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JAPAN SHOP 2005 会場レポート<店舗空間を彩るストーリーの表現。技術を駆使し、感性に訴える伝達手法。>

店舗の特色やメッセージを、来店者にいかに伝えるのか。来店者の記憶にどう留めてもらうのか。そのためには、情報をただ伝えるのではなく、感性に響く伝達の工夫が求められるだろう。店舗づくりや街づくりをサポートする出展社が一堂に会する「JAPAN SHOP」。今回は、最先端の印刷技術を生かした鮮やかなサインシステムや、環境への配慮がなされた製品が目立つ。機能的であることはもちろんのこと、より洗練されたデザインを追求する什器の提案も様々に目にできる。売り場のコンセプトをきめ細やかに伝え、集客を目指す最新の工夫が盛り込まれた商品に、来場者からも活発な質問が寄せられていた。


開場と同時に賑わいを見せるJAPAN SHOPの会場風景。


店舗の特色やメッセージを、来店者にいかに伝えるのか。来店者の記憶にどう留めてもらうのか。そのためには、情報をただ伝えるのではなく、感性に響く伝達の工夫が求められるだろう。

店舗づくりや街づくりをサポートする出展社が一堂に会する「JAPAN SHOP」。今回は、最先端の印刷技術を生かした鮮やかなサインシステムや、環境への配慮がなされた製品が目立つ。機能的であることはもちろんのこと、より洗練されたデザインを追求する什器の提案も様々に目にできる。売り場のコンセプトをきめ細やかに伝え、集客を目指す最新の工夫が盛り込まれた商品に、来場者からも活発な質問が寄せられていた。


●商業店舗を演出する新発想


壁、天井、床をいかに演出していくのか。「JAPAN SHOP 2005」の会場でまず目立つのは、印刷技術を駆使しながらデザイン性に富む商業空間を目ざした、新システムや製品だ。


建築素材における印刷技術の一例が、東京鋼機の「Picture Works(ピクチャーワークス)」。像やイラスト等のフルカラーデータを昇華熱転写したアルミニウムやステンレススチール等の素材、それによる製品の提案であり、実際にドアメーカーが「Picture Works」をスイングドアに用いるなど、現場での需要も拡大している。「収納ロッカーなど、従来はお客様の目に触れないところに置かれていたものも、デザインを施すことで、空間デザインに積極的に生かしていける」と同社。少量生産も可能であり、ニーズに対する細やかな対応が可能という点にも可能性が潜んでいる。


「Picture Works」の展示会場より、金属素材に印刷された繊細な柄。
グラデーションも可能。
有機溶剤廃液等の産業廃棄物が発生せず、
環境を配慮した印刷方法でもある。
写真のドアは製品として発売されている。


商業施設を彩る印刷技術において、今や環境への配慮は不可欠である。再資源化が可能なPET樹脂フィルムとインクによる新床材「K-タイル」を発表したのは、内装建材等の販売・施工を行う野原産業。K-タイルは500mm×500mm×厚さ0.5mmの床材で、既存床を剥がすことなく、その上に重ねて施工でき、改装の際には分離回収が可能。同社製品はインクジェットやオフセット、シルク印刷など、様々な印刷技術を用いることができ、特殊ハードコート処理効果による光沢感にも特色がある。


野原産業の「K-タイル」。
壁と床をシームレスに結んだ空間デザインも可能となる。


●サインシステムの新提案から


タッチサインシステムを用いた独自のパッケージコンテンツ「ties(タイズ)」を紹介していたのは、展示ツールの製作販売を行うササオ。同システムは、テナントを多く有する商業施設等で、各店舗の情報を伝える際に特に効果的だ。同時に、人々がタッチした回数をカウントできる面でも特色を備え、ログの蓄積や集計を店舗のマーケティングに生かすことが可能。サインシステムを情報伝達の役割のみに終わらせることなく、デジタルデータとして活用していく新たな可能性を含んでいる。


同社会場では他に、ICタグつきの説明パネルにPDA(携帯情報端末)をかざすことで、音声や画像の様々な情報を得られるICタグパネル展示解説システムも紹介されている。美術館や博物館を始め、広く、公共の場における情報伝達の可能性を含むものであり、工夫次第で今後の街づくりにも活かしていけるだろう。


店舗のサインシステムに利用できるパッケージコンテンツ「ties」。


ICタグパネル展示解説システム。
各動物の情報を音声や画像で示す。


メッセージの伝達方法として、「音」もまた重要な要素のひとつだ。彩ユニオンが開発したサウンドパネルシステムは、パネルを振動させることでナレーションや効果音をもたらす機器。指向性をもつスピーカ式とは異なり、全方位に音を伝え、また、高齢者にも聞き取りやすい「中音域」を特色とするユーザーフレンドリーなサインシステムである。すでに商業施設のサインシステムに採用されているが、観光地における各国語でのナレーションなど、街なかのサインボードとしても、多大な可能性を含んでいる。


限られたスペースでの音響広告を可能とする
小型サウンドパネル。


●機能的かつ美しい什器システムも


什器の最新状況を知ることもできるのも「JAPAN SHOP」の魅力だ。今回紹介されている什器の主な傾向はアルミニウム素材によるもの。無駄を省いたシンプルな棚などが多い。

他に、エレクター社が紹介していたような鮮やかなアクリル什器もある。キューブ状ユニットをひとつのセルと考え、バーに設けられた上下左右の溝で本体やシェルを固定し、自由に拡張していけるもの。曲線で構成される柔和なデザインが、美容院やエステティックサロン関係者らの関心を集めていた。


工業デザインも手がけるヘアデザイナー、八木岡聡氏との
コラボレーションで開発された「CUUB」。
アクリル小口で光が発光し、コーナーディスプレイにも最適。


これらの出展品以外に、各種レクチャーが連日行われるのも「JAPAN SHOP」の特色である。3月4日(金)には、学生や若手デザイナーを対象に「モバイルストア」のアイデアを募った日本商環境設計家協会主催の「JCD国際デザインコンペティション2005」の公開最終審査が、東3ホール会場の特別企画「商環境のいま」にて催される。このような場からも、今後の店舗づくり、環境づくりのヒントを知ることができるだろう。


Webを通して国内外から応募された300を超える作品から
一次審査を通過したのは25作品。
最終審査は4日、14時より、「商環境デザインのいま」ブースで。


鮮やかな色や繊細な柄で包まれ、デザイン性に富む空間を実現する様々な提案に、感性に訴えるストーリー性を備えた情報発信が重要であることを改めて知る今回の「JAPAN SHOP」。会場にはそのための先端プリンタ技術や新ツール等も多数揃っており、あわせて見逃せない。こちらは別記事に紹介したい。


 (川上典李子/デザインジャーナリスト)

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