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2013年3月7日 会場レポート(後編)

3月8日まで「東京ビッグサイト」(東京・有明)で開催中の、第42回店舗総合見本市「JAPAN SHOP 2013」。会場レポートの後編では、店舗アメニティーに関する製品やサービスと、企画展示「NIPPON MONO ICHI」などに焦点を当ててみたい。

フリーライター:橋場 一男

店舗アメニティーのための設備とデザイン最前線

近年、商業施設や飲食店では、売り場や客席の快適さだけなく、トイレやリフレッシュスペースなどの質も、顧客満足や店舗の集客を左右する要素として注目されるようになってきた。喫煙のための空間や設備もその一つ。屋外での喫煙が制限される中、愛煙家は喫煙のために分煙店を選ぶ例が多い。また、家族に気兼ねなく喫煙できるスペースがあれば、ファミリー客の滞在時間も長くなるかもしれない。
では、愛煙家も非喫煙者にも快適な、理想の分煙環境づくりには何が求められるのだろうか。日本たばこ産業が中心になり、分煙関連企業6社が共同出展した「分煙トータルソリューション」では、分煙の最新情報や考え方を、設備機器や事例展示などで一覧することができる。「分煙デモブース」でのプレゼンテーションは、疑似スモークを使い、気流制御や垂れ壁、袖壁、ビニルカーテンなどによる分煙対策の方法を、わかりやすく示していた。



「分煙トータルソリューション」。ブース内の「分煙コンサルティングカウンター」では日本たばこ産業の担当者が分煙対策の相談に無料で対応してくれる


分煙デモブースでは疑似スモークを使い、分煙手法をわかりやすく解説

「分煙トータルソリューション」では、分煙関連企業の展示も見てみよう。分煙専門企業のトルネックスは、エアカーテン技術《2way エアカーテンボックスACS0912》と《高性能プラズマ集塵脱臭装置》で、空間を仕切ることなく実現できる分煙対策を提案。無煙ロースターの開発で知られる山岡金属工業は、分煙目的で開発された、電子の風で煙を遮断する電子エアーカーテン《チャントル》を展示。日鉄鉱業は、独自の脱臭技術により快適な分煙環境を提供する喫煙室用プラズマ脱臭機《プラズマダッシュ シグマ》を展示している。間仕切りによる空間分煙を提案していたのは、パーティション最大手のコマニーだ。同社の《SmotⅡ》は、ガラスとパネルの構成で、分煙脱臭機を組み合わせると排気設備工事も不要になる。分煙空間《SMOKING SITE》シリーズを展開するテラモトは、移設が可能な組み立て式屋外用ドーム、ベンチなど多彩な分煙用品を出展していた。


トルネックス《2way エアカーテンボックスACS0912》による分煙対策の展示

商業施設の乳幼児用トイレ設備やベビー休憩室など、育児環境や保育環境整備に取り組むコンビウィズは、専門メーカーならではのリサーチ力を生かした新製品を発表している。昨年コンビウィズが展示した、おむつ交換台におむつ替えペーパーシートを合わせる新提案は、高速道路のパーキングエリアや大手量販店などで次々に採用になっているという。今年はさらに、おむつを捨てるゴミ箱の口を、スイング式からマグネット固定に替えて臭いの問題を解消し、おむつ交換台の下や脇に置く新デザイン《エンジェルNSミニダストボックス》を発表した。また、これまでは月齢1~38カ月向けだった店内用ベビーカートを、対象月齢を48カ月まで延ばした新製品を参考出品している。



コンビウィズのブースと新デザイン《エンジェルNSミニダストボックス》

目には見えないが、快適性や売り場での人の動きを左右させる要素に「音」がある。「JAPAN SHOP 2013」では、ヤマハとBOSEのブースで商空間向けスピーカーの最新情報を入手することができる。
ヤマハブースで注目の製品は、薄さ1.5ミリ、A0サイズで460gと軽量で、曲げたり丸めたりできる柔構造の超薄型《TLFスピーカー》だ。音の指向性が高く、スピーカー正面に立つと小音量でも拡散せず遠くまで聞こえるのが特長。《TLFスピーカー》とポスターやPOPとの組み合わせで視認性を高める「サウンドサイネージ」の展開が可能になる。



ヤマハは超薄型で柔構造の《TLFスピーカー》を展示

BOSEは店舗用の《FreeSpace® DSシリーズ》などを展示。同シリーズの天井埋め込み型スピーカーとペンダントマウントキットを組み合わせ、天井からペンダント状にスピーカーを吊り下げる提案を行っている。天井高が高い場合、スピーカーを天井埋め込みにすると、売り場や客席で十分な音量が得られない場合がある。このペンダントマウントキットを使うと、スピーカーを任意の高さに吊り下げて使うことができる。キット自体も《FreeSpace® DSシリーズ》のシンプルなデザインや質感に合わせたプレーンな形状で、DSシリーズの色展開に合わせて白黒2色が用意されている。



BOSEのブースと、DSシリーズの天井埋め込み型スピーカーをペンダントマウント(白)に収めたペンダント型スピーカーの提案

「NIPPON MONO ICHI」からデザイン素材3例

経産省管轄組織で中小企業支援を行う独立行政法人中小企業基盤整備機構は、会場内で企画展示「NIPPON MONO ICHI ニッポンの店づくり・街づくり」を開催。「街とお店の未来をつくる」をテーマに、店舗空間づくりに関連する12社のブースが一堂に会した。12社は「伝統と革新の可能性」「新たな空間演出」「環境と未来への提案」の三つのサブテーマで整理されている。それぞれから一社の製品を紹介しよう。
「伝統と革新の可能性」からは、Rhusブランドで漆をさまざまな製品やエレメントに展開している、東京・町田のDucoが、《透き通る漆シート》をガラスや透明プラスチックに接着し、内照式の光壁として展示している。漆を工芸としてだけではなく、自然なマテリアルとして現代の暮らしに生かす提案だ。


「NIPPON MONO ICHI」


Ducoは《透き通る漆シート》

「新たな空間演出」では、独自のドット仕上げによる《グラスモンド》を手がける東大阪市のハブ硝子を紹介したい。側面から入った光がドット加工で乱反射し、正面に独特のキラメキをつくりだす装飾手法だ。透明ガラスやミラーに光で画像を点描する。



ハブ硝子《グラスモンド》のサンプル展示

「環境と未来への提案」で出展している徳島県みよし町のビッグウィルは極薄突き板を使った、厚さ0.25ミリ程度の不燃・準不燃規定適合の壁装材を発表。この薄さでも天然木固有の香りが感じられる。裏紙をより薄いものに替えた《樹の紙》は、突き板で折り紙もできる。


ビッグウィルの《樹の紙》でつくった折り鶴

注目のデザイン素材を会場で見つける

ANONIMO DESIGNは、発色の良いポリエステルコードを使った紐の間仕切り、ストリングスカーテン《ラインビュー》に蛍光色コレクション《NEON》を追加し、ブースでは照明と組み合わせたインスタレーションを披露している。5月発売予定のカラフルなデザインクッション《エキスパンド・パフ》も合わせて展示された。



ANONIMO DESIGNのストリングスカーテン《ラインビュー》の蛍光色コレクション

上質な絹糸を使う白生地メーカーとして長い歴史を持つ京都の老舗、伊と幸(いとこう)は、繊細な紋様を織り込んだ絹織物と、透明ガラスやアクリルパネルなどを合わせた《絹ガラス》を発表している。伝統的な白生地の美しい紋様とテクスチュアを、空間に展開する贅沢な新提案。高品位な和の意匠が、多くの来場者の関心を集めていた。



シルクファブリックの老舗、伊と幸が発表した《絹ガラス》

「JAPAN SHOP」会場内では、店舗向けのLED照明モジュールを手がける企業の出展も多い。
日本最大の繊維ロープ産地、愛知県蒲郡市の三栄製綱は、漁業関係者からの要望で10年ほど前に光るロープの開発に着手。2007年に完成した光るロープは、漁業で使われることはなかったが、現在は海上や海中の作業の夜間認識や安全確保のために使われている。この、LEDを使った光るロープ《ヒカロープ》は、海だけではなく商業施設の演出用に使うことができるのではないか。そうした考えから同社は「JAPAN SHOP」への初出展に至った。《ヒカロープ》は組紐、三つ打、八つ打の3タイプがあり、カラーバリエーションは8色。新しい照明デザインの光源としても注目だ。


三栄製綱の《ヒカロープ》。左は潜水士向けドラム巻ヒカロープ、右は誘導ライン用


三栄製綱の《ヒカロープ》

サイン向け導光板の技術を、ダイナミックな空間演出で見せているのはトライテラスだ。LEDとの組み合わせで、飲食店を想定したスパークリング感のある華やかな空間をつくりあげている。イミテーショングリーンを封入した光る受付カウンターも注目だ。



トライテラスのブースと受付カウンター

岡村製作所は、売り場に求められるさまざまな機能を、パーツとして組み込むことができるデザイン性の高い店舗什器《visplay》の展示と、新開発の《+ma》の展開例を発表した。岡村製作所の定評のあるスチール什器。《+ma》は、その什器の間にさまざまなマテリアルの板材を組み込み、シンプルだが応用性の高いシステム。素材の種類や仕上げを変えることで売り場のコンセプトを什器に表現することができる。


岡村製作所が国内展開するスイス生まれのシステム什器《visplay》


新発表された《+ma》によるコスメ売り場のための什器提案

店舗の売り場づくりやデザインに関わるデザイン団体、日本ビジュアルマーチャンダイジング協会と空間デザイン機構もそれぞれ特別展示を行っている。
日本ビジュアルマーチャンダイジング協会の特別展示は「VMDと未来店舗」。メインステージではQRコードの顔を持つマネキンが、さまざまな情報を発信。コンテナブース内に展示されている《ADVANCED SHOW WINDOW》も必見だ。《ADVANCED SHOW WINDOW》は、シースルーのモノクロ液晶モニター、オブジェへのプロジェクションマッピング、背後のフルカラーLEDビジョンの3層構造で、それぞれがデジタル制御され、動きと変化のある未来のショーウインドーの提案になっている。


日本ビジュアルマーチャンダイジング協会「VMDと未来店舗」のメインステージ(デザイン/山田祐照、ディレクション/朝比奈保)


《ADVANCED SHOW WINDOW》

空間デザイン機構は日本経済新聞社との共催で「魅せる商空間」を企画展示。「川久保玲の所作」と題して、第6回「KU/KAN」賞を受賞した「コムデギャルソン」の空間デザインを紹介している。また、ディスプレイデザイン賞、ディスプレイ産業賞、JCDデザインアワード、SDA賞のコンペにおいて入選・入賞した作品のパネル展示も行われている。



空間デザイン機構と日本経済新聞社の共催、「魅せる商空間」の展示

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