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連載コラム

第23回「ファミマ!!はコンビニの個別展開に挑戦」

[ 2004年8月27日 ]

 恵比寿ガーデンプレイスの中にひと際高くそびえ建つ恵比寿ガーデンプレイスタワー1階。ファミリーマートの新業態店ファミマ!!は、そんな一等地にオープンした。
 天井の高いオフィスロビーの中に、シルバーに塗装されたH型鋼の骨組とガラスで覆われた空間がポンと置かれている。入り口に立つライムグリーンの壁には、黒い円に白抜きで「ファミマ!!」のロゴ。什器がゆったりと並ぶ店内は、一般的なコンビニに比べると非常にすっきりと見える。

 この“すっきりさ”の秘訣として挙げられるのが、カラーリングとサインの工夫だ。とかく色も商品もはんらんしがちなコンビニにあって、ここでは落ち着いた色合いの什器とポイントカラーを配したサインが、効果的な対比をもたらしている。

 什器は、金属や木の質感とモノトーンの色調を生かしたデザインだ。ヘアライン仕上げのステンレスの肌合いをそのまま見せる什器を中心にすえつつ、側面や上面に木目調の素材をあしらった。床も、コンビニには珍しいフローリング。こうした素材の組み合わせが空間に重厚感をもたらし、視覚的にも煩雑にならないようにしている。

 一方、要所には目を引く色を配した。入り口を彩るライムグリーンの壁に始まり、レジカウンターの背後にはライムグリーンとオレンジの帯、H型鋼から吊り下がるのは四角い黄色のサインといった具合だ。また黄色のサインには、おにぎりや総菜、菓子、文具などを表現した丸いピクトグラムで商品を表示。文字を極力減らし、コンビニの店内をすっきりと交通整理している。

 
写真左:外観 写真右:レジまわり (写真提供:ファミリーマート。以下同)
 
写真左:店内入り口側から 写真右:サイン


 販売する商品の構成も、町中の路面店とは一線を画した。何といっても恵比寿ガーデンプレイスという一流オフィスビル内に位置しているコンビニだ。オフィスワーカーのリピーター率が高い特性を生かした品揃えを試みている。

 例えば、総菜用什器にはオリジナルのパッケージに包まれたベーグル(360円)やカスクート(340円)など、シンプルな包装の食品が並ぶ。白地に「Every life , Every Fun」という文字の印刷された紙カップに入れてもらうのは、クラムチャウダー(220円)やコーンクリームスープ(200円)といったスープ類。またミネラルウォーターは、カナダやフランス、イタリアなど世界各地の商品を約20種類用意している。ワンランク上のちょっとしゃれた品揃えが持ち味となっている。

 このほか、普通なら透明袋に入った商品が雑然とぶら下がっている雑貨コーナーには、無印良品のワイシャツや赤・黄・緑などの色鮮やかな外国製のステーショナリーなどが並ぶ。雑誌のラックに英字の新聞・雑誌が無造作に差さっているのも、恵比寿ガーデンプレイスならではだ。

 訪れた日は什器の上で、紙カップをピラミッド状に積み重ねてアイキャッチとするディスプレイも施していた。一般のコンビニに比べるとやや高めに見える価格設定の商品も、オリジナルのシンプルなパッケージやディプレイの工夫によって、程よい高級感を漂わせている。

 こうした高級感の演出に一役買っているのが、高さを低く抑えた什器のしつらえだ。中央の什器の高さを肩くらいに留めているため、ぐるりと見回せば店内全体に目が行き届く。周囲をガラス張りにしていることもあり、店の透視性が高い。什器間の通路幅を広めにとっている効果とあわせ、コンビニ特有の圧迫感がなく、非常にすっきりした空間に感じられる。

 
写真左:文具棚 写真右:外観真横

看板


 さて、ファミマ!!のもう一つの特徴は、オフィス用コンビニ業態との複合店舗にしていることだ。

 H型鋼の骨組の中には、ネットカフェの『エキサイト・ブロードバンド・ステーション』と、コピーや印刷、宅配便や郵便の発送など各種サービスを行う『MBE恵比寿ガーデンプレイス店』の店舗が隣接している。サービス面の提携もしており、ファミマ!のレシートを持っていくと『エキサイト』のインターネットを一定時間無料で使えるようになっている。

 そもそもファミマ!!の商品構成やデザインは、オフィスビルなど特定施設への出店を想定し、それぞれの施設に合わせた店作りのシステムを構築する試みとして生み出された。そのためライムグリーンをはじめとしたカラースキームも、店によってバリエーション展開できるよう考えられているという。

 これまで統一した店作りを基本としてきたコンビニが、多様性を前提としたデザインに取り組む。恵比寿ガーデンプレイスのファミマ!!は、まさにそうした実験、検証の場として位置づけられているのだ。

 (守山久子)


■ファミマ!!:http://www.family.co.jp/
東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー1階
営業時間 7:30〜22:30
無休

商空間デザイン最前線(日経デザイン編)
執筆者:守山 久子

フリーランスライター。
1963年東京都生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。
ゼネコン設計部、日経BP社「日経アーキクチュア」「日経ストアデザイン」「日経アート」「日経デザイン」の各編集部を経て2003年に独立。住宅、建築、デザインの分野を中心に取材・執筆を行う。著書「家族と財産を守る耐震リフォーム」(週刊住宅新聞社)、共著「デザイン・エクセレント・カンパニー賞!」「デザインエクセレントな経営者たち」(ダイヤモンド社)、「巨匠の残像」(日経BP社)。

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