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ハウスドゥ安藤正弘社長――不動産情報を徹底公開、FCで拡大、顧客本位貫く(成長の起点)

[ 2016年3月23日 / 日経産業新聞 ]

 不動産売買の仲介店などをフランチャイズチェーン(FC)展開するハウスドゥ。安藤正弘社長(50)は「街の不動産屋」から脱皮を図り、2015年3月には東証マザーズへの上場を果たした。消費者に十分提供されてこなかった物件・取引情報を徹底的に公開し、信頼を集めている。増え続ける中古住宅の再生・活用にも挑み、新たな成長段階に入る。

 戸建てやマンションの売買仲介などを手掛け、店舗数は開設準備中を含め347店にのぼる。直営のほか、地場の不動産会社などをFC方式で募る。特徴は徹底的な情報収集と公開だ。

 業界では事業者用データベースに登録し公開する義務がある物件も「すでに商談中」などと偽り紹介しない「囲い込み」などの不正が横行する。物件を確保する業者が自ら買い主も見つけ、売り主だけでなく買い主からも仲介手数料を得る「両手取引」などをするためだ。成約に時間を要し、売り主が値下げせざるを得ないこともある。

 業者は売りたい物件以外を出さず、「人生最大の買い物」をする消費者は限られた情報しか手にできていなかった。

 安藤社長は「業界本位だった住宅・不動産業界を変えたい」と考えた。1店の担当地域を2万5千〜3万世帯と大手よりきめ細かく設定して他社の取扱物件も積極的に収集。店頭やインターネットサイト、チラシを通じて紹介する。標榜するのは「信頼できる不動産のコンビニ」だ。

 不動産売買のFCは国内に多くない。加盟店に研修で集客や人材育成の方法を指導し、理念を浸透させる。毎月のロイヤルティーは利益を上げやすいよう10万8千円の定額制だ。25年には店舗を国内で1千店に拡大し、今後進出するアジアでは5万店を目標に掲げる。

 安藤社長は情報公開へのこだわりを創業した頃から貫く。最初は不動産会社に就職したが、バブル経済崩壊で倒産した。再就職先も見つからず、26歳で一念発起。地元である京都の3坪の事務所で仲介を始めた。

 目先の利益に走らず、物件情報を全て出し、時には書類箱ごと見せた。「こんなにたくさん情報を教えてくれる業者は初めて」と評判を呼んだ。

 曲折もあった。京都にとどまらず全国を狙う安藤社長との意見の隔たりで創業メンバーが去った。新卒採用を始めて2年目までに入社した計120人が「事前の説明と異なり仕事が大変」と、1人また1人と残らず辞める苦い経験もした。それ以降は「仕事は厳しいが夢がある」と覚悟を求め優秀な人材を集めた。

 「ライフステージに応じて総合的に対応したい」(安藤社長)と、中古住宅の買い取り再販や改修、新築戸建ての販売などにも取り組む。

 珍しいのが、個人が持ち家を売った後も住み続けられる「ハウス・リースバック」だ。同社が市場価格の約7割で買い取り、売り主はリース料(家賃)をハウスドゥに毎月払えば続けて住める。

 年間リース料は買い取り価格の8〜10%程度かかるが、所有しなくなるので固定資産税を払わずに済む。まとまった資金が必要だが住み慣れた家にいたい高齢者などの利用が増えている。

 空き家を転貸したり、旅行者を有料で泊める「民泊」として活用したりするのを支援するサービスも4月から始める。

 16年6月期の売上高は前期比12%増の163億円を見込む。「顧客の喜ぶ顔を見たい」との原点を胸に新事業を練る。(大林広樹)

トップは語る
市場から変革目指す

 不動産取引は高いモラルが求められますが、顧客の利益を犠牲にする不透明な慣行があり、不信感を抱く人が少なくありません。他社が扱う物件の最新の取引状況を問い合わせると、業者間の好き嫌いで教えてもらえないこともあります。早く売りたい売り主、いい物件を求める買い主の双方にとり不幸なことです。

 現在のルールと折り合いを付けながらも業界をもっとオープンにしたいとの理念を掲げています。ただ加盟店によっては人員が足りないなどで顧客対応の質に差も出ています。支援に一段と力を入れていきます。

 大手はトラブルを恐れFCで看板を貸すことに消極的ですが、傘下でサービスの質や信頼度を高めたい中小業者は多い。適正な加盟料に基づく不動産FCが増え競争が起きてほしいと思います。

 業界の課題や空き家増加などの社会問題の解決には国の制度改正も欠かせませんが時間がかかります。私は民間の立場で市場からの変革を目指します。不動産業は喜ばれる商売で一生をかけてやる価値があり、優秀な人に入ってほしいです。

≪安藤社長の歩み≫
1987年 不動産会社に就職
  91年 京都府向日市で不動産仲介会社を創業
2005年 グループ企業を再編、「ハウスドゥ」ブランドに
  06年 フランチャイズチェーン(FC)事業を開始
  15年 東証マザーズ上場

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