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ウォルマート、米国で小型店強化、コンビニ型、食品に重点、「郊外で大規模」転換。

[ 2014年6月13日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 小売り世界最大手の米ウォルマート・ストアーズがお膝元の米国で小型店事業を強化する。コンビニエンスストア型に参入し、日本の食品スーパーのような小型店も年内に倍増する。主に手薄だった都市部に展開する。米国ではドラッグストアなどがコンビニやスーパーのような店を構えている。ウォルマートは郊外型の大規模店という創業時の事業モデルを転換し、新興勢に対抗する。

 ウォルマートが本社を置く南部アーカンソー州ベントンビル。創業者の名にちなんだS・ウォルトン街道に3月にオープンしたのが「ウォルマート・ツーゴー」だ。ツーゴー(toGO)は英語で「持ち帰り」の意味で、同店は気軽に立ち寄り短時間で買い物を済ませるコンビニ型。今後、全米に広げる計画だ。

 店内には日用品や飲み物、ジャンクフードも置く。営業時間は早朝5時から夜10時まで。同じ敷地にガソリンスタンド(GS)も併設する。車社会の米国ではGSが日本のコンビニの役割を担ってきた。ウォルマートもGSとセットにすることが多くなりそうだ。

 案内してくれた地元のタクシー運転手は「この田舎町からまた新しいビジネスが始まるのさ」と誇らしそうだった。

 1962年創業のウォルマートは「毎日低価格」をうたって低所得者から支持され、米流通業界の革命児となった。食品から服、日用品、家具、家電がそろう郊外の大型店で週末にまとめ買い――。そんな消費パターンを確立した。こうした創業以来の事業モデルを自ら変えようと言うのだ。

 「顧客はかつてないスピードで変わりつつある」。2月に就任したダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)はこう語る。最大の変化はネット通販の浸透だ。

 ウォルマートの顧客の65%はスマートフォンを持ち、そのうち49%が価格チェックに使う。「安売り王」ウォルマートもネットとの価格競争は後手に回ってきた。そこでネット通販が難しく、浸透率が1%にとどまる食品を小回りの利く小型店で提供する戦略に出た。

 もう一つの変化が経済格差の加速。米国の貧困人口は5千万人に達したが、貧困層は都市部に集まる傾向が強い。必要な食品だけ買える小型店網を都市部に配し、このニーズも取り込む構えだ。

 ライバルは育ち始めている。日本の100円ショップに近いダラー・ゼネラルは米国内の店舗数がウォルマートの2倍以上にあたる約1万1千。ウォルマート最大の顧客層である低所得者を取り込んでいる。CVSケアマークなどのドラッグストアも食品コーナーを強化している。一方、「ウォルマート」業態の米国内の既存店は2014年2〜4月期に5四半期連続の減収になった。

 ウォルマートは日本の食品スーパーに近い「ネイバーフッド」を346店、「エクスプレス」を20店展開。来年1月までに120〜150店としていた両小型店の出店計画を最大300店と倍増した。これに加え、コンビニを導入するわけだ。

 さらに小回りを追求する計画も動き始めた。ドライブスルー専門店だ。顧客はネットで商品を買い、受取場所と時間を指定。車を走らせて商品を受け取る仕組みだ。まず1万点ほどの食品を対象にサービスを始める予定で、地元ベントンビルで実験店の建設を始めた。

 郊外型大型店は米国のクルマ社会の発展と歩調を合わせて成長した。創業から半世紀でその形を変えるウォルマートの挑戦は、「買いだめ」だった米国人の“賢い消費”の形が「欲しいときに欲しいモノを」へと急速に変わっていることを意味する。小売りの巨人の変身は米流通業界を揺るがすパワーを秘めている。

(米アーカンソー州ベントンビルで、杉本貴司)

【表】ウォルマートの店舗形態         

店名   広さ(平均)   特 徴   店舗数

スーパーセンター   18万2000平方フィート   現在の主力。食品から家電、服、日用品、家具までそろう超大型店   3313(年内に〓115店追加)

ディスカウント・ストア   10万6000平方フィート   創業時からのビジネスモデル   499

ネイバーフッド   3万8000平方フィート   食品と医薬品が中心。日本の食品スーパーに近い   346(来年1月までに最大〓300店追加*)

エクスプレス   1万2000平方フィート   ネイバーフッドより一回り小さい。主に都市部に立地   20

ツーゴー   5000平方フィート   日本のコンビニに相当   1(段階的に拡大)

(注)数字はいずれも米国内。*はエクスプレス含む。このほかに、会員制の「サムズクラブ」         

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