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セブン、既存店強化に軸足、コンビニ時短「柔軟に対応」、投資、6割を2万店に(ビジネスTODAY)

[ 2019年4月5日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 セブン&アイ・ホールディングスが傘下のセブン―イレブン・ジャパンのコンビニで既存店強化に軸足を移す。2万店超になった既存店舗への競争力強化に投資を振り向けるだけでなく、24時間営業問題にも柔軟に対応する。人件費の負担増などに苦しむフランチャイズチェーン(FC)加盟店オーナーの支援を強化したい考えだ。

 「意志のある踊り場を作る」。4日、都内で開いた決算会見の場でセブン&アイの井阪隆一社長は2019年度(20年2月期)以降の国内コンビニの展開についてこう話した。国内コンビニの設備投資は前年度比3割多い1450億円を振り向けるが、井阪社長は「これまで投資額の6割を新店投資が占めていたが、今後は6割を既存店投資にする」とした。

 コンビニ各社は自社内競合も辞さずに店舗の密度を高める出店を続け、配送を効率化してきた。本部は出店すればするほど、収益を高められるのが従来のビジネスモデルだ。だがオーナーにとっては同じチェーンの店は最大の競合だ。「近くに店ができると売り上げが落ち込むだけでなく従業員の確保にも苦労する」と京都市のオーナーは話す。

 セブンイレブンの18年度の1店舗あたりの1日平均売上高(日販)は65万6千円と、前年に比べ0・4%増にとどまった。この5年間はほぼ横ばいの一方で、店舗数は5年で3割も増えている。

 各店の売り上げが伸び悩む中で人件費負担が増えると加盟店の経営は苦しくなる。コンビニのFC方式では、商品の売上高から原価を引いた粗利益を本部と加盟店が分け合う。その残りでFC店は人件費など店舗運営コストを負担する仕組みのためだ。都内のあるオーナーは「人件費がこの10年で3〜4割増えている」という。コンビニオーナーは魅力的な仕事ではなくなってきている。

 日本経済新聞社が18年7月に実施した「17年度コンビニ調査」で、コンビニ各社にオーナー確保の状況について尋ねたところ「不足」としたのが約4割で、5年前の2割から大幅に増えた。既存オーナーからもコンビニ本部の対応に不満が高まってきた。2月には大阪府東大阪市の加盟店オーナーが営業時間の短縮を強行。終日営業の是非を問う声が広がってきた。

 こうした状況を受け、セブンは3月下旬から直営店で営業時間を短縮する実験も始めたが、24時間営業については「根幹をなしている」として井阪社長は原則を守る方針だ。FC加盟店全体の0・5%の96店が時短営業を希望しているが、井阪社長は「1店ごとに柔軟に対応したい」という。そのためにセブンイレブンの経営体制も刷新。人事畑が長いものの、幅広い分野での経験が豊富な永松文彦副社長を社長に昇格させる。新社長のもとで加盟店との連携強化に乗り出す。

 19年度は出店を抑えることで、まずは加盟店の不満を和らげ、1店舗あたりの売上高を伸ばす施策に転換する。売り上げが伸びている冷凍食品などの売り場を広げた店舗を従来目標より9割多い6千店に増やす。4月下旬には面積を1割広げた新たな店舗形態での出店も始める。利用客が専用の支払機に代金を入れて精算する「セミセルフレジ」も全店に導入し、人手不足に悩むオーナーも支援する。

 1970年代に誕生したコンビニは公共料金の収納代行やATMの設置など新たな需要を取り込むことで「飽和論」を打ち破り店舗数を増やしてきた。井阪社長は4日も、「飽和しているとは思っていない」と述べた。だが食品を取り込んで急拡大するドラッグストアや、インターネット通販の伸長など、コンビニの競争環境は激しさを増している。出店を抑えても、すぐに既存の2万店の平均売り上げが伸びる保証はなく、成長継続に向けた大きな試練の時を迎えている。(今井拓也)

今期営業益2%増に
セブン&アイ 中計目標届かず

 セブン&アイ・ホールディングスは4日、2020年2月期の連結営業利益が前期比2%増の4200億円になる見通しだと発表した。9期連続の最高益を見込むが、国内コンビニ事業の成長鈍化などが響き、今期を最終年度とする3カ年の中期経営計画で目標に掲げた4500億円に届かない見通しだ。

 国内コンビニの伸び悩みが中計未達の原因だ。ドラッグストアなど異業種との競争激化などで既存店売上高が想定ほど伸びない。店舗運営を効率化する投資も増え、同事業の利益は2%増にとどまる。総合スーパーのイトーヨーカ堂、百貨店のそごう・西武などの事業構造改革効果も想定を下回る。好調な海外コンビニの伸びで補えず、増益を確保するものの当初描いた利益成長シナリオからは後れをとっている。

 同日発表した19年2月期連結決算は営業収益が12%増の6兆7912億円、営業利益が5%増の4115億円だった。

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