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セブンイレブン、ネット融合戦略、ビッグデータ、現場で活用――発注や販促の検証に(日経BP専門誌から)

[ 2014年7月30日 / 日経産業新聞 ]

日経Big Data

 セブン&アイグループにおけるビッグデータ活用の狙いや体制の概要の一端が、日経ビッグデータ誌の取材で明らかになった。店舗での発注精度を高めるために、店員が持つ発注端末にビッグデータの分析結果を表示する。つまり、この戦略の成功のカギは約30万人の店員が握る。

 現在、グループの主要事業会社に加え、ヤフーやグーグル、日本オラクル、NEC、NTTデータなどIT(情報技術)企業からの出向者も含めた約130人によって、「会員」「サイト」「店舗」「商品」「物流」「メディア」「ビッグデータ」の計7つのワーキンググループを動かし、戦略の詳細を詰めている。

第2のステージ

 「米ウォルマート・ストアーズなど(本部が商品発注を担う)セントラルバイイングを導入している米流通企業とは、ビッグデータ活用の前提が異なる。セブン&アイグループは、店舗の現場で活用できなければ意味がないと考えている。店舗の担当者約30万人が商品の発注などをする際に、ビッグデータの分析結果を活用してもらうことこそ、我々のグループが目指すところだ」

 グループのオムニチャネルの推進役を担うセブン&アイ・ネットメディアの鈴木康弘社長は、ビッグデータ活用に関する米国企業との違いをこのように明確に説明する。

 鈴木社長が率いるセブン&アイ・ネットメディアは、EC(電子商取引)サイト運営のセブンネットショッピングとグループ中間持ち株会社の旧セブン&アイ・ネットメディアが合併し、2014年3月1日に発足。グループと連携を取りながら、オムニチャネル戦略を推進している。

 鈴木社長はオムニチャネルについて、「オムニは『すべて』、チャネルは『お客様との接点』という意味であり、セブン&アイグループ全体として取り組んでいく」と話す。そのうえで、セブン&アイグループとしてのオムニチャネルの定義を以下のように説明する。

 (1)グループとして、いつでもどこでもお客様が買える売り場を作る。店舗でも家でも、スマホを使って移動中でも商品やサービスを買えるようにする。

 (2)ネットはワンクリックでいろいろな店に行けるので、新しくて上質な商品を手掛けたりグループでセブンプレミアムを売ったりと、新しい商品をどんどん開発する。

 (3)高齢者など、ネットで購入するのが不安な方には、コンビニのレジで注文できるようにしたり、タブレット(多機能携帯端末)を持った店舗の店員が自宅まで出向いて御用聞きして注文を受けたりするようにする。

 同社のオムニチャネル戦略は、店舗数やさまざまな業態のシナジーを生かしていく。例えば「そごうや西武で売っている百貨店の商品をセブン―イレブンで手に入れられるようにすれば、約3000アイテムしか置けないコンビニ最大の弱点を克服できる」(鈴木社長)。

 13年12月16日に、広島県内にある470店舗のセブン―イレブンで、そごう・西武が運営するECサイト「e・デパート」で注文を受けた「デパ地下和洋菓子」38ブランド、320アイテムが受け取れるサービスを開始したところ「1日で虎屋のようかんが70本も売れた」(鈴木社長)と言う。

最大の弱点克服

 グループ傘下に入った乳幼児向け商品の「アカチャンホンポ」や、家具・インテリアの「フランフラン」などの専門店が様々な商品を取り扱っている。それらの商品をネットで注文してセブン―イレブンで受け取れるようにすれば、3000アイテムしか置けないコンビニ最大の弱点を克服するどころか、グループ全体の売り上げや利益を押し上げられる。

 セブン&アイとしては、ビッグデータもこれまでのPOS(販売時点情報管理)データなどと同様に、あくまで新しい商品やサービス、顧客が望む品ぞろえといった仮説を検証するために活用する。どの商品をどう販促したらどう売れたか、データによって精緻に検証するというものだ。

 鈴木社長が例に挙げるのは自主企画商品セブンプレミアムの「金の食パン」。コンビニが通常扱う食パンよりもやや高価格帯の商品である。「消費者は安売りに飽きたのではないか、上質なものが求められているのではないかという仮説を立てられるかどうかが重要だ。ビッグデータは仮説の検証に使う」

 米アップルのタブレット(多機能携帯端末)「iPad(アイパッド)」のような発注端末で店員がビッグデータの分析結果を取り扱えるようにするという。商品の売れ行きに影響を与えるテレビ番組、そして客足に影響する天気予報や地域の催し物に関する情報など、多様なデータを表示できるようにする。

 セブン&アイグループのオムニチャネルプロジェクトには7つのワーキンググループ(WG)があり、昨年12月から活動している。鈴木社長はすべてに参加している。

 ビッグデータWGでは、販売データをどう活用するか、顧客の行動データをどう取るか、公共データとどう連携するか、データそのものは自社で持つか、外部で持つかといったテーマについて検討している。今後、セブン&アイ・ネットメディアは、ビッグデータを蓄積して分析・活用するためのインフラの構築を進めていく。向こう3年で数百億円規模のシステム投資になるという。

 詳細は未公表だが、14年度は100ぐらいの実験とシステム開発が並行して走るもよう。

 例えば、ECサイト「セブンネットショッピング」において、ヤフーと企業のサイト利用者データを組み合わせて分析・コンサルティングするサービス「プライベートDMP」を活用した販促の実験をする。

 また、セブン―イレブンの食事宅配サービス配達員が持つ端末でECサイトの注文を受け付ける実験も予定している。

 こうした実験の結果を受けて、15年度にオムニチャネル戦略とビッグデータ活用に関して、何らかの方針を打ち出すとみられる。

(日経ビッグデータ2014年4月号、多田和市)

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