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JAPAN SHOP 2011会場速報レポート(後編)    (ライター・橋場 一男)

JAPAN SHOP 2011会場速報レポートの前編では、ショップデザインのベースとなる壁、床の建材や、空間の快適性を左右する「空気」に関する新技術・設備などを紹介した。後編では、デザイン什器、ディスプレーや装飾のためのマテリアル、販促アイテムなどを、会場からピックアップしてみた。また、グラフィカルな表現やサイン、POPの製作などで、今や店舗運営に欠かせない機器となった大判プリンターの最前線についても紹介したい。

きらめき感とメタリック感の新表現

ショップ空間には非日常的な華やかさが求められる例が多い。クリスマスのイルミネーション照明やコンサートのステージライトなど、非日常的な環境をつくり出す上で、演出照明の果たす役割は大きい。
今年のJAPAN SHOPで、非日常を感じさせる照明演出で多くの来場者の注目を集めているのは、トライテラスのブースだ。高輝度が特長のLEDに、同社が得意とするアクリル導光板の技術を組み合わせてデザインされたLED電球の進化形〈スマートシャンデリア〉を、天井面いっぱいに吊り下げた空間演出には、多くの人々が思わず足を止めていた。きらめき感のある光は、会場内の空気に華やかさを与える力がある。LEDを既存光源の置き換えと捉えるのではなく、その独自の特長を生かした光の素材と言っていい。個々の〈スマートシャンデリア〉は、エジソンスクリューの口金を持っているので、専用の器具は必要なく、通常の電球用ソケットをそのまま使うことができる。ディスプレーや演出照明などで使われる機会は増えそうだ。

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無数の〈スマートシャンデリア〉が天井に連なるトライテラスのブース。

マツバラ金網は、光との相性が良いステンレス素材を使い、新しい表現にチャレンジしている。同社はステンレスメッシュを使ったパーティションやスクリーンの開発などで知られ、多くの納入実績がある。 同社のブースでは、その技術をさらに発展させ、0.1ミリのステンレス線をジャガードのように編み込んで、絵柄やパターンを描き出す〈メタルタペストリー〉を見ることができる。メッシュ状で透過性がありながら、光の照射角や見る角度で、繊細な陰影により映像が浮かび上がる、ホログラフィーのようなスクリーン。文字やロゴを織り込むことも可能だ。

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マツバラ金網の〈メタルタペストリー〉。ステンレス糸を編み込んで絵柄をつくりだす。

ヨーロッパ生まれのデザイン什器の進化

商環境づくりで60年以上の長い歴史を誇る岡村製作所。同社が2009年から本格的な展開を始めた、ヨーロッパ什器メーカー最大手Visplay社のモジュラーシステムに、今年も新アイテムが追加された。Visplay製品で最も人気の高い〈Invisible 6〉シリーズの、棚などのユニットを固定するレールに、24Vの電極を埋め込み、通電させて、ラインコンセントやケーブルなしで棚下照明やコルトンによるディスプレーなどを実現できる〈Invisible 6 P/L〉だ。LEDを始めとしたローボルトランプと、棚、ボックスなどとの組み合わせで、さまざまな展開が可能だ。
このほか、これまでメタリックだけだった〈Invisible 6〉のレールに黒仕上げのバージョンが追加され、黒ベースに黒いレールの組み合わせで、より洗練されたインヴィジブル・デザインが可能になった。また、ポイント状のホルダーにユニットをフックさせるポイントサポートの什器〈Mono〉に、メガネなどの軽量な商品展示に適した、より小さなポイントのシステムも追加発表されている。

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岡村製作所によるVisplayのプレゼンテーション。

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奥に見える白い什器が電極を内蔵した〈Invisible 6 P/L〉。

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〈Invisible 6〉の固定レールに黒仕上げが追加された。

岡村製作所のブースではVisplayだけでなく、オフィス向けに開発された〈アルツァータ スパイン〉を店舗やショールム向けに転用した例も展示されている。同シリーズの新アイテムは、パーティションに垂直にブランターを組み込んだ屋内用壁面緑化ユニット。自動で水やり機構も内蔵され、屋内空間に自由に緑を取り込むことができる。

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〈アルツァータ  スパイン〉に追加された壁面緑化ユニット。

iPadをデジタルサイネージに使う

昨年1月に発売され大ヒット商品となったタブレット型コンピュータiPadの操作性の良さを、店内のディスプレーやインフォメーションのメディアとして活用するシステムを、ワークスタジオが提案している。同社は携帯電話やデジタルカメラなど、電子機器の店頭プロモーションやディスプレー用のSP什器や展示システムを手掛ける企業。そのノウハウを生かして、iPadをホールドするスタンドを開発し、低価格のiPadを、情報表示や映像展示、エンターテインメント端末などに応用できるシステムを発表している。大掛かりなシステム構築を必要とせず、単体でもマルチタッチの良さを生かした情報表示が可能になる。

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ワークスタジオが開発したiPad用スタンド。ユーザーインターフェイスに優れたiPadを情報表示などに活用。

精密板金技術と高度な溶接技術で、デザイン性の高いオリジナルのディスプレー機器やサインボードを製作するリ・フォースも、iPadを組み込んだディスプレースタンドを参考出品している。高性能で安価な民生用デバイスを上手に組み込むことで、簡易にオリジナリティーの高いデジタルサイネージを実現することができる。同様の提案は今後増えていくはずだ。

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リ・フォースが製作したiPad用スタンド。同社の高い加工技術を使いオリジナルデザインで製作が可能だ。

ルミックのブランドでポスタースタンドなどを手掛けてきた東和工業は、タッチパネル式液晶端末を、自社のポスタースタンドやLEDライトパネルスタンドと組み合わせたディスプレー機器を展示している。〈L-series〉のデジタルスタンドは、ユーザーが自らマルチタッチで必要な情報を引き出せる、新しいタイプの情報スタンドだ。

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東和工業の〈L-series〉のデジタルスタンド。タッチパネル式液晶端末を内照式ポスタースタンドに組み合わせる。

大判プリンターの最前線

JAPAN SHOPは、最新の店舗用内装材や機器を一覧できるだけではなく、セールスプロモーションに不可欠となった大判プリンターの最新情報をアップデートできる機会でもある。プリントの美しさ、スピード、使いやすさ、付加機能、インクの質的向上、低価格化など、プリンターの進化は日進月歩で、ユーザーが求めるクオリティーは既に満たしていると言えるかもしれない。この段階で改めて、各メーカーの開発方針や製品の特長が際立つようになったと同時に、性能競争を超えて、家電に近い細やかな心配りが感じられる機種も増えている。また、各社とも自社製品でプリント、カットしたマテリアルを使いブースを構築しているので、ブース自体を技術サンプルとして見ることで、それぞれの強みが分かるのも面白い。
ミマキエンジニアリングはブース内に転写機を設置して、ポリエステル布にプリント転写した柔らかな表現でブースをデザインしている。同社は最大プリント幅が2632ミリのスーパーワイドフォーマットのプリンター〈JV34-260〉を発表。オプションとして、インクを2リットルセットできて、より長い時間の無人運転を可能にするバルクインク供給システムも用意されている。また、ニス引き効果が得られる高付加価値プリントが可能な〈UJF-3042〉も注目だ。

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ミマキエンジニアリングのブースに展示されたスーパーワイドフォーマットのプリンター〈JV34-260〉。

日本ヒューレッドパッカードは、一つのワークフローの中で複数のタスクを同時に行い、応答時間の短縮と合わせて、大幅な納期短縮が図れる〈HP Scitex FB500〉を展示。ランニングコストの軽減も実現している。ブース内のモニターでは、同社のプリンターで飲食店の内外装、家具、ファブリックなど、あらゆるデザインをハイスピードで具現化していく実際のケーススタディーを見ることができる。

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日本ヒューレッドパッカードのブース。

MUTOHホールディングスは環境負荷の少ない植物由来のインクをベースとした、素材を選ばない高品位インクMBインクを搭載した〈VJ-1608HSJ〉を発表。大きな特長としては測色機を標準搭載して、複数のプリンター間におけるカラーマネジメントを効率良く行える点だ。

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MUTOHホールディングスの新製品、高品位インクMBインクを搭載した〈VJ-1608HSJ〉。

ローランド ディー. ジー.のブースでは、メタリックシルバーインク搭載のインクジェットプリンター〈VS-540〉のデモを見ることができる。もちろん同社製品の特長でもあるプリント&カット機能も搭載。メタリックインクや白インクの効率的な利用で、廃液を減らす機構も組み込まれている。メタリックインクや白インクは放置しておくとインク経路内で沈殿しやすく、こうしたインクは廃棄しなければならなかった。〈VS -540〉は使用インクの循環を促すことで沈殿を防ぎ、ムダなく安定したメタリックプリントを実現できる。このほか、同社の新製品として、最大厚100ミリまでの材料に直接プリントできる、デスクトップサイズのプリンター〈UV-LED〉も展示されている。
日本製図器工業は、大型のリアルスキャナーで天然木や装飾パネル、天然石などの表面の意匠をスキャニングして、MDFボードなどにUVプリンターでプリントする、オンデマンド建材システムを発表。ぜひ会場で実物を見てほしい。こちらも注目の新技術だ。

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リアルスキャナで意匠を取り込み、MDFボードなどにUVプリンターでプリント。日本製図器工業のオンデマンド建材システムは注目の技術だ。

JAPAN SHOP 2011会場速報レポート(前編)はこちら

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