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連載コラム

第33回 第3回マカオフランチャイズエキスポに参加して

[ 2011年8月26日 ]

 7月7日(木)からの3日間、第3回マカオフランチャイズエキスポ(MFE)が開催された。光栄にも主催者から招待され、基調講演を行うという機会に恵まれた。今回のトレンドレポートでは、MFEの印象についてお話ししたい。なお、第20回のトレンドレポートで昨年の第2回MFEの様子が紹介されているので、そちらも参考にしてほしい。

MFE2011のURL:http://www.mfe.mo/(中国語・英語)

1)マカオについての基本事項

 マカオの国情について簡単に説明すると、マカオは中国広東省を流れる珠江河口(三
角州)に位置し、総面積は東京都世田谷区の約2分の1の広さに当たる29.5平方キロ、人
口は東京都杉並区をやや上回る約56万人強。1999年12月にポルトガルから中国に返還さ
れ、香港と同様に返還後50年間は「一国二制度」が適用される特別行政府。主な産業は
カジノと観光で、1人当たりのGDPはアジア地域でもトップクラスである。
 人口は56万人強と少ないが、後背地の珠江三角州だけでも5千万人の人口がある。国
土は狭いが膨大な商圏を持つところに市場としての特徴がある。アジアのゲートウェイ
としての機能強化など、カジノと観光以外の分野で産業基盤を確立することが政策課題
となっている。

2)第3回MFEの概要

 MFEの開催回数、出展社数、来場者数を日本の代表的なイベントであるフランチ
ャイズ・ショーと比較してみると以下のようになる。

 今回のMFEは、出展社数において前回対比で26.8%増、同じく来場者数では72.0%増
となった。来場者数の面では日本のフランチャイズ・ショーに遠く及ばないが、規模を急
拡大させていることは間違いない。
 MFEの特徴の一つは、出展社が13の国・地域から集まっていることである。もちろ
ん、東アジア地域からの出展が中心であるが、それ以外ではマカオと同じポルトガル語
圏のブラジルからの出展が目立った。ちなみに日本からの出展であるが、前回はFC関
連ビジネス以外の出展はなかったが、今回は13ブランドが出展した。日本の隣国の韓国
からの出展はなかった。
 MFEの出展チェーンを業種別にみると、グラフのような結果になった。業種の中身
に目を向けると、飲食業はアイスクリームやスイーツ類、ドリンクを販売するスタンド
バー形式が多いことが目についた。

 小売業では、日本で大きなシェアを占めるCVSの出展は皆無で、リユース系もなか
った。そのわりに小売業の出展社数が多いのは、本部が供給する商品を特約店的に販売
するチェーンが多いからである。
 サービス業では取次業務のフランチャイズが中心で、学習塾などの教育関連が7チ
ェーンと少なかったことは意外だった。
 いずれにしてもフランチャイズの歴史が浅い東アジア地域では、オペレーシ
ョンが簡単な業態が中心になって展開されているようである。フランチャイ
ズ分野でマカオをはじめとする東アジア地域は発展途上と言えるだろう。


3)政府機関が強力にバックアップ

 日本のフランチャイズ・ショーを主催するのは、民間企業である日本経済新聞社であ
る。我々が慣れ親しんでいるフランチャイズ・ショーとMFEとの最大の相違点は、MF
Eを主催するのがマカオの政府機関である「マカオ貿易投資促進局」であるということだ
ろう。潤沢な予算があるのかどうかはわからないが、MFEは事業としての採算を度外視
して運営されているように見えた。
 いくつか具体例をあげると、まず、MFEでは海外からの出展社に宿泊費や旅費の一
部を主催者側が負担するというインセンティブを与えていることである(少なくとも日
本のチェーンに対してはあった)。今回の出展社数が急増したことの背景にはこの影響
もあるだろう。日本のデイサービスチェーンがMFEに出展していたが、デイサービス
のビジネスモデルは介護保険制度のない海外で成立するはずがなく、何らかのインセン
ティブがなければ決して出展はしないであろう。
 次に、開催前夜に催された盛大なレセプションにも驚かされた。会場は、観光スポット
としても有名なマカオタワー内のコンベンションホール。前半フォーラムでは、すべて同
時通訳(北京語・広東語・英語・ポルトガル語・日本語の5カ国語)のサービスも用意され
ていた。フォーラム終了後は、出展社を交えたパーティーとなり、MFEの開催を前にし
て大いに盛り上がった。客をもてなすのは当たり前という中華思想が根底にあるのだろう
が、ついつい主催者側の財布の中身が気になってしまった。

 最後に、MFEの会場となったザ・ベネチアン・マカオにも圧倒された。同ホテルは、
すべてがスイートルーム以上という豪華ホテルであるだけでなく、大型カジノ、ショッピ
ングモール、ゴルフ場までも併設したきらびやかな巨大アミューズメントパークといった
施設である。展示会施設としても申し分なく、会場の使用料は幕張メッセや東京ビッグサ
イトと比べて高額であることは間違いないだろう。

4)視察を終えて

 MFEに参加する前、私には人口わずか56万人の行政区がこれだけのイベントを開催す
る目的を理解できなかった。だが、今回のMFEに参加して、マカオがフランチャイズ分
野においても、東アジアのゲートウェイとしての存在基盤を確立しようとするしたたかな
戦略を感じ取ることができた。
 今後のマカオ及び東アジア地域のフランチャイズに注目していきたいと思う。

(中小企業診断士 伊藤 恭)

最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

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