日経メッセ > フランチャイズ・ショー > ニュース > 未来面――セブン&アイ・ホールディングス会長鈴木敏文氏、課題01、社会が期待するコンビニの役割は。

日経の紙面から

未来面――セブン&アイ・ホールディングス会長鈴木敏文氏、課題01、社会が期待するコンビニの役割は。

[ 2014年8月25日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

講評

構造変化への強いメッセージ

 コンビニエンスストアの売り場面積は平均100平方メートル強。とても小さいのに、その潜在力に寄せる皆様の期待は大きく、改めて身の引き締まる思いです。皆さんが日本の未来に危機感を抱いていることも伝わってきました。もはや過去からの延長線上でビジネスを組み立てても、新たな社会的問題に対応することは不可能です。「セブンイレブンも思い切った構造変化をしろ!」との強いメッセージと受け取りました。

 その構造変化を指摘した「新時代の玄関口」。これはまさにセブン&アイ・ホールディングスが真剣に取り組むネットと店舗を融合したオムニチャネルの考えの一つだと思います。セブンイレブンの店舗を百貨店(そごう・西武)、専門店(赤ちゃん本舗、ロフトなど)などへの玄関口と捉え、ネットで注文してセブンイレブンの店舗で受け取る仕組みは、仕事のやり方を抜本的に変えないと実現できません。

 投稿で最も多かったのが高齢者を意識したサービスへの期待でした。約40年前の創業時、独身や若い一人暮らし男性が主なお客様だった時代から、「買い物弱者の味方」はまさに時代の要請です。約1万7000店あるセブンイレブンは生活者に最も近い存在です。売るだけではなく届けることも事業領域になっていくでしょう。

 「全店を行政窓口化」などのように行政サービスへの要望も目立ちました。行政機能の一部を担うのは、それだけ責任が重くなります。IT(情報技術)を活用して正確で迅速な処理を実現し、店舗の作業性を高め、お待たせすることなくご利用いただく。これがイノベーションです。期待に応えるべく、改めて皆さんが思いもしない商品やサービスを提供したいと思います。

便利さを見つめ直す

 米国生まれのコンビニエンスストアは1990年ごろに、その本国で破綻が相次ぎました。終日営業のスーパーの登場が苦境に追いやったといわれましたが、真相は「本来の便利さの提供を怠った」からでした。日本のセブンイレブンがお手本だった米社に資本参加して再建を成し遂げたのは、便利さを見つめ直したからです。「今、求められる便利さ」とは何か。読者が指摘した高齢・ネット社会、行政問題のメガトレンドに答えがあるようです。(編集委員 田中陽)

アイデア 001
新時代の玄関口
渡辺秀樹(27) 会社員

 目まぐるしく商品が変わり、何となく雰囲気も新鮮になるコンビニエンスストア。世の流行には、まずネットで触れることが多いが、それが想像の域を出ないのは目の前に実物がないから。

 コンビニに行くたび、新しい何かに出合う。「あ、今これが売れてるんだ。こんな飲み物もあるのか」。早々に消える商品かもしれないが、目の前にあること、それが大事。コンビニは数平方メートルの広さで世界を具現化する、新時代への玄関口のような気がする。

アイデア 002
買い物弱者の味方
小板橋克志(19) 中央大学商学部1年

 迎えつつある時代の流れは、今まで見てきたものと大きく異なると思う。若年層の勢いによって変化した時代から、高齢者の人口増加によって変化する時代へ。それでも、その時代に問題を解決できるのは唯一、やはりコンビニエンスストアしかないとも考える。店舗面積が小さいまま、買い物弱者に最も近くいられるのはコンビニしかない。より地域密着型の店に変化していき、地域コミュニティーの拠点となることが必要不可欠のように考える。

アイデア 003
全店を行政窓口化
小菅秀太(28) 公務員

 もし全店舗が行政サービスの窓口になったらどうか。役所の窓口では時間外サービスを拡大しているが、まだ不十分だ。国民の生活インフラとなっているコンビニと行政が結び付けば住民サービスの向上とコンビニの発展につながる。住民票などの発行だけでなく、簡易的な取り次ぎサービスもあればいい。行政に携わる私自身、コンビニには無限の可能性を感じる。多くの反対を招くかもしれないが、このような分野にこそ成長の芽があるはずだ。

経営者と話そう。

 未来面は、読者や企業の皆さんとともに議論する紙面です。今期のテーマは「経営者と話そう」としました。

 鈴木敏文さんの提示した「社会が期待するコンビニの役割は」という課題に対するアイデアを募ったところ、多数のご投稿をいただきました。

 ここで紹介したのは、ほんの一部です。紙面に掲載できなかったアイデアの一部を、日経電子版の特設コーナー「未来面 経営者と話そう」(http://www.nikkei.com/mirai2014/)で紹介しています。電子版でWeb刊→コラム→未来面とコーナー名をたどってください。

 次回、9月1日掲載の未来面で提示する課題は、三菱ケミカルホールディングス社長・小林喜光さんの「地球と共存するために、今やるべきことは」です。学生の皆さんのアイデアをお待ちしております。

ニュースの最新記事

PAGE TOP