日経メッセ > フランチャイズ・ショー > ニュース > 好調コンビニ、人手不足の影、大手3社、加盟店支援や省力化投資が収益圧迫(スコープ)

日経の紙面から

好調コンビニ、人手不足の影、大手3社、加盟店支援や省力化投資が収益圧迫(スコープ)

[ 2017年4月16日 / 日経ヴェリタス ]

 好調が続くコンビニエンスストア各社の業績にも人手不足が影を落とし始めた。2018年2月期はアルバイトの人件費増に直面する加盟店支援や、人手不足に対応した省力化投資が採算を圧迫する。セブン&アイ・ホールディングス(3382)、ローソン(2651)、ユニー・ファミリーマートホールディングス(8028)傘下のコンビニ大手3社では、本業の収益力を示す売上高営業利益率が前期比1〜3ポイント低下する見通しだ。

 「人件費が急激に上がってきている」(セブン&アイの井阪隆一社長)、「人手不足は本当に深刻だ」(ユニファミマの高柳浩二社長)。12日までに終えた大手3社の決算会見では堅調な業績にもかかわらず、人手不足を警戒する経営トップの声が相次いだ。

 コンビニには直営店とフランチャイズ加盟店があり、加盟店は本部と契約したオーナーが経営する。最近では人手不足を背景にアルバイトやパートの賃金上昇が加盟店の経営を圧迫しており、本部による加盟店の支援コストが膨らんでいる。

 最大手のセブン―イレブン・ジャパンでは、9月から加盟店から受け取る経営指導料を1%減額して支援する。今期の営業利益率は28%強と1ポイント弱さがり営業利益は微増の2440億円にとどまる見通し。セイノーホールディングス(9076)との提携による宅配強化にも動き、関連コストが膨らむ可能性もある。

 ユニファミマでも、昨年の旧ファミリーマートと旧ユニーグループ・ホールディングス統合に合わせ、光熱費や廃棄ロスの本部負担を大幅に増やして加盟店支援を強化している。統合関連の費用増もあって、コンビニ事業の営業利益率は2ポイント弱低下する見通しだ。

 人手不足をにらんだ省人化投資も活発だ。セブン―イレブンは今期中にカウンター商品の食器洗い機を約2万の全店に導入する。人が洗う時間を1日1時間省け、1店舗当たり年約30万円のコスト削減になるという。ローソンも店舗業務を効率化するタブレット端末の導入を進めている。

 こうした支援は加盟店の経営を助ける半面、短期的には各社の採算を押し下げる。ローソンの連結営業利益は前期比7%減の685億円と15年ぶりの減益に転じる見通しだ。

 小売業界の勝ち組とされるコンビニだが、成長を続けるには人手不足に伴うコスト増をどう吸収するかが課題だ。セブン&アイは米中堅コンビニの店舗を約33億ドル(約3650億円)で取得し、海外に活路を求める。ローソンは商品力向上や親会社の三菱商事(8058)との提携強化を掲げる。ユニファミマも統合後の合理化をテコに21年2月期の連結純利益を600億円と今期計画の2.5倍にする新中期経営計画を発表した。

 だが投資家の反応は鈍い。ユニファミマとローソンは決算発表の翌12〜13日に株価が6%下げた。セブン&アイも買収発表の翌7日こそ4%上げたが、その後は失速気味だ。(野口和弘)

アナリストはこう見る
IT化加速が有効

 ドイツ証券の風早隆弘シニアアナリスト 政府は将来的に最低時給を1000円まで引き上げると掲げる。今後も加盟店の人件費上昇が間接的にコンビニ各社の利益を圧迫するのは間違いないだろう。

 有効策は大きく2つ。1つは商品・サービスの向上を通じた収入増だ。近年ではカウンターコーヒーが成功した。生活に必要な「インフラ産業」としてのニーズを取り込めば、新たな流行を生み出せる余地はある。

 もう1つはIT(情報技術)化の加速だ。セブン―イレブンは電子タグを使い、検品作業を省力化する実証実験を始める。コンビニ大手は他の小売業より店舗数が多いため、効率化による効果も大きいだろう。

ニュースの最新記事

PAGE TOP