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連載コラム

第31回 躍動するアジアのフランチャイズ事情 (シンガポール編)

[ 2011年6月27日 ]

なぜ、シンガポールに進出するのか?

 高層ビルが立ち並び、アジアにおける自由貿易の象徴としての地位を確立したシンガポールは、日本からのアクセスもよく、私達日本人にも非常になじみのある国であろう。東京都23区と同じ程度の面積の国土に約500万人が住み、国内総生産(GDP)は2,173億ドル(約17兆円)と、アジアでもトップクラスの豊かな国家である。
 そんなシンガポールでもフランチャイズビジネスは非常に盛んに行われている。シンガポールにおいて、フランチャイズビジネスが盛んな理由は、他のアジア地域とは異なる特殊な事情があるといわれている。それはシンガポールという国家が、ライフスタイルの全く異なる多くの人種・民族によって構成される国家であり、世界各国(特に欧米)のフランチャイザーは、ここで自分達のビジネスモデルやコンセプトを試し、アジアへ進出するための様々な実験を行っているという事情である。このような理由で、多くの海外のフランチャイザーがシンガポールに進出を果たしている。

シンガポールのフランチャイズの現状

 シンガポールにおけるフランチャイズの現状を見てみると、チェーン数が約420チェーン、売上で見ると2009年で約39億ドル(約3,000億円)であり、実に小売市場の18%がフランチャイズによる売上である。これらのうち70%は外資系のフランチャイズチェーンによるものであることからも、海外企業の進出ぶりが窺える。海外企業のうち、もっとも進出数が多いのはアメリカの企業であり、オーストラリア企業も進出数は多い。日本や台湾のフランチャイザーは主に飲食業を中心にシンガポール進出をしているようである。ちなみに、日本のチェーンは、10チェーン、約90店舗が展開されている(日本フランチャイズチェーン協会調べ;『Franchise Age』2010年11月号)。
 一方、シンガポールの国内企業も負けてはいない。1990年代には政府の振興策によって国内フランチャイザーも少しずつ増え始め、さらに国内企業も国内展開、国際展開の手段としてフランチャイズの手法を積極的に利用してきたために、2000年には約50チェーン、2008年には約200チェーンの国内チェーンが運営されている。
 これらの中でも特に盛んなのは外食産業であり、次いで小売業、教育産業の順となっている(図参照)。

(出典 : シンガポールフランチャイズ産業サーベイ)


これからのシンガポールのフランチャイズ市場

 シンガポールには、フランチャイズを規制する特別な法律がなく、契約法や競争法などの規制を受けるだけであるため、海外のフランチャイザーにとっては進出しやすいという事情がある。それだけに、今後もシンガポール進出をする企業は決して少なくないであろうと予想されるが、その一方で、市場自体は飽和感があるのも事実であり、急激な伸びを見せるという可能性は少ないかもしれない。しかしそんな中でも、いまだに好調なのは飲食業、子ども関連の事業、教育事業であり、こういった分野に関してはまだまだ海外の企業が進出する余地は十分にあると考えられる。

 シンガポールのフランチャイズ事情をこのように見てみると、市場が飽和しているとは言え、日本の企業がシンガポールに進出して、フランチャイズビジネスを行う余地はある一方で、同時に、シンガポールに進出している海外のフランチャイザーのビジネスを日本に輸入する可能性も探れるかもしれないと思われる。シンガポールの市場には、まだまだビジネスチャンスがたくさんあるであろう。

(行政書士 川本 到)

※本稿のデータは、Singapore Franchise and Licensing Association、シンガポールフランチャイズ産業サーベイ、米国商務省によるレポートに基づきます。


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執筆者:フランチャイズ研究会

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