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日経の紙面から

スーパーで買う人、減っているの――少量買いへの対応遅れる、メーカーもコンビニ重視。

[ 2014年7月4日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 新聞の折り込みのスーパーのチラシをチェックするのが日課の消費花子さんは、最近気になることがあります。高級食パンや100円コーヒーなどコンビニエンスストアの話題が目立ちますが、あまりスーパー発のヒット商品の話は聞きません。お店の売り上げも伸びていないと聞くし......。なぜスーパーが苦戦しているのか、中村直文編集委員が答えます。

 花子さん 近所のスーパーへ行くと、人はたくさんいます。でも「以前より売り上げは減っている」と新聞で読みましたが......。

 中村さん 生活必需品を扱っているので、見た目ではわかりにくいと思います。ただ全体の統計を見ると、苦戦ぶりははっきりしています。日本チェーンストア協会がまとめた2013年の全国のスーパーの既存店売上高は12年に比べ0・7%減っています。マイナスは1997年以来、17年連続です。

 理由の1つは衣料品の売り上げが落ちていることです。総合スーパーでは売上高の2割程度を占めていますが、ファーストリテイリングが運営するカジュアル衣料品の「ユニクロ」が成長してからは、大きな打撃を受けるようになりました。自社で企画し、海外の工場に直接生産を委託しているユニクロの商品は割安感があり、スーパーの顧客が流れるようになりました。

 花子さん それでも食品は値段が重要で、コンビニよりスーパーの方が安いですよね。

 中村さん 歴史的に言うと、スーパーの成長が日本の食品物価を押し下げたのは間違いないでしょう。ダイエーが登場した1960年代の頃はメーカーの方が小売店よりも強く、価格決定権を持っていました。「そうは問屋が卸さない」という言葉に代表されるように、小売店は商品を仕入れること自体が難しい時代もあったのです。

 ところが大量生産・大量消費の時代を迎えると、流れが変わります。大量に商品を仕入れ、セルフ方式で商品を安く売るスーパーが全国に広がり、割引競争が活発になりました。一方、コンビニは安く売るより、「近くて便利」という機能を優先しています。このため今も全体的にはスーパーの方が安いわけです。

 花子さん なぜ主役が代わったのですか。

 中村さん 日本の消費構造が大きく変化したからです。核家族化に加え、晩婚・未婚化で世帯あたりの人口は減少しました。この結果、1度の買い物で大量に買う購買行動は減り、「少量買い」が増えました。一方、スーパーは長い間、4〜5人の家族向けを対象とした店作りを進めてきました。このため、総菜や弁当など少量購入型への対応が遅れてしまったわけです。

 もちろん、スーパーの経営者もこの流れは理解はしていますし、少量型の商品作りを急いでいます。しかし、コンビニの店舗数は約5万店になり、さらに少量型の商品作りを先行しています。そのため、最近では食品メーカーはまずはコンビニとの取引を重視した商品開発を進めています。このためスーパーよりコンビニでの買い物を増やす消費者がますます増えていくのです。

 花子さん そうなると、いずれスーパーは消えていくのでしょうか。

 中村さん スーパーが新しい小売りビジネスとして登場した頃は、「スーッと出て、パーッと消えるので、スーパー」と皮肉られました。苦戦しているとは言っても12兆円の市場規模があり、消費の中心であることに変わりはありません。ただし、どこでも買えるような商品をそろえるだけのスーパーは消えていくでしょう。

 例えば総菜に強いスーパー、圧倒的に安いスーパー、コンビニに近いミニスーパーなど特徴を出したスーパーが増えるでしょう。少子高齢化がさらに進む中で、強いスーパーだけが生き残るでしょうね。

もっと分かる
ドラッグ店とも競合

 一時は百貨店が「構造不況」と言われ、閉店が続きました。ところがアベノミクスに加え、高齢化が進むと、百貨店の売り上げ減は落ち着きました。一方、スーパーはまだ落ち着いていません。市場は低迷しているのですが、出店は増え続け、需給ギャップが今も拡大しているからです。

 しかも「敵」はコンビニエンスストアだけではありません。近年はドラッグストアが食品の品ぞろえを増やし、「スーパー化」しています。高齢化で医薬品もそろえたドラッグストアは今も成長しています。

 消費者は価格、近さ、品ぞろえ、品質など総合的な見地から買い物をするだけで、インターネットも含め、一段と業界の垣根は低くなりそうです。

 この結果、スーパーはイオン、セブン&アイ・ホールディングスや地域の大手小売りチェーンを中心に買収も増えそうです。小売りは再編と融合の時代に突入しました。

クイズ豆知識

次のうち、最も売上高が多いスーパーはどれですか。

(1)イズミヤ (2)バロー (3)ヤオコー

(4)ユニー)(4)はえ答(

今週の先生
中村直文編集委員

消費花子
 小学校1年の娘がいる専業主婦。36歳

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