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ミャンマー、コンビニ旋風――地元企業出店、「日本を研究」(アジアFocus)

[ 2015年2月23日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 【ヤンゴン=松井基一】ミャンマーでコンビニエンスストア市場が生まれつつある。2011年の民主化を機に、小売り最大手のシティマート・ホールディング(HD)など地元企業が積極出店。24時間営業や中食の提供などで、新たな消費スタイルを広めている。流通業の外資規制も緩和の方向に向かっており、将来は海外勢にも商機が広がりそうだ。

 同国最大都市、ヤンゴンのダウンタウン。英国植民地時代からの石造りの建物が並ぶ街区で、シティマートHD傘下のコンビニ「シティ・エクスプレス」の店がまた1つ開業した。

 店の広さは50平方メートルほどだ。飲料やインスタント麺だけでなく、熱々のチキンナゲットなどのファストフード、歯磨き粉や化粧品などの日用品、新聞やファッション誌なども並んでいる。品ぞろえは日本のコンビニに見劣りしない。タイや韓国の商品が中心だが、日本のブランドの商品も混じっている。

 「先進的な日本の小売業を研究して、商品の陳列やサービスを作り込んだ」とウィン・ウィン・ティン社長は明かす。ティン社長は2000年代から日本を定期的に訪れ、ビジネスのヒントを得てきたという。

 軍政時代のミャンマーでは消費者の身近にあった流通業といえば、ロードサイドの「パパ・ママストア」くらいだった。総合スーパー(GMS)などの近代的な小売業が民主化以降に台頭してきた。なかでも勢いが目立つのがコンビニだ。

 シティマートHDは1996年の発足。傘下にGMSや食品スーパー、ショッピングセンターなど多彩な小売り業態を持つ。シティ・エクスプレスは12年に展開を始め、店舗数は3年間で40を超えた。「18年までに200店体制にする」。ティン社長の鼻息は荒い。

 飲料品大手キャピタル・ダイヤモンド・スターグループが「グラブ・アンド・ゴー」、小売業のTMWエンタープライズが「ABC」のブランドでそれぞれコンビニを展開している。シティマートを含む3つのブランドを中心に、ミャンマー国内には現在、コンビニが約200店あるとみられる。シティマートの大量出店により、店舗数は3年以内に現在の2倍以上に増える計算だ。

 シティ・エクスプレスやグラブ・アンド・ゴーは終夜営業。商店の多くが午後9時には閉店するヤンゴンで、深夜でも明かりがともるコンビニはミャンマーの新たな消費文化の象徴だ。外国人向け高級百貨店の総菜くらいしかなかった中食文化の裾野を広げることにも寄与している。

 コンビニの国内店舗の9割はヤンゴンに集中しているが、地方への出店も始まった。ヤンゴンにしか店がなかったABCは昨年11月、初めてヤンゴン近郊に進出。現在はミャンマー第2の都市、マンダレーに5店を展開している。昨年末の店舗数が約40だったグラブ・アンド・ゴーも首都ネピドーに進出。5店の開業を決めているマンダレーも、ヤンゴンと並ぶ柱とする計画だ。

外資規制 緩和の兆し
出店余地 日本勢も好機

 ミャンマーでコンビニ事業を手掛けるのは現在、シティマートHDなど国内企業に限られている。軍政時代に制定された外国投資法の通達によって、一部の大規模商業施設を除けば流通業への外資参入が禁じられてきたためだ。東南アジアに広く展開している日系チェーンを含め、海外勢は進出していない。

 状況に変化の兆しが見えたのが昨年8月だ。政府の投資委員会が規制根拠となっていた通達を改正。約200の規制業種を半分に減らし、小売業や卸売業を規制業種から除外した。これにより、流通分野の外資規制は形式上は撤廃された。

 もっとも、流通業の監督官庁である商業省はこの通達改正後も個別外資企業に投資許認可を交付していない。「国内からの反発が強く、市場開放に踏み切れていない」(法律事務所)

 一方、ミャンマー政府が外国投資の受け皿として整備を急ぐ経済特区内では商業省の許認可なしに外資流通業が参入できる。最大都市ヤンゴン南東のティラワ特区では工業団地が来夏に開業予定。ミャンマー資本が隣接地に商業施設の開発を計画している。特区開業で規制緩和が進めば、外資のコンビニにも出店機会が訪れる可能性がある。

 コンビニ1店当たりの人口はミャンマーは約25万人。シンガポールやタイ、マレーシアのざっと30〜40倍に相当し、出店余地は大きい。日本企業も関心を持っており、規制緩和の行方次第でミャンマーはコンビニビジネスの新たなフロンティアとなりそうだ。(ヤンゴン=松井基一)

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