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連載コラム

第4回「大型SCダイヤモンドシティ テラスは骨太な空間で勝負!?」

[ 2003年1月28日 ]


 土地と建物を所有するのは、東洋ゴム工業の小会社アイシティ。SCデベロッパーのダイヤモンドシティが運営管理を担当している。
 ダイヤモンドシティ テラスは、立地こそ駅前だが、施設の仕様はいわゆる「郊外型」と言える。
 東洋ゴム工業の工場跡地を再開発したSCで、6万1319平方メートルの敷地に地下1階、地上6階の建物がそびえ建つ。ただし地下部分と地上4階以上は、4階南端に位置するシネマコンプレックス「伊丹TOHOプレックス」を除いて、すべて駐車場が占めている。収容台数はしめて2615台に及ぶ。
 一方、150余の専門店や核テナントである「ジャスコ伊丹店」、対核テナントの「トイザらス」「コムサイズム」「スポーツオーソリティ」などは地上3階部分にすっぽりと収まっている。したがって、店内を歩き回っている限りは低層のSCという印象を受けるのだ。

 

 そして、何よりもここを郊外型SCだなと体感させるのは、細長い建物の中央を貫く長さ180メートルの吹き抜けモールの存在だ。なだらかに弧を描いて伸びる吹き抜けモールの両側には、ゆったりした幅の通路が設けられ、専門店群が軒を連ねる。モールにはトップライトからの自然光が注ぎ込む。訪れた日の天気が良かったせいもあり、3階を歩いていると、半屋外という感覚を受けるほどの明るさだった。

 細長いモールの両端には、円形の吹き抜け空間が設けられている。ここは屋上の駐車場にも通じる上下動線の要であると同時に、吹き抜けに沿ってベンチやテーブル席が用意された休息の場でもある。やはり天井がガラス張りなので非常に明るい。特に屋上駐車場への4階出口部分は、"裏側の暗い場所"という駐車場の一般的なイメージをくつがえす気持ち良さを提供している。
 こうした自然光や吹き抜けがもたらす開放感が、ダイヤモンドシティ テラスの建物が持つ最大の特徴だ。

 

 デベロッパーの総投資額は、約134億円という。鉄骨造の建物は、決して高価な素材を用いたつくりではない。しかし、坪単価では図れない"ゆとり"がこの建物にあるとすれば、それは空間そのものが持つゆとりに起因するだろう。ベビーカーが余裕をもってすれ違える広い通路、公共スペースのあちらこちらに置かれたベンチや植栽は、子供連れや高齢者への配慮もうかがわせる。建物が広いため移動するのが大変という側面もあるが、随所の休息スペースがその弱点を埋め合わせているといったところだろうか。

 

 もちろん、年間販売予定額として約300億円を掲げる同SCの成否が建物だけで決まるものではない。とは言え、ショッピングをする空間として、ゆったりした気持ち良さという"骨太"の価値をこの建物が提供していることもまた確かだ。

 (守山久子)


■ダイヤモンドシティ テラス:http://terrace.diamondcity.co.jp/

商空間デザイン最前線(日経デザイン編)
執筆者:守山 久子

フリーランスライター。
1963年東京都生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。
ゼネコン設計部、日経BP社「日経アーキクチュア」「日経ストアデザイン」「日経アート」「日経デザイン」の各編集部を経て2003年に独立。住宅、建築、デザインの分野を中心に取材・執筆を行う。著書「家族と財産を守る耐震リフォーム」(週刊住宅新聞社)、共著「デザイン・エクセレント・カンパニー賞!」「デザインエクセレントな経営者たち」(ダイヤモンド社)、「巨匠の残像」(日経BP社)。

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