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成城石井、ローソンが買収発表――幻の共同買収提案、三越伊勢丹、執念届かず(真相深層)

[ 2014年10月1日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 ローソンは30日、高級スーパーの成城石井の買収を発表した。買収には大手小売り各社が名乗りを上げ争奪戦となった。なかでも買収交渉に最終局面まで残った三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、ローソンとの「共同買収」という大胆な提案で成城石井の経営に参画しようと執念を見せた。

高収益力を重視

 「(成城石井は)スーパーではなく、当社の目指す小商圏型の製造小売業に近い」。買収発表後の30日夕方、アナリストとの電話会議でローソンの吉武豊最高財務責任者(CFO)は成城石井の魅力をこう強調した。

 成城石井は全商品の4割を製造段階から関わる独自商品が占め、粗利益率は40%弱に達する。一般的なスーパーは20%台で、足元の業績が好調のヤオコー、マルエツの30%強と比べても突出している。売上高営業利益率6%超(2013年12月期)の高収益力は、かねて小売業界で注目の的だった。

 今春就任したローソンの玉塚元一社長は、18年2月期に連結営業利益1000億円(今期予想は750億円)を目標に掲げる。達成に向けM&A(合併・買収)を積極化する方針を示していた。そんな中で売りに出たのが成城石井だ。

 今年5月初め、同社の全株式を保有する三菱商事系の投資ファンドの丸の内キャピタルが、全株式を売却する意向を小売り各社に表明。高収益を誇る企業が売りに出されたとあり、水面下で買収を検討する企業は複数あったという。なかでも熱心に買収を希望したのがローソン、三越伊勢丹HD、イオンの3社だった。

 争奪戦から最初に脱落したのはイオンだ。同社の提示した額は、ローソンと三越伊勢丹HDを大幅に下回っており、丸の内キャピタルから断りの連絡が入った。残った2社はその後、成城石井の資産査定(デューデリジェンス)を進め、8月上旬に丸の内キャピタルは正式入札を実施した。

 両社が入札で提示した価格はいずれも500億円弱とみられ、差はほとんどなかったという。ただ、三越伊勢丹HDは、入札で示した額が支払える限界だった。結局この入札では価格が折り合わず、丸の内キャピタルが両社の提案を拒否。提示額が上限いっぱいだった三越伊勢丹HDは買収を断念すると思われたが、ここで大胆な策に出る。

子会社再建狙う

 9月10日夜。ローソンと三越伊勢丹HDの首脳が東京都内で2対2の極秘会合を持った。「共同買収の線でいけないか」。三越伊勢丹側が持ちかけたのは買収資金を一部負担することで、成城石井に少額出資する提案だった。

 価格面での劣勢を悟った三越伊勢丹HDが、共同買収を持ちかけてまで成城石井にこだわった理由は、傘下の高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」の苦境にある。

 都内を中心に、同店を約20店運営する子会社の三越伊勢丹フードサービスの14年3月期の営業損益は1億6500万円の赤字。14年4〜6月期も赤字から脱することができなかった。「品ぞろえなどを基本から立て直している」(三越伊勢丹HDの大西洋社長)現状で、商品や店舗開発の面で成城石井が持つノウハウをクイーンズ伊勢丹の立て直しに生かす思惑があった。

 しかし、この日の会合は株式を分け合う比率などの条件で折り合えず、決裂した。成城石井の自主性を尊重することにこだわったローソンは、単独での買収を決断。当初の提案から50億円以上引き上げて、550億円(有利子負債を含む)の買収額で丸の内キャピタルと合意に至った。

 ローソンは、5カ月にわたる買収合戦の末に獲得した成城石井のブランド力を維持しながら、グループ全体の成長力につなげていくことができるのか。買収が完了する10月末以降、玉塚社長に課せられた課題だ。(伊原健作、松田直樹)

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