連載コラム

第35回 ビデオレンタル業界リポート

[ 2011年10月26日 ]

 レンタルビジネスはビデオレンタルや振袖レンタルなどの個人向けレンタルからイベント展示会用品、土木・建設機械などの事業所向けレンタルまで幅広いが、フランチャイズを使って事業拡大を実現できている例は意外と少ない。今回は、フランチャイズ展開の代表格でもあるビデオ(DVD)レンタル業界の動向を紹介したい。

寡占化が進むビデオレンタル市場

 日本映像ソフト協会のデータによると、ビデオレンタルの市場規模は前年比12.9%減の2,672億円(2010年)となり、市場は縮小傾向となっている。背景には、消費者のビデオレンタル離れがある。最近ではケーブルテレビが普及し、自宅に居ながら様々な映画やドラマを見ることができる。また、パソコンからweb経由で動画を見ることも容易になってきた。日本映像ソフト協会の2010年調査でも、ビデオソフトのレンタル利用率(41.6%で前年より2.6%減)・利用者の平均枚数(24.1枚で前年より4.5枚減)・利用者の年間利用金額平均(5,314円で前年より1,573円減)ともに前年を下回っている。このように消費者離れが浮き彫りとなっていることから、ビデオレンタル店の経営は厳しくなってきており、経営が悪化した中小チェーンは撤退を余儀なくされている。こうして業界全体の市場が縮小する中で、TSUTAYA(カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営)、ゲオは店舗数を増加させ、この大手2社による寡占化が進行している。

大手2社(TSUTAYA・ゲオ)の取り組み

 大手といえども、厳しい業界環境に変わりはない。旧作の100円レンタルが今では当たり前になるなど、レンタル料金は低下傾向をたどっている。大手2社でも既存店の売上高は前期比で減少しており、売上を増やすために様々な取り組みを行なっている。
 大手2社では、主力であるビデオレンタルの仕入れで出来高払い制の導入を進めている。
これは仕入れ価格をゼロにするかわりに、レンタル回数に応じた手数料をメーカーに支払う仕組みとなっている。レンタルユーザーにとって人気の高いのは何といってもレンタル解禁直後のビデオ(DVD)である。同時期にレンタル需要が集中するため、在庫がないとせっかくの需要を取りこぼす。そこで出来高払い制により人気タイトルを大量に陳列して集中したレンタル需要に対応できるようにしている。

複合店の展開に活路

 ビデオレンタルだけでは消費者離れを食い止めることができない。そこで、店舗を複合店化して来店客を増加させる動きが目立ってきている。
 TSUTAYAでは書店併設店舗を増やしている。2011年3月では642店舗(レンタル店舗の45.7%)で書店を併設しており、2007年3月(451店舗)の1.4倍に増加している。書店を併設することで、来店客が増加し、書店に来たついでにビデオレンタルを利用するなどの相乗効果が期待できる。
 ゲオでは、M&Aにより新しい事業の買収も積極的に推進しており、多角化事業の店舗内併設として力をいれているのが、古着専門店である。既存店舗の売場スペースの一角に低価格での古着販売コーナーを導入することで、効率的な売場づくりをすすめている。古着は一点ものであり、掘り出し物目当てでリピーターとなる来店客も見込める。来店客が増えることで、ビデオレンタルの利用増加も期待ができる。

リアル店舗の優位性を活かせるか

 新しい商材として、コミックレンタルを導入する動きも盛んになりつつある。コミック本の人気は根強い。本の受け渡しでリアル店舗の強みが活かせ、既存の什器やシステムなどビデオレンタルのモデルをそのまま活用でき、高い収益性の見込める点が大きな魅力となっている。
 大手2社では店舗に来ない消費者をターゲットとして宅配レンタルサービスも導入しているが、このサービスは既存店舗の売上を奪いかねず、模索状態が続いている。宅配サービスと店舗事業の棲み分けや収益配分の仕組みづくりができるかどうかが、今後成長できるかどうかの鍵となる。

(中小企業診断士 高橋 利忠)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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