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ビッグデータ、民間で活用ルール、個人情報保護法の改正素案、政府IT戦略本部、対象範囲なお不透明。

[ 2014年6月10日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 政府のIT総合戦略本部は9日、個人情報保護法の改正素案をまとめた。ビッグデータ活用に使われるスマートフォン(スマホ)の位置情報やウェブサイトの利用履歴といったデータをどう管理するかが焦点。2016年以降に設立する第三者機関で保護対象とするデータを決めるが、それまでは企業が自主ルールを定めることを促す内容となっている。当面は企業がデータ活用の判断に迷うケースがありそうだ。

 個人情報保護法が成立したのは2003年。その後、IT(情報技術)の発達で、インターネット上などに個人が特定されかねない情報が数多く存在するようになった。戦略本部はこうした情報を法制度上、どう位置づけるか議論を進めてきた。6月中に大綱をまとめ、来年の通常国会に提出する見通しだ。

 戦略本部内に設置された「パーソナルデータに関する検討会」では当初、「準個人情報」と呼ぶ新たな情報管理区分を設ける案が浮上。準個人情報は(1)免許証番号やパソコンのIPアドレスなど継続的に使われるID(2)声紋・指紋や遺伝子情報など個人の身体的な特徴(3)ウェブサイト閲覧やネット通販の購買などの行動履歴――の3つに大別され、こうしたデータを取り扱う企業に義務を課すことを検討した。

 準個人情報は産業界が取り組み始めているビッグデータ活用と深く関わる。カゴメはアマゾンジャパン(東京・目黒)と組み、購買履歴データを分析してトマト飲料開発に役立てた。ヤフーとアスクルも共同運営するネット通販「ロハコ」の購買履歴データを企業と共有し、新商品の開発や販促に使い始めた。

 しかし準個人情報を個人情報に準じた取り扱いをしなければならなくなると、第三者にデータを提供するには個人が特定されるおそれのないようデータを加工する必要が生じる。「加工しすぎれば、データの有用性が失われかなねい」(新経済連盟)などとして産業界は強く反発した。

 9日にまとまった大綱案では準個人情報という区分そのものがなくなった。準個人情報に挙げられていた情報のうち、(2)の個人の身体的な特徴に関する情報は個人情報と位置づける。ウェブ閲覧履歴や購買履歴といったデータは非個人情報のまままで、活用するにあたっては新設する第三者機でプライバシーの侵害に当たるかを個別に判断するとした。産業界の反発を受け入れた格好だ。

 9日の検討会では異論も出た。議論のとりまとめ役である国立情報学研究所の佐藤一郎教授は「定義が曖昧なデータが残ったままでは、そのデータを活用した企業が思わぬ社会的批判を受けかねない。活用ルールを明確に定めるべき」と主張。一方、事務方は「現時点で保護対象を厳密に区分することはできず、第三者機関で取り扱いを決めることが適切」とした。

 もっともウェブ利用履歴などのデータの位置づけは企業にとって当面曖昧なままで、ビッグデータ活用が遅れる可能性がある。東日本旅客鉄道(JR東日本)は3月、ICカード乗車券「スイカ」の乗降履歴データの外部提供を見合わせると発表した。取り扱うデータがプライバシーの侵害にあたるかどうかが不透明なため。利用履歴やウェブ閲覧履歴などのデータの法的な位置づけがはっきりしなければ、JR東のようなケースが増えることがありそうだ。

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