日経メッセ > JAPAN SHOP > 連載コラム > 商空間デザイン最前線(日経デザイン編) > 第34回「星空風照明を浮かび上がらせるリニューアル 〜和食とフレン地ダイニング 銀座キュイジーヌ!」

連載コラム

第34回「星空風照明を浮かび上がらせるリニューアル 〜和食とフレン地ダイニング 銀座キュイジーヌ!」

[ 2005年8月12日 ]

 銀座四丁目の交差点から少し入った、みゆき通りと西五番街通りの角地に建つ飲食店ビル4階に『和食とフレン地ダイニング 銀座キュイジーヌ!』は立地する。カラオケルーム「ビッグエコー」を運営する第一興商のレストランだ。
 第一興商は、これまでに26の飲食店を出店している。そのほとんどが個室系ダイニングの店というなか、唯一ブライダルなどのパーティー利用を見据えているのが銀座のこの店だ。2003年末の開業当初から、中央に広いフラットな客席スペースを設け、大人数の需要に対応してきた。

 売り上げの比率は、ウエディング4割、一般のパーティーや宴会が3割、そして残り3割がフリーの一般客という構成。当初の狙いだったパーティー利用に加え、ビジネスマンやOLの多い立地にあって平日のフリー客の数をいかに伸ばしていくか。それが今回のリニューアルの大きな目標だった。

 ソフト面での改変の目玉は次のようになる。

 まず、メニューの刷新。従来は洋食とエスニック料理を提供していたのに対し、和食をベースに洋食の要素を取り入れた料理に変更し、客に対する間口を広げた。梅酒の種類を増やすなど、女性客向けの酒も充実させている。

 これに合わせ、『オリエンタルダイニング Cuisine Ginza』という店名を現在の『和食とフレン地ダイニング 銀座キュイジーヌ!』に変えた。フレンチを示す言葉をあえて「フレン地」という表現にし、ローマ字表記を日本語表記に改めたことで、カジュアル感を高めた。ちなみに「地」という文字には、有機野菜など自然素材を使うイメージを託している。


メイン客席スペース


 店内は、白い素材を積極的に生かし、ウエディングのパーティーにふさわしい明るさを基調としたものだ。今回は、平面構成や壁や床の仕上げ材など主要部分は従来のまま利用し、要所をいくつか改変した。

 まず、全体のつくりを見てみよう。

 エレベーターを降りて店内へのアプローチを折れていくと、まず目に入るのがガラス張りのキッチン。食事の準備風景を右手に、水の流れ落ちる演出を左手に見つつ、通路を通り抜けていくと一段下がった客席フロアが広がる。

 
写真左:店アプローチ 写真右:アプローチの水


 パーティー会場にもなるこのフロア部分は、生成りに近い白の床タイルに、同じ色の合成皮革のいす、同色のクロスがかかった四角いテーブルで構成されている。一方、パーティションや壁にはガラスを積極的に取り入れ、非日常的な雰囲気を与えている。特に壁のガラス面の背後には点状の照明を組み入れ、星空のような情景を生み出す。

 内装で変えたのは、次のようなポイントだ。

 1つは、落ち着いた雰囲気をもたらすようにしたこと。以前はウエディングを意識して照明も明るめの設定だったため、平日の夜訪れる客にとってはやや落ち着かない印象を与えていたという。そこで、全体の照度を落としつつ、いくつか新設したスポットライトを用いて、夜の食事にふさわしい雰囲気を与えた。これに伴い、壁面照明も印象的に浮かび上がるようになった。

 また、従来はオープンキッチンと客席の間に何も仕切るものがなかったため、客の視線がキッチンの中にいきがちだった。オープンキッチンは中のスタッフの動きを見せるのが目的とはいえ、すべてが見えすぎるのも落ち着かない。

 そこで、客席をオープンキッチンの間に金属ののれんを垂らし、かすかに透けて見えるようにした。オープンキッチンのカウンター側壁部分には和紙を貼り、料理のイメージと合わせながら落ち着いた印象を醸し出す工夫も施した。

 「お客様の快適性を高めるとともに、今まで生かしきれていなかったハードをより効果的に見せるよう心掛けた」と、第一興商スーパーバイザーの福島将人氏は話す。こうしたリニューアルで、室内の雰囲気は一変した。

 
写真左:パーティションで分かれた客席 写真右:客席スペース

 改装に伴って、利用者の反響はどう変わったのか。

 リニューアルオープン後、およそ1カ月の時点で見えてきた変化は、追加オーダーが増えたことだという。「追加オーダーが増えることは、居心地の良さを示すバロメーターととらえている。滞在時間も長くなった」(福島氏)。現在の客単価は、サービス料込みで4400円から4800程度。今後も4500円くらいで推移できるよう、メニューの調整も考えていくという。

 店内は、4人掛けのテーブルが12脚並ぶメインフロアのほか、少人数の集まりに使えるスペースも用意している。パーティションでメインフロアと仕切られた30人用の客室、パーティーのときは控え室になる10人用の個室、一転して壁や床に深い色の木を用いた20人用の別室である。


奥客席


 個人客やグループ客はもちろん、ビジネスの打ち合わせを兼ねた食事など、いろいろなシチュエーションで利用できそうだ。

 (守山久子)


■和食とフレン地ダイニング 銀座キュイジーヌ!
(TEL:03-5537-6677)
東京都中央区銀座5-6-12 みゆきビル4階
営業時間
 火〜金:17:00〜23:30(L.O22:30)
 土:13:00〜23:30(L.O22:30)
 日祝:13:00〜22:00(L.O21:00)
月休(祝、祝前日の場合は営業)

商空間デザイン最前線(日経デザイン編)
執筆者:守山 久子

フリーランスライター。
1963年東京都生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。
ゼネコン設計部、日経BP社「日経アーキクチュア」「日経ストアデザイン」「日経アート」「日経デザイン」の各編集部を経て2003年に独立。住宅、建築、デザインの分野を中心に取材・執筆を行う。著書「家族と財産を守る耐震リフォーム」(週刊住宅新聞社)、共著「デザイン・エクセレント・カンパニー賞!」「デザインエクセレントな経営者たち」(ダイヤモンド社)、「巨匠の残像」(日経BP社)。

バックナンバー

PAGE TOP