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日経の紙面から

ファミリーマート社長中山勇さん――投資惜しまず時間買う、強い商品並べる土台に(トップに聞く)

[ 2014年8月18日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 国内3位のコンビニエンスストア、ファミリーマートはアジアで積極的に出店を拡大している。中山勇社長は「パートナーはドリームチーム」と呼ぶほど、各国の有力企業がそろい、今後も高い成長を期待する。むしろ課題は国内のてこ入れだ。首位のセブン―イレブン・ジャパンとの差はじわりと広がる。「追いつくための時間が惜しい。取引先や協力工場への投資は惜しみません」強い決意で追撃の意欲を語った。(聞き手は日経MJ編集長 下原口徹)

 ――使用していた中国産チキンで衛生上、大きな問題になりました。教訓をどう生かしますか。

 「中国では取り組みをゼロベースで見直して、再発しない契機にします。今後は工場内に日系の品質管理の方がいる企業と組むことが次のステップです。コストアップ要因になりますが、2回目は起こせませんから慎重に取り組みます」

海外出店拡大
中国は軌道に

 ――海外の出店を急拡大しています。中国は軌道に乗ってきたとか。

 「昨年下期に黒字になりました。今年は年間では初めて黒字となるでしょう。昨年はフランチャイズチェーン(FC)店は全体の3割にとどまっていましたが、今年は6割超になりました。FC化が黒字の決め手です。出店数は年間約300店で総店舗数は1300超です。今年北京に出て、上海、深〓(広東省)、広州(同)、杭州(浙江省)、無錫(江蘇省)、蘇州(同)、成都(四川省)の8地域になり、2020年までに5000店は現実的な数字です」

 ――韓国からは撤退しました。

 「韓国ではFCへの政府の規制などが厳しくなり日本型コンビニを運営するのが難しくなってきました。提携相手が上場を検討し始め、イグジット(出口)の時期だと判断しました。持ち株は250億円で売れ、約100億円のキャッシュが入ってきました。日本での積極出店を進めるためにも資金が必要でした」

 ――東南アジアを本格的に攻めるのですね。

 「メコンデルタ、ミャンマーからサイゴンまでのベルト内に2億数千万の消費者がいます。加えてインドネシア。外資大手が参入しづらい環境ですが、2億4千万の人口があり、1人当たり国内総生産(GDP)も3700ドルあり、とても有望なマーケットです」

 ――内外店舗数が逆転するのはいつですか。

 「国内が現在、1万1千店ですが、20年までに1万8千店にしたい。20年の達成は難しいですが、早いうちに日本と同数の店舗を海外に作りたい。中国のスタッフは20年代の早い時期に、『日本を抜く』と言っています。ぜひ、そうなってほしい。海外は本当に楽しみです。パートナーが素晴らしいから。頂新、セントラルなどアジアのトップクラスの企業ばかり。ドリームチームです」

 ――順調な海外に比べ、国内は厳しい。既存店の陳腐化への対応は。

 「顧客ニーズやライフスタイルの変化に合わせるために『+ファミリーマート』という出店を始めています。ファミマともう1つの共同店舗です。ドラッグストア、調剤薬局、スーパー、全農、カラオケ、定食店など。例えばドラッグストアなどにメガFCとして店舗を増やしてもらいます。この仕組みで約3000店出したい。次世代コンビニのフォーマットをつくりたいのです」

 ――セブンイレブンとの差は依然大きい。

 「お客様はすごい正直です。トップ企業との差は日販の差。どこで差がつくか。比較調査すると、当社が遅れているなと思う商品の売れ行きは弱い。自信があるチキンやサンドイッチなどの調理パンは売れます。しっかり設備投資して餌から管理するなど仕組みがしっかりしているから。負けている商品には理由があるのです。決してサボっていたわけではありませんが、先方が進んでいたわけです。弱い部分のインフラを作り替える基礎工事に取り組みます」

 ――取引先、協力工場との関係を強化するということですね。

 「ジョイアス・フーズという麺のベンダーを100%子会社としました。これまでは豆腐や清酒も造っていましたが、一切やめて我々だけのパスタなどの製麺に特化してもらいます。出資してさらに設備投資してとお金もかかりますが、こうでもしないとトップ企業との差は埋まりません」

金融サービス
焦らずに強化

 ――セブンは緊張感を保つために協力会社にあえて出資はしません。

 「そういう取り組みもある。ただ、僕らは時間を買いたい。もちろん投資がない方がいいが、基礎工事を進めて追いつくための時間が惜しい。必要な時は投資します」

 ――ジャパンネット銀行に出資準備をしていますが、狙いは。

 「『ネット』『シニア』『金融サービス』の3つを強化したい。金融サービスがATMだけではさみしい。アジアの方々も行き来が多くなる中、カード1枚でお金も下ろせて送金もできてポイントもたまるという世界は現実的。その時、ネットバンキングの会社との取り組みは大切です。出資は数%じゃ収まらないかもしれません。ただ焦らずに実績を作ってから次のステップに進みたい」

業績データから
日販、セブンと差大きく

 ファミリーマートの2014年2月期の連結売上高は前年同期比3・4%増となる3456億円、経常利益は4・1%増の473億円となり4期連続で過去最高を更新した。高品質で価格も高めのサンドイッチや総菜などを拡充して売り上げを伸ばし、いれたてコーヒーも好調だった。海外では中国事業テコ入れの効果も出ている。

 気がかりなのは足元の業績だ。14年3〜5月期は経常利益が前年同期比12・3%減で、4四半期ぶりの減益となった。今期の新規出店数はセブン―イレブン・ジャパンに対抗して過去最大の1600店を計画するが、店舗投資のコストが膨らんでいる。1店1日あたりの平均売上高(日販)でもセブンの約66万円に対して、ファミマは約52万円と差は歴然で、今後のテコ入れ策が課題となっている。(松田直樹)

 なかやま・いさむ 1981年伊藤忠商事入社。油脂部長、広報部長などを経て2012年常務執行役員。13年1月にファミリーマート社長に就任。大学時代は体育会アメフト部のレギュラーとして活躍した。56歳。

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