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サントリー新浪次期社長インタビュー、「自信も怖さもある」。

[ 2014年7月2日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 サントリーホールディングス(HD)は1日、新浪剛史ローソン会長(55)が10月1日に社長に就任すると発表した。新浪氏は日本経済新聞の取材に対し「サントリーのグローバル化推進が最大の使命だ」と意欲を示す一方、「自信も怖さもある」と心境を吐露した。会長に専念することになる創業家の佐治信忠氏(68)との信頼関係を築いて、収益拡大に貢献していく考えだ。(関連記事を企業面、詳細を電子版に)

佐治さんとなら

 ――社長に就任することになった経緯は。

 「3年ほど前に佐治会長兼社長に『ウチに来ないか』と声をかけていただいたのが最初だ。前向きに考えるようになったのは昨年9月ごろ。玉塚(元一・現ローソン社長、52)の仕事ぶりを見て、任せても大丈夫だと思った。他の役員も、こんなにうるさいボスの下でよく育ってくれた」

 「決め手となったのは今年2月に佐治さんと食事をした時。『アメリカのビーム(現ビームサントリー)を買うことになったから、一緒にやろうや』と誘われた。こんな決断ができるのは佐治さんだけだ、この人と世界で戦いたいと思った」

 ――いまの心境は。

 「自信が無ければ社長を受けないが、怖さもある。正直、もっと楽な道もあったと思う。ローソンに残ることも、外資系企業なども考えられた。でも、55歳という年齢を考えると、次が最後だと思ってサントリーに移ることを決めた」

独裁者になってた

 ――ローソンを去ることに、ためらいはありませんか。

 「寂しさはすごくあるが、自分自身の成長のためにも、ここで切らなきゃいけないと思った。いろんな人から、長くローソンの会長を続けてほしいと言われたが、会長の立場だと僕はすべてに口を出してしまう。43歳でローソン社長になり、会社が潰れそうななかで、すべて自分でやってきた。その頃のトラウマがあって、みんなで一緒にやることが、どうしてもできない。後半は独裁者になっていたし、そこに危機感を感じていた」

 ――経営スタイルを変えるのですか。

 「もっと人に任せようと思う。黙っていても、意図をくんで周りが動いてくれるようなかたちをつくりたい。6月初旬に久しぶりにローソンの取締役会に出て、やっぱり自分ですべて仕切ってしまった。これではだめだ。僕自身、変わろうと思う」

 ――具体的な役割は。

 「最大のミッション(使命)はグローバル化だ。グループ各社の連携を深め、国内外で相乗効果を上げていく。どんなグローバル企業が目標なのかという、ビジョンも明確にする。目指すのはネスレなのか、ユニリーバなのか。外国人経営者を招くとか、英語が得意な人間を持ってくるとか、そんな単純な話ではない」

 ――佐治氏は、新浪会長の国際性や海外人脈に期待しています。

 「国際性といわれると自信が無いが、こういう面白いことがあるよと教えてくれる人や、何かあれば警鐘を鳴らしてくれる人はそれなりにいる。ダボス会議や米日財団での交流が、これから生きてくると思う」

 ――サントリーには、外部からの社長起用に戸惑う声もあるようです。

 「『新浪がなんぼのもんだ』と考える人もいるだろう。まずは現場との対話から始めたい。『急がば回れ』ということをローソンで痛いほど学んだ」

 ――これまで小売業のライバルだった企業が得意先になる。やりにくくありませんか。

 「不安も少しある。ただ、僕自身はローソンを吹っ切ってやるつもりだ。小売業のお客様には、佐治さんについて挨拶から始めたい」

 ――佐治会長との意思疎通が大切になりますね。

 「大事なのは、いいことも悪いことも、佐治さんとしっかり議論できる関係をつくることだと思う。これができると思ったからサントリーに入ることにした」

信宏さん育てる

 ――創業家のトップ候補には、サントリー食品インターナショナルの鳥井信宏社長(48)がいます。

 「佐治さんからは、信宏さんを育ててほしいと言われている。グローバルな事業展開においては経営のスピードが重要で、創業家には推進力がある。信宏さんに社長を引き継げればベストだと思う」

 「(今回の人事で)サントリーは『脱創業家』といわれているが、それは違う。変化が激しい時代はオーナー経営者の方がいい。僕はワンポイントで、その間にグローバル化を進めて次につなげたいと思う」

(聞き手は中山修志)

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