連載コラム

第25回 コーヒーチェーン

[ 2010年12月27日 ]

 個人経営の喫茶店が年々減少する中、立地のよさや経済性で店舗を増やしてきたコーヒーチェーンは、日本フランチャイズチェーン協会の調査によると、店舗数が2008年度の4,742店から、2009年度は4,701店へと微減に転じた。背景としては、他の外食産業と同様に長期不況の影響による消費者の生活防衛意識の高まり、ファストフードなど他の業態との競合激化の影響などが考えられる。

大手チェーンの店舗推移

マックカフェ出現の影響

 他業態からの市場参入で一番の脅威はマクドナルドが展開するマックカフェである。マクドナルドはマックカフェ取扱店を現在の約1,700店から、2011年中に約2,800店にまで拡大する予定であり、品目の充実と「コーヒー特別招待券¥0」の販促策で、コーヒーチェーンの顧客取り込みを図っている。結果、マクドナルドの今年のコーヒー販売数量は3.3億杯で、最大手のドトールコーヒーを1億杯前後凌駕する見込みである。

独自性による差別化

 市場が飽和状態化しつつある中、マックカフェという新規参入に対して、コーヒーチェーン各社は独自性を打ち出した差別化を行っている。内容として「くつろぎの提供」「オリジナルメニュー」「ロイヤルカスタマー化」の3つの動きが見られる。
まず海外発チェーンでは、スターバックスが2010年3月期は売上970億、営業利益は64億(対前年17%増)と好調である。居心地のよさを訴求しているスターバックスはマクドナルドと顧客層の棲み分けがされている。季節の日本オリジナルメニューや顧客の好みに合わせたカスタマイズメニューも好評で、当日購入のレシートを提示した顧客に2杯目を100円で提供するなど、ロイヤルカスタマーの囲い込みも図っている。また、伊藤園グループのタリーズコーヒーも2010年4月期売上213億(対前年11%増)と好調である。茶系の暖色を主体とした内装やカントリー風の椅子などでくつろぎの空間を提供し、10歳以下のキッズメニューやトッピングが選べるオリジナルメニューも好評である。今後は、更なる認知度向上と同じシアトル系でコンセプトが似ているスターバックスとの差別化が課題となる。
 次に国産のチェーンを見てみると、上島珈琲店(約650店)は和風のくつろぎの空間提供で古きよき喫茶店を訴求する一方で、コーヒーポッドのデリバリーサービスを行い企業顧客への目配りも行っている。UCCグループのTwitter公式アカウント「上島珈琲店なう」で情報発信を行い固定客作りの取り組みに着手した。今後の効果が注目される。愛知県を中心にドミナント的にFC展開を行っているコメダ珈琲店(約380店)は、ロードサイドの立地に広い駐車場とログハウス調のくつろげる作りで、新聞・雑誌を常備、のんびり長居しやすい雰囲気が特長である。今期は約10店を関東に出店。愛知独特のモーニングサービスが好評で業績も堅調である。マックカフェの影響を最も受けたのはドトールコーヒーである。2010年3月期は売上660億で前年を下回った。ポイントサービスやモーニングセットの導入で既存店の強化を図り、不採算店の閉鎖も行っているが、なかなか有効な打ち手が打てず苦戦している。

今後の動向

 M&Aや他の外食産業と同様にアジアへ進出する動きも本格化するであろう。ドトールコーヒーは、ユニマットグループから高級カフェ「カフェ・ラ・ミル」などを買収し積極的にM&Aを展開する一方、韓国のコーヒー事業に参入するなど海外展開にも意欲的である。コーヒーチェーン各社は、特に都心部において飽和しつつある国内市場の中、コーヒーチェーンに近い本格メニューを格安価格で提供するマックカフェの動きもにらみながら、生き残りをかけた更なる差別化を迫られており、今後の各社の戦略に注目したい。

(中小企業診断士 米澤 裕一)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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