連載コラム

第19回 牛丼チェーン

[ 2010年6月28日 ]

 サブプライム問題、リーマンショックの影響もありデフレ不況が長引くなか、消費者の外食離れにより外食産業は苦戦を強いられている。2009年の外食産業の売上高は新規店を含めた全店ベースで2003年以来6年ぶりに前年を下回った((社)日本フードサービス協会調べ)。一方で、低価格路線を更に推し進める「牛丼」「ハンバーガー」「中華」などの外食チェーンは、デフレを逆に追い風として堅調な実績を残している。

外食業界の再編を主導するゼンショー

 2009年度の飲食業調査(第36回)の企業別売上高ランキングでは、「すき屋」を展開するゼンショーが前年比7.7%増の3,342億円で第3位、吉野家ホールディングスが前年比3.1%増の1,796億円で第6位につけている。売上高第1位は日本マクドナルドの3,623億円だが同社は直営店のFC化を進めていることや、第3位のゼンショーは新規出店に積極的であることから、2010年度にはゼンショーが日本マクドナルドを抜いて外食売上高日本一になる、とみられている。またゼンショーはM&Aによる業界再編にも前向きであり、この数年で外食産業の構図が様変わりするかもしれない。

大手4社がほぼ独占する牛丼市場

 2009年度、牛丼チェーン大手4社の牛丼事業単体の国内売上高は次の通りである。ゼンショー「すき屋」単体1,006億円、「なか卯」(2009年12月ゼンショーが完全子会社化)288億円、「吉野家」905億円、「松屋」フーズ624億円、2007年の数字だが業界第5位とみられる「神戸らんぷ亭」の売上高が25億円であることを見ると、大手4ブランドのほぼ独占市場であると言える。

2009年度 国内大手牛丼チェーン売上高※出典:2009年度 各社有価証券報告書等より算出
2009年度 国内大手牛丼チェーン売上高    ※出典:2009年度 各社有価証券報告書等より算出

直近の各チェーンの状況

 ゼンショーは2009年末に「なか卯」を完全子会社化。「なか卯」を牛丼店としてではなく「和風ファーストフード」として位置づけ、和風牛丼の値段を350円とし、低価格路線を走る自社「すき屋」ブランドとのすみ分けを図っている。他方、ゼンショーのメインブランドの「すき屋」は、牛丼並の値段を2009年4月に350円から330円に値下げ、2009年12月にはさらに280円に値下げと、低価格路線を貫いている。その戦略が奏功し、2010年4月の売上は既存店ベースで前年同月比23%増となっている。
 「松屋」を展開する松屋フーズも低価格路線に追随し牛丼並250円キャンペーンを実施するなどしているが、同ブランドの強みであるカレーや定食などのサイドメニューを積極的に刷新投入することで、客単価の下げ止まりを図った。松屋フーズの2010年3月期は売上624億円、営業利益は25億円で前年比6.3%増となっている。
 老舗の「吉野家」は苦戦を強いられている。牛丼並380円は他のチェーンに較べて最も高く、値下げ競争が激化する牛丼市場で後塵を拝している。吉野家は味へのこだわりから使用牛肉をアメリカ産に限っており、他のチェーンが使用しているオーストラリア産等に較べて割高となっているため、思うように値下げに踏み切れない。またメインの牛丼を値下げして他のメニューで下げ止まりを狙うといった手法も、アイテム数が少ない同社には取りづらいオペレーションとなっている。吉野家ホールディングスは、メインブランドの「吉野家」以外に「ステーキのどん」や「京樽」などのブランドも展開しているが、不採算店の増加と投資効率の悪化から、2010年2月期は減損損失を86億円計上した。その結果、吉野家ホールディングスの2010年2月期は、売上1,796億円、当期損失89億円と、2000年の東証1部上場以来最低の成績となっている。


大手チェーンのFCへの取り組み

 牛丼業界ではFCではなく直営店舗による店舗展開が主流となっている。消費者の反応を敏感に察知して次々と値下げキャンペーンや新メニュー投入を行うゼンショーは、直営店のメリットである意思決定の速さを十分に活かしているといってよいだろう。
 業界2位の吉野家は全国エリアごとに複数の吉野家店舗を展開する法人フランチャイジーが存在しているが、2005年には(株)西洋フードサービス九州より、また2007年には四国の㈱グローバルフードサービスより、地域FC事業を買い取って子会社化するなど、直営化への動きをみせている。
 松屋フーズや、ゼンショーの完全子会社となった「なか卯」も同様にFCには積極的ではない。業界5位の「神戸らんぷ亭」(関東地方で展開)も現在はホームページ上からフランチャイズ募集の告知が無くなっている。価格競争が激化する中、ハンバーガー最大手のマクドナルドが直営店のFC化を推進しているのとは対照的に、牛丼業界は直営化の流れが定着しつつあるようである。

(中小企業診断士 山岡 雄己)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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