどが残りの14%を分け合うという、一強皆弱といえる市場となっていることがわかる。では、なぜこのような状況となったのだろうか?要因は数多くあるが、その中でもカレーが持つ商品特性が、大きく影響している。カレーは日本の国民食として根付いているが、『母親のカレーが一番美味しい』と思う人も多いように、カレーの好みは多種多様である。好みが細分化している市場では、商品そのもので差別化するのはなかなか難しい。それゆえ、特徴はないが万人に受け入れられるオーソドックスなカレーを前面に打ち出し、いち早く消費者に支持される業態を作り上げてブランドを構築した壱番屋が、ガリバーチェーン化していったと考えられる。

富士経済「外食産業マーケティング便覧2008(上巻) 」マーケティング情報パック
富士経済「外食産業マーケティング便覧2008(上巻) 」マーケティング情報パック

チェーン店舗の「個店化」を推進

 長引く不況により内食傾向と外食チェーンの低価格化が進むなか、CoCo壱番屋は、2009年12月から2010年3月まで前年同月比で90%台後半での売上推移となった。トッピングやサイドメニューを含めると1,000円を超えてしまう価格設定が、消費者に敬遠された影響が大きいと見られる。しかし壱番屋では、価格についての見直しは行わず、個店ベースでの競争力を高める「個店化」へ運営体制を変えていくことで、この環境変化に対応しようとしている。その店独自のメニューやサービス、販促活動を本部が一緒に推進するという試みで、既に山形風芋煮カレーや秋葉原まかないカレー等の特別メニューの提供や、郊外型店舗での漫画本の設置などが行われている。
 この『ストアレベルマーケティング』の導入は、従来「やってはいけない」と指導していたことに対し、180度の方針転換をするということを意味する。この転換により、CoCo壱番屋がどのように変化を遂げていくのか、またフランチャイズ本部の役割がどう変化していくのか、他の外食チェーンからも大きな注目を集めている。

勢いを増す新興チェーン店

 積極的な店舗展開で存在感を示しつつあるのが、ゴーゴーカレーを展開するゴーゴーシステムである。ゴーゴーカレーは金沢のご当地カレーとして注目されたドロッとしたルーやソースのかかったカツ、付け合わせの千切りキャベツが特徴をもつ「金沢カレー」を看板メニューとしたカレーチェーンで、2003年の創業以来、北陸地方と東京を中心に直営店・FC店の出店を続けている。現在は31店舗(直営9、FC19、海外3)を運営し、日本国内555店舗・アメリカ国内555店舗・世界55カ国進出を目指しての積極的な展開が図られている。
 カレーチェーン市場は、緩やかながらも安定した市場の伸びを土台として、変化に対応すべく生まれ変わりを図るガリバーチェーンのCoCo壱番屋とともに、市場に新風を吹き込む新興チェーンの活躍が、「カレー」市場の牽引役となるだろう。

(中小企業診断士 楊 典子)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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