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連載コラム

第20回 "マカオ・フランチャイズ・エキスポ"に参加して

[ 2010年7月27日 ]

 わが国のフランチャイズ関連の展示会といえば、毎年3月に開催される「フランチャイズ・ショー(以下、FCショー)」(主催:日本経済新聞社)が最も有名であるが、わが国に限らずアジア各地においては、定期的にフランチャイズ関連の展示会が開催されている。先般、マカオで開催された「第2回マカオ・フランチャイズ・エキスポ(以下、MFE)」に、筆者が基調講演のスピーカーの一人として招待され、参加してきた。今回のマーケットトレンドは、マカオでのフランチャイズ展示会の様子をお伝えしよう。
 MFE2010のサイト http://www.mfe.mo/ (中国語・英語)

(1)マカオの概況と中国フランチャイズ(FC)の現状

 マカオの正式名称は「中華人民共和国マカオ特別行政区」。1999年にポルトガルから返還され、返還後50年間はマカオが司法・立法・行政の自治権を持ち、香港と同じく"一国二制度"のもとで運営されている。人口は約54万人。面積は世田谷区の約半分の広さ。自由な市場経済と金融システムを推進し独立関税地域となっており、中小企業の支援にも力を入れている。マカオ全体のGDPは約1.8兆円で(2009年現在、1MOP=11円で計算)、1人当たりに換算すると約340万円となり経済力は高い。それを支えているのが全世界からの観光客で、世界遺産やカジノを目当てに、マカオには年間約2,200万人の来訪がある。
 中国連鎖経営協会(中国チェーンストア&フランチャイズ協会)の調べでは、中国のFCチェーン数は2,600、店舗数は195,000店である(2008年)。わが国は1,231チェーン、230,822店であるので(2008年)、中国のFC本部の平均的規模は小さい。ただし、この5年間でチェーン数は約2倍に増加しており、FC業界の発展には著しいものがある。

(2)MFEの様子およびわが国のFCショーとの比較

 MFEとFCショーとを比較してみると別表のようになる。
 MFEの主催者は「マカオ貿易投資促進局」という政府機関である。会場は観光客にも有名な高層タワー"マカオタワー"直下のコンベンションセンターである。会期はどちらも3日間であるが、会場の広さは日本の3分の1ほどで、来場者数も日本の4分の1程度である(MFEは会期のうち1日は特別招待日で一般入場は2日間)。ただし、開場時間はMFEの方が2時間長い。筆者が視察した日は特別招待日であったため来場者は少なく、会場は閑散としていた。
 MFEの出展社は123社であるが(FCショーは150社)、全体の面積が狭いので1社当たりのブースは小ぶりである。一番大きな出展社は9コマで展開していたが、大半の出展社は1コマである。会場は全面じゅうたん敷きでグレードは高いが、ブースの装飾はいたってシンプルで、壁面へのポスターの貼付と商談用のテーブルセット程度である。
 飲食・小売・サービスの業種別では、日本のFCショーと同様、飲食業の割合が高い。MFEで小売業の割合が高くなっているのは、代理店に近い出展社が含まれているからである。これらを除けば、飲食・小売・サービスの割合は、FCショーとほぼ同様であると想定される。
 特に目についた業態は、学習塾、ファーストフード系飲食、コーヒー・カフェ、スタンドジュースバー、ビジネスホテルである。子供にかける教育熱はいずこも同じで、学習塾では「公文」をはじめ6社が出展していた。飲食業態については、オペレーションが簡単で初期投資の低いフォーマットが多い。また、中国本土からは2つのビジネスホテル本部が出展しており、熱心な勧誘を行っていた。全体的にみると業態的には驚くほどのものはなく、ホテルを除き、むしろ低投資・高粗利の"軽い"業態がトレンドのようである。

 日本からは6社の出展があったが、どれもFC関連ビジネスの企業である。また、日本ブランドのFCの出展は、先の「公文」(香港)と「佐野拉麺(ラーメン)」(台湾)の2社であった。昨年は「フレッシュネスバーガー」(香港)が出展していたが、今年の出展はなかった。

(3)FCショーの優れている点および改善提案

 日本のFCショーは展示の規模が大きく活気がある。セミナーについては、MFEは2日間で7つのテーマがあるが、どれも時間が30分で短い。FCショーは3日間で有料・無料合わせて16のセミナーがあり、1本当たりの時間も長く充実している。MFEでは飲食業の出展エリアは"試食可能エリア"とされ、他と区分されているが、FCショーのようなフードコートはない。
 しかし、「国際対応」という点ではMFEの方が優れている。基調講演・パネルディスカッションでは、無線レシーバーによる5カ国語(北京語・広東語・英語・ポルトガル語・日本語)の同時通訳サービスがあった。アジア各国のFC業界の要職につく複数の来場者から、「日本のFCショーに来場しても日本語だけの対応なので十分理解できないので残念だ」という声を聞いた。全部とは言わないまでも、せめて「オープニングセミナー」(初日の10:30~12:10)だけでも英語通訳対応がなされ、日本のメッセージがアジア全域に発信されるように期待したい。

(中小企業診断士 西野 公晴)


■「マカオ・フランチャイズ・エキスポ」と「フランチャイズ・ショー」の比較

項目 マカオ・フランチャイズ・エキスポ(MFE) フランチャイズ・ショー(日本)
(1)会期
(2010年)
7月8日(木)・9日(金)・10日(土)の3日間
11:00~20:00(最終日は18:00まで)
3月9日(水)・10日(木)・11日(金)の3日間
10:00~17:00
(2)会場 マカオタワー コンベンションセンター 東京ビッグサイト
(3)主催 マカオ貿易投資促進局
(日本でのJETROのような存在)
日本経済新聞社
(4)協力・後援など マカオフランチャイズ協会、中国フランチャイズ協会、
香港フランチャイズ協会、台湾フランチャイズ協会、
国際(米国)フランチャイズ協会、ブラジルフランチャイズ協会、
(社)日本フランチャイズチェーン協会など
(社)日本フランチャイズチェーン協会、経済産業省、
中小企業庁、(社)商業施設技術者・国体連合会、
(独)中小企業基盤整備機構、(財)店舗システム協会、
日本商工会議所、(財)流通システム開発センターなど
(5)出展内容 (1)展示会・ビジネスマッチング
(2)オープングセレモニー・基調講演・
パネルディスカッション
(3)セミナー・出展社ワークショップ
(1)展示会・ビジネスマッチング
(2)オープニングセミナー
(3)本部向け有料セミナー
(4)加盟希望者向け無料セミナー
(5)出展社ワークショップ
(6)出展規模 123社(156小間)
3,800m2
FC飲食業  :37社(39.8%)
FC小売業  :31社(33.3%)
FCサービス業:25社(26.9%)
その他   :30社
150社(270小間)
11,520m2(西3・4ホール)
FC飲食業  :47社(41.6%)
FC小売業  :20社(17.7%)
FCサービス業:46社(40.7%)
その他   :37社
(7)来場者数 7,412人(一般入場は2日間) 29,676人
(8)入場料 無料(登録制) 無料(登録制)
最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

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