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連載コラム

第32回 最後の残された巨大マーケット「そば・うどん」、キーワードは自家製麺

[ 2011年7月29日 ]

「そば・うどん」は1兆円マーケット

 平成22年の外食産業市場規模推計によると、「そば・うどん店」の市場規模は、1兆745億円、前年度対比は0.7%増であった(外食産業総合調査研究センター推計)。外食産業全体の市場規模は、ほぼ前年並みであったので、縮小傾向である外食マーケットにおいて、「そば・うどん」は堅調といえるだろう。ここ10年をみても、外食産業全体の市場規模が8.5%減であるのに対して、「そば・うどん」は、2.0%減と底堅い数字となっている。

うどん業界はセルフ式業態が席巻中

 これまで「そば・うどん」業界は、そのマーケット規模に対してガリバーとなる大手チェーンがなく、外食業界では「最後の麺、残された最後の巨大マーケット」と言われてきた。
 そこに、2001年「はなまるうどん」が、「セルフ式うどん」により、うどん1杯100円からという低価格で大人気を博し、讃岐うどんブームを巻き起こした(「はなまるうどん」の店舗数は293店舗、うちFC店129店、売上高は200億円/2010年度)。
 さらに、2000年後半から同じくセルフ式業態である「丸亀製麺」(トリドール)が急激に店舗数を伸ばし、現在448店舗、売上高428億円と業界トップとなっている(「丸亀製麺」以外も含む全社売上は488億円。直営店のみ。2011年度)。
 「はなまるうどん」と「丸亀製麺」の違いは、「丸亀製麺」は店内に製麺機を置く「自家製麺」で、より本格的な讃岐うどんを提供しているところだ。「丸亀製麺」の成功により、近年、セルフ式うどんにおいて「自家製麺」はキーポイントとなっており、「まいどおおきに食堂」のフジオフードシステムの「つるまる」(42店舗うち、FC4店舗。2011年度)や、サガミチェーンの「窯揚げうどん製麺大学」(直営7店舗。2011年度)等、「セルフ式自家製麺うどん」への大手チェーンの参入が相次いでいる。※サガミチェーンは自家製麺を行わないセルフ式業態「どんどん庵」(直営28店舗、FC48店舗、売上高19億円。2011年度)も展開している。

そば業界でも、うどん同様「自家製麺」業態が誕生

 このように、うどん業界ではセルフ式業態という新たなトレンドが生まれたが、そば業界では、夜はそば居酒屋という二毛作業態でヒットした「北前そば高田屋」以降、目立った動きはみられない。吉野家が「そば処吉野家」という吉野家ブランドのそば業態を2009年に開発したものの、店舗数は伸び悩んでいるのが現状だ。そのなかで、確実に成長しているのが、「ゆで太郎」(ゆで太郎システム)だ。同社は直営店運営の「信越食品グループ」と併せて今年2月に100店舗を達成している。現時点でのFC店舗数は未公開なので分からないが、業界誌によると2010年7月現在で24店舗となっている(資料:「フランジャ2010年9月号」)。「ゆで太郎」は、セルフ式業態だが、立ち食いカウンターとテーブル席を設け、立ち食いそば屋とは一線を画すスタイル。価格は260円~、店内に製麺機を置く「自家製麺」で、そばの量も一般的には並盛220~240グラム程度のところ、「ゆで太郎」は300グラムと多めで、お得感のある業態となっている。

既にセルフ式うどんは競争激化。今後の「そば・うどん」業態の進化に注目

 以上のように、これまで旧態依然とした街の「うどん(そば)屋さん」か、総花的なチェーン店しかなかった「そば・うどん」業界であるが、"安くてうまいセルフ式専門店"の急成長によって業態の細分化が進んだ結果、その見極めが難しくなってきている。
 既にセルフうどん業態は競合激化となり、表面的に真似をしただけの店は撤退を余儀なくされている。自家製麺は、製麺技術がないと麺のクオリティを一定に保つことが難しいため、安定的に美味しい麺が提供できないからだ。
 また、「そば・うどん」は流行に左右されずに一定の売上は見込める底堅さがあるものの、ランチ需要が殆どで、夜の売上が低いことが弱みである。ラーメンがランチだけでなく、ディナーや、立地によっては"飲んだ後の一杯"の深夜売上も取り込めることと比較すると、売上アップの余地が少ない業種といえる。そば(うどん)専門チェーンが駅前一等立地やフードコートにしか出店していないのは、流動客が多い立地でないと大きな売上は見込めないからだ。また、「丸亀製麺」のような郊外ロードサイドでの大型店展開は、初期投資が高額になると同時に運営の難易度も高くなるため余程ノウハウがないと危険だ。
 これらの理由により、大手チェーンの寡占化が遅れてきた「そば・うどん」業界だが、セルフ式うどんブームにより、新たなステージに入った。FCパッケージとして「職人的こだわり」と「合理性」の両立を実現できるか、今後が注目される業界である。

(中小企業診断士 安藤 素)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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