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JAPAN SHOP 2006 会場レポート~その2~

「JAPAN SHOP」では店舗のPOPや広告ツールを制作する大判プリンターなど、新しい技術を採り込んだ各種製品を一覧することができる。今日のレポートではプリンター周辺の新製品と、環境に配慮した空間づくりのためのアイデアなどを紹介したい。


「JAPAN SHOP」会場風景(東3ホール)


プリンターとラミネートの新技術


 プリントのスピードや色の再現性、メディアの大きさ、プリントコストなど、プリンター自体の性能は日進月歩の進化を遂げている。「JAPAN SHOP」会場ではプリンターメーカー各社がそれぞれの強みをアピールする展示を紹介していて見応えがある。今回はこうしたハード開発競争を少し離れ、プリントアウトされたグラフィックスを広告宣伝などに使用する、顧客のニーズに応えた技術にスポットを当てる。


〈セルフクリーニング〉

 酸化チタンを使った光触媒技術は、付着する有機物を太陽光と反応させて分解し表面を汚れにくくさせるため、建築外装材に活用されている。これまで住友スリーエムではこの技術を屋外広告向けの表面加工フィルムに活かした製品として提供してきた。「完全なメンテナンスフリーと謳うことはできないが、フィルム自体が表面汚れを分解してくれるので清掃が難しい屋外広告などに適していると言えます」(住友スリーエム担当者)。光触媒はフィルム自体も分解してしまうため耐用年数が3年と限られていたが、同社ではこの寿命を5年に延長させた新製品「スーパーセルフクリーニング」を会場で発表、この製品は3月末のリリースが予定されている。

 アイケーシーでは、親水性の高いフッ素樹脂を使った、降雨を利用して表面の汚れを流し落とす表面加工フィルム「オーバーラミネートフィルム ルミガードL700」が紹介されていた。排気ガス汚れと同様の黒い液体を塩ビ加工と自社のフッ素樹脂加工のフィルムに塗布して、そこに水をスプレーで吹き付ける比較実験を行っていた。フッ素加工されていない塩ビフィルム(下写真、左)には水滴が残り、排ガス汚れも水だけでは落ちていない。一方、「ルミガードL700」がラミネートされたもの(右)は水滴も残らず、水をかけただけで汚れもほとんど落ちている。「光触媒の効果が得られない屋内での使用もお勧めです」(アイケーシー担当者)。


アイケーシーのブースで行われている比較実験


 これまで自社プリンターに限って供給されていた住友スリーエム製のインクジェット用メディアが、今後、他社プリンターを使う企業にも提供されることになった(検証テストを実施中で結果は随時ウェブサイトで公開されている)。「住友スリーエムのインクジェット用メディアは高品質であることから人気が高かった。プリントの仕上がりだけではなく、施工しやすく剥離した跡にノリが残らないなど、スリーエム独自の技術を活かした機能性も弊社ならではのものです。こうしたインクジェット用メディアを広く使っていただけるようになります」(前出担当者)。


プリンターの技術とフィルム、粘着技術を高次元で
融合させた住友スリーエムの展示ブース


〈プリント&カット〉

 高品位プリンターメーカー、ローランド ディー.ジー.は、プリントと同時に輪郭カットまでフルオートでできる多機能プリンター「SP-540V」を会場で発表。コンピュータ上のデザインデータから直接、印刷&切り抜きまで行うことができるマルチプリンターだ。これによってバナー、ステッカー、ラベル、切り抜きのPOPなどの製作工程、時間の大幅短縮が可能になる。


ローランド ディー.ジー.から発表されたマルチプリンター。
印刷と切り抜きを同時に行うことができる。


〈低価格の大判プリンター〉

 「色彩表現力が高く、写真のプリントの仕上がりも美しいので写真館のオーナーからの問い合わせもあります」(キヤノン販売担当者)。東3ホールの会場には、ポスターサイズをプリントできる30万円以下の一般向け高性能大判プリンターが展示されている。A2ノビまで印刷可能なキヤノンの「iPF5000」。A1サイズを出力できる日本ヒューレット・パッカードの「HP Designjet 130」など。後者は20万円以下という低価格だ。「大型プリンターは数年前に比べるととてもリーズナブルになりました。ポスターを頻繁に印刷会社に発注するなら自分のところでプリンターを持ったほうが経済的と言えるでしょう」(日本ヒューレット・パッカード担当者)。


キヤノン販売「iPF5000」


日本ヒューレット・パッカード「HP Designjet 130」と、
同プリンターで出力したポスター


リデュース、リユース、リサイクル。環境に配慮した店舗用建材、装飾材


 環境に配慮した持続可能社会の実現に向けて三つの「R」が注目されている。リデュース、リユース、リサイクルの頭文字をとって「3R」と呼ばれる視点である。店舗は時代や環境に即して変化が求められるので、一般の建築物や住宅に比べて寿命が短く、改装や移築は避けられない。そのため店舗開発においても「3R」に重点を置いた環境共生デザインや運営が求められるようになっている。ショップデザインにおける「3R」を、会場の展示商品から探ってみたい。


〈アルミニウム〉

 アルミニウムは精錬に大量の電力を消費するが、ひとたび精製されると非常に再利用しやすい性格がある。また軽量で、加工が比較的簡単なことから什器などをシステム化しやすい特質もある。こうしたアルミのサスティナブルな特徴に着目した什器やディスプレイシステムを紹介したい。

 展示会ブースにはアルミフレームがよく使われているが、その多くはドイツ、スイスの製品を輸入したもの。このアルミ製展示システムの国産化を試みたのが松本金属。同社が製造する「オッソ・エ・ペッレ」は製造、組み立て、実際の使用、いずれの場面でも環境に負荷をかけない配慮がなされ、デザイン開発担当者は「日本の実情に合わせた加工や自社開発ならではの工夫をこらした」と言う。「オッソ・エ・ペッレ」は少人数で現場組み立てが可能で、既製の照明器具が取り付けできるダクトや光壁ユニットも簡単に組み込め、独自の配線構造を持っているのでコードが露出することなく、特別な電気配線工事も不要。消費電力が小さなLEDを組み込んだフレームも用意されている。

 
松本金属が開発した「オッソ・エ・ペッレ」。
アルミと白色LEDのシャープなデザインでまとめられている。


こちらは昭栄美術が参考展示している
アルミフレームを使った光床フロアーシステム


 会場でアルミニウムをもっと建築的に活用していたのがSUSのアルミ部材、構造システム「エコムス」だ。2002年の建築基準法改正にともない、アルミニウムは新たに構造材として認可を受けた。同社はこの時よりアルミ建築を積極的に手掛けノウハウを蓄積してきた実績がある。アルミニウム建材は他の素材に比べると高価なため使いづらいことは否めないが、循環型資源社会の実現には最適な建築素材であり、今後さらなる注目を集めることが予想される。展示ブースでは施工例が収録された「アルミ建築部材集」が来場者に配布されている。

 
会場内には「エコムス」でつくられた二階建ての建築モデルが建造された。
また多様なパーツ群も展示されている。


〈ユニット工法の転用〉

 ユニット住宅「セキスイハイム」で知られる積水化学工業は、累計50万戸の住宅建築の実績とノウハウを店舗開発に転用したユニット店舗システム「ノア」を発表し注目を集めている。工場で建築工程の大部分を手掛けるため天候の影響を受けず、基礎工事完了後わずか2週間(定型建築の場合)で竣工する工期の短さが特長。「ノア」のユニットは高い耐久性を持ち、分解可能なことから移築も容易。高気密高断熱でエネルギーコストを大幅に縮減することができる。施工時には廃材もほとんど出ず、廃棄物はすべて再資源化が可能、乾式杭基礎工法を用いれば基礎コンクリートも使用しないため、敷地への負荷もかからない。設備や部品はセキスイハイムの住宅部品と共有しているのでスケールメリットを生かした低価格も実現できた。会場にはこのユニットを使ったモデル店舗も展示されている。

 
積水化学工業が新提案するユニット店舗システム「ノア」。
模型によるスタディと実物のフレームユニットも展示されている。


〈光源用ガラスのリサイクル〉

 蛍光灯やナトリウムランプなどの光源は、これまで、照明の寿命が切れると廃棄物として地中に埋められてきた。石川県に本社をおくサワヤ スタジオ・リライトは、この廃ランプから有害物質を取り除き、ガラス部分を再利用した建材、装飾材を開発、さまざまなデザイン展開例を会場で紹介している。ブロック、キューブ、球状、照明用のシェードなど。透明板ガラスにはない柔らかなテクスチュアが特長だ。

 
サワヤ スタジオ・リライトによる
廃棄されるランプのガラスを再利用したアイテムの数々


デザイナーをインスパイアするプレキシグラスの小箱

 アクリルの一般的な呼び名として使われている「プレキシグラス」。実はドイツ企業デグサの登録商標である。同社の日本法人デグサ ジャパンのブースでは、さまざまに加工され色彩豊かなプレキシグラスが紹介されている。このブース内ではサンプルを知育玩具のように一つの箱に収めた「It's Magic」と名付けられたボックスを、希望者に送付する手続きを行っている。このボックスには、デザイナーがプレキシグラスを使ったデザインを考える際の「ヒント」になるような、さまざまなカラー、テクスチュアのマテリアルが、円柱、ブロック、波板、平板など、多様なフォルムに加工されて収められている。

 
デグサ ジャパンのブースで手に入る
プレキシグラスのサンプルボックス「It's Magic」


 文/橋場一男(編集者)

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