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セブン―イレブン・ジャパン40年――素人集団の突破力(革新力)

[ 2014年7月9日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 セブン―イレブン・ジャパン40年の足跡は常識破りの連続にある。(1面参照)

 業績のけん引役のプライベートブランド(PB)商品、セブンプレミアム。一般的なPBにはメーカー名の記載はないがセブンプレミアムにはある。メーカーは特定の小売企業に肩入れしていると分かることを嫌うが、鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス会長は「メーカー名は消費者の商品選びの大切な要素」として理解を求めた。

 業界の都合や常識は消費者からは奇異に映るものが多い。創業当時の物流体制もそうだ。メーカーは系列の物流業者から店へ配送。1日に70台のトラックが店に横付けされていた。セブンは共同配送を提案。最初、メーカーは強く抵抗したが、導入すると積載率が大幅に改善した。今では配送台数は約9台だ。

 一方、配送を増やしたのが弁当やおにぎり類。1980年代に1日2便を3便にした。ここでも当初、工場は深夜労働につながると難色を示した。説得役はセブン現社長の井阪隆一氏。「鮮度の良い商品を提供できれば売り上げも良くなる」。確かにその通りになった。朝、昼、晩に合わせた品ぞろえは支持された。

 顧客目線の姿勢は創業当時に遡る。セブン設立に際して当時の親会社のイトーヨーカ堂は余裕が無く、人材の派遣を渋った。結果として小売りと無縁の人材を集めるしかなかった。その素人集団の目線こそが、流通業界の非効率さを浮き上がらせることになる。

 精緻な情報システムで販売管理を行うセブンだが時折、「データを見るな」という指示が鈴木氏から出る。惰性での仕事を戒め、いま一度、自らの手足を動かしたうえで、顧客のニーズがどこにあるかを自分の頭で考えさせるためだ。

 コンビニ、スーパー、百貨店、専門店、外食など幅広い業態を持ち、世界にまれに見る総合流通グループを築き上げたセブン&アイ。だが、コンビニ事業だけが突出し、総合力、相乗効果の果実はまだ手にしていない。時価総額は約4兆円と、単純に比較できないものの統合前のセブンイレブン1社のそれを下回る。

 果実を手にする切り札と位置付けるのがオムニチャネルと呼ぶネットとリアルの店舗を融合させたビジネスモデルだが始まったばかりで未知数だ。

 コンビニ事業参入、24時間営業への転換、米国の本家セブンへの救済買収、コンビニ銀行設立。どれも業界、専門家からは「無謀」「成り立たない」と言われた。オムニチャネルにも懐疑的な声もあるが、素人集団であり続けるセブンの目を通せば、どれも顧客のニーズがある金脈に見えるのだろう。

 消費者の求めるモノは変わり続ける。高齢社会になれば新たな便利さが求められる。顧客目線は革新力の源泉だ。不惑となったセブン。強固かつ柔軟な組織でいられるのは強烈なリーダーシップを持つ鈴木氏がいるからこそ。“ポスト鈴木”が明確に描ききれないところにセブン&アイグループの惑いがある。

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