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インドネシア、日系コンビニが拡大――飲食業免許で規制回避(アジア小売り見聞)

[ 2012年10月26日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 個人消費が好調なインドネシアで、日本のコンビニエンスストアの進出が相次いでいる。ただ、日本と様子が異なるのはカフェテリアの性格が強いこと。コンビニ規模の小売業で外資の参入規制があるため、各社は飲食業の認可で規制を回避している。政府も新たな制度作りを模索するが、日系コンビニは「ファミレス」のような若者らのたまり場として、独特の存在感をみせている。

 「(日系コンビニに来るのは)座っておしゃべりするため。渋滞が和らぐのを待つ時間にももってこい」。最近ジャカルタ近郊に開店したファミリーマートで会社員の女性イメラさん(31)は友人と一緒にくつろいでいた。

 ファミマは地元の日用品製造・卸大手ウイングス・グループと提携。エリアフランチャイズ契約を結び多店舗展開していく。1号店は店舗の内外に約80席を用意。飲食スペースもあわせた店舗面積は約312平方メートルと日本の標準的な店舗のほぼ2倍のサイズだ。目玉商品は店内で調理する焼き鳥。店舗運営は飲食業の認可に基づいている。

 インドネシアの他の日系チェーンでは、セブン―イレブン・ジャパンが米子会社を通じて2009年に進出。現在は約80店を運営する。11年に出店したローソンも約70店を展開している。ファミマの中期目標は5年で500店。ミニストップも13年2月末までに1号店を開き、5年間で300店に拡大する計画だ。

 日系コンビニで飲食店スタイルは共通だ。ファミマの焼き鳥は1本4千ルピア(約33円)とやや高め。ローソンのおにぎりも7千ルピアする。ただ、ミネラルウオーターが1本(600ミリリットル)2千ルピア程度などと、必需品の多くで実は道ばたの屋台などよりも安い。

 店舗は24時間営業で無線インターネット「WiFi」が使える場合が多い。ノートパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)が普及するなか、飲食が楽しめて日用品も購入できることもあり「安くて便利な日系コンビニは生活の習慣になじんでいる」(23歳の会社員)と利用者の評判は上々だ。

 その一方で神経をとがらせているのが商業省を中心とする政府サイドだ。セブンイレブンやローソンを名指しで批判。認可業種以外の販売比率を10%以下に抑えるよう定める規制を策定した。

 さらにライセンス供与を受ける1社が直営方式で開業できる店舗数を原則として150に制限するなどの規制も発効させることを決めている。

 商品の原料や店内設備の80%以上をインドネシア製とする規制も発効しており「日本食の『中食』を提供するには国産比率の規制は厳しい」とある日系コンビニ幹部は漏らす。

 店舗の急拡大を前に政府の立場も微妙だ。実は政府も零細商店の活用が見込まれるフランチャイズチェーン(FC)方式の店舗展開には積極的。「直営制限」の規制の背景にはフランチャイジーを広げていきたいという思いがにじむ。

 FC振興では日本のコンビニと一致するはずだったが、店舗の急拡大が地元の小売店や庶民の屋台に影響を広げつつあるため規制強化が先行することになった。

 飲食業免許による多店舗化は勇み足の感も否めないが、目の前の商機を逃がすわけにはいかないのも事実。個人消費が好調なインドネシアはコンビニがそもそも盛ん。セブンイレブンの進出前から地元大手各社が1万店以上を運営していた。

 ローソンは最近、シンガポールに設けた子会社経由でインドネシアの提携先であるミディ・ウタマ・インドネシアの株式を約3割取得した。国内規制でコンビニの資本構成は「国内資本100%」と定められている。規制の網は及ぶのか――。日系コンビニの取り組みを地元の官民は注意深く見守っている。

(ジャカルタ=渡辺禎央)

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