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セブン&アイ、井阪体制、4つの疑問――(4)オムニは重荷?、店舗受け取り、見えぬ発展形。

[ 2016年4月22日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 鈴木体制の崩壊により、インターネットと実店舗を融合させる「オムニチャネル戦略」の先行きに暗雲が漂ってきた。

 オムニチャネル戦略は銀行業参入に次ぐイノベーションの一手として打ち出した鈴木会長の肝煎り事業だ。セブンイレブンやヨーカ堂、そごう・西武、テレビ、ネットをつないで消費者の希望に最も合う形で商品やサービスを販売し、素早く手元に届ける――。こんな絵を描いていた。

 昨年11月にはオムニチャネル戦略の第1弾として、グループ横断の通販サイトを開設し、180万品目をセブンイレブンなどで無料で受け取り・返品できるようにした。

 だが、現状ではアマゾンジャパンの後じんを拝している。足元の数字は公表しないが、スタート当初の勢いはない。送料無料で返品を受け付けるのが売りだったが、他社でも返品無料のサービスは増えつつある。あるネット通販会社の幹部は「脅威ではない」という。

 鈴木会長はセブン&アイはオムニチャネル戦略に計1000億円を投じる計画を掲げていた。実にコンビニを2000店強出店できる金額に相当する。オムニチャネルは先行投資が発生し、"果実"の回収が後日にまわる事業。社内では効果が不透明との声があがっていた。それでも強力に推し進めてこれたのは、強力なタグボートである鈴木会長がいたからこそだった。

 しかも、現時点で鈴木会長の頭ではオムニチャネル戦略は思想や概念の域を超えておらず、具体的な戦略に落とし込む段階に至っていなかった。

 今後は鈴木会長に代わり、副社長となる後藤克弘氏と会長次男の鈴木康弘氏の2人がオムニチャネル戦略の推進役となる。だが、後藤氏は秘書畑が長く、鈴木氏は求心力に社内外から疑問があがる。鈴木会長の役割を担うには荷が重い。

 鈴木会長はオムニチャネル戦略をテコにヨーカ堂やそごう・西武などの買収案件を再生し、発展させていく戦略を描いていた。このままでは単なるネット通販の店頭受け取りサービスで終わるばかりか、オムニチャネルが"重荷"チャネルになりかねない。(松田直樹、豊田健一郎)

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