2021年3月10日 会場レポート(後編)
行動に制限がかかる時間が続くなかで、自由を取り戻し、思い通りに外で食事や買い物を楽しみたいという人々の欲求は日々増している。「JAPAN SHOP2021」には、近い将来に取り戻した日常を、さらに楽しく、いかに健やかで安全なものにするかというアイデアが集まっている。2日目は、出展社の中から5社をピックアップして紹介する。
CombiWith / コンビウィズ
ベビー用品専門メーカーの知見を生かしたトイレ関連用品を手がける〈コンビウィズ〉は、より快適に、そして安全にベビー休憩室を使ってもらおうと、《別冊ベビー休憩室コンセプトブック》として刷新。配置、規模、ゾーニング、動線というトピックから、"混雑しない"ベビー休憩室の設計術をわかりやすく紹介している。一方で、親子3代で子供のケアができるボックスシート《マゴドコ》や、ベビーカート置き場とおむつ台を一体化した《CombiエンジェルKシリーズ》なども紹介。さらに、おむつ替えのときに使うペーパーシートを、ランチョンマットや荷物置きの変わりに使うことで、外出シーンの衛生面を多様にサポートする提案も行っていた。
https://www.combiwith.co.jp
RICOH JAPAN / リコージャパン
2つの新機種を発表したリコージャパンブースでは、展示ブースのほとんどを2つの新製品で出力したパーツで制作。自社製品が作り出す品質の高さと表現の豊かさをリアルに表現していた。ラテックスインク搭載の大判インクジェットプリンター《RICOH Pro L5160e/L5130e》は、速乾性に優れたラテックスインクの採用でPVCやターポリン、壁紙、透明PETなど多様なメディアに対応。一方、UVフラットベッドプリンター《RICOH Pro TF6251》は116㎡ / 1時間という生産性の高さと厚み11cmまでのメディアに印刷可能という特徴を持つ。近年では建築や空間設計の現場で建材にプリントをするニーズも増えていることから、今後プリンタがどこまで可能性を拡張していけるか楽しみだ。
https://www.ricoh.co.jp
AICHI METAL / アイチ金属
住宅建築金属に特化したオーダーメイド製品の企画、製造を行う〈アイチ金属〉は、ドイツ生まれの特殊メタルコーティング《VeroMetal® / ヴェロメタル》を紹介。従来のメタリック塗料とは異なり、本物の金属を粉状にしたものを樹脂と混ぜて拭きつける手法でコーティングするもので、研磨やエイジング加工の仕方によって、さまざまな表情を作り出すことができるのが特徴だ。金属はもちろん、木材、セラミック、ガラス、石膏ボードなど、あらゆる素材にコーティング可能で、トップコートをかければ、経年変化することなく、使用エリアや機能、目的に適したデザインを施すことができる。同社はイタリアのメタル家具メーカー《ディ・カステッリ》の日本総代理店も務めており、2021年4月には東京デザインセンター内にショールームをオープン予定。
https://www.aichi-metal.co.jp
Shukoh / 秀光
オフィスをはじめとした公共空間の企画、デザインを手がける〈秀光〉は、リモートワークに代表される新時代のワークスタイルを支えるプロダクトを紹介。ウェブ会議が増えるなか、環境音に左右されないために防音室をユニット化してパッケージでの販売を開始。また、テーブルが上下左右に動かせるフレキシブルな可変性が特徴のコンパクトデスクは、イタリア〈ユニフォー〉の《Touch Down Unit》は、ホームオフィスにも活用できそうなアイテム。さらに、椅子のシートハイに合わせたソファや、オフィスで活用できるシステムキッチンなど、働き方改革を現場から変えてくれる実践的アイテムを紹介していた。
http://www.shukoh.co.jp
DDG JAPAN
2010年にシンガポールで設立されたガラス加工会社〈DDG GLASS〉の日本総代理店、DDG JAPANは、豊富な組み合わせを誇る合わせガラスを展示。同社の製品は、一定の熱処理こそ必要だが、およそ3mm厚までならガラスの中間膜に装飾素材を自由に挟むことができるので、金属やファブリック、紙など、要望に応じたさまざまなカスタムメイドが可能。生産はすべてマレーシアの自社工場で行っているため、まずは試作を相談し、仕上がりをチェックしてからオーダーできるのも嬉しい。建築家やインテリアデザイナーの評価も高く、アジア圏の高級ブランドショップやラグジュアリーホテルなどへの納入実績も多数持つ。
https://www.ddg-glass.com/ja/
(デザインジャーナリスト・猪飼 尚司)