連載コラム

NEW YORK ブルックリンでみるVMD+JAPAN

[ 2015年2月20日 ]

もっと日本をJAPANに

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2020年に向けて日本の美を世界へ

 2020年の東京オリンピック開催が決定してから、東京都内の開発や環境が動き始めました。空間デザインやVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)に関わる私達も2020年に向けた活動を始めなくてはなりません。日本そのものをデザインしていくつもりで、2020年以降にもしっかりと残るものを作り、未来へと繋いで行くことが大切だと考えています。
 では、2020年までに果たすべきミッションとは、一体どのようなものでしょうか? 私はもっと日本文化や伝統、そして日本の美を世界に発信することが重要だと思うのです。

 私はVMDの専門家として、例えば大型商業施設や小売業店舗、飲食店、自動車関連、ブライダル関連など、さまざまな業種の店舗を魅力的に見せる仕事に携わっています。オンラインでの情報がリアル店舗の購買に影響を与えるO2O(Online to Offline)時代においても、やはり魅力的なリアル店舗は、購買者の意欲をそそる重要な要素なのです。VMDという視覚的効果と行動心理を上手に活用し、人々が自然と入りたくなる入り口で出迎え(入店を上げる)、 商品が選びやすく提案力や発見がある店内で魅了する(滞留時間と客単価)、感性と科学的要素のバランスを取った店舗作りが基本です。さらに音や香り、光、動き等の五感要素を入れて、さらに多くの人が心に『感じる』リアル店舗が求められているのです。
 そのような店舗作りを考えるときに、先日訪れたニューヨークのブルックリンはとても参考になる部分が多い場所だと言えるでしょう。そこで今回は、ニューヨークの日常が感じられる1月の風景から感じたことについてお伝えしようと思います。

ブルックリンにある日本 、本物と目利き

 ある店舗のスタッフに話を聞いたところ「 日本の桜は本当に美しく、新しい出会いや卒業シーン等、『その瞬間』を切り取り季節の節目を演出するのにとても相応しい花です」と言っていました。特に生花を生けるという行為に、造花には無い手間と愛情、そこに日本の美と心意気を感じることができるのでしょう。

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 老舗デパートのバーグドルフやACEホテル、人気アパレルブランドのJ.Crew等感度の高い場所には、必ずと言っていいほど本物の桜が生けてありました。また、ブルックリンの新しい店舗やセレクトショップにはナイフ・ハサミコーナーに日本の職人の手作りハサミや包丁がディスプレイされていて、カップやグラスのコーナーでも日本茶用のセット等、和のアイテムを多く目にしました。

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 それらを見ていて、外国人バイヤーには、日本の美や日本文化の本当にいいものを見る目が備わっていると思いました。時として、私達日本人よりも本物を見極める力や本当の価値を理解しているようにさえ感じます。魅力的な商品を空間作りへ取り入れる感性や編集能力の高さこそが、世界に最新のトレンドを送り届け続けるブルックリンの力なのです。トム・クルーズ主演の『ラストサムライ』という映画の主人公と外国人バイヤー達が、私にはダブって見えて仕方ありません。

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 ブルックリンを訪れて私が強く思ったのは、日本人である私達こそ意識的にもっと日本を感じ、そして『JAPAN』を世界に紹介する必要性です。その努力を続けていくことで、日本のリアル店舗もいつかブルックリンに追いつく日がくるでしょう。

ブルックリンにある京都――ホスピタリティーとおもてなしの心

 ブルックリンには、間口が狭くて奥行きのある小さな店舗が多くあります。その中でも特に接客型やコンシェルジュ型の店舗、サーフショップやサロン、生花店等の小さい店の奥に中庭があるのが印象的でした。それは、まるで京都の旧き庭園の中庭の佇まいに似ていて、ここでも日本を感じ取ることができたのです。おもてなしやコミュニケーションの場として人々が気軽に訪れることのできる店舗作りが、顧客獲得に繋がるとみんなが知っているようでした。

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◇Saturdays Surf NYC(サタデーズ サーフ ニューヨーク)
ニューヨークと日本に店舗を構えるサーフショップ。このショップの特徴は、店内にコーヒーバーがあるところ。店内でオリジナルのコーヒーを販売していて、コーヒーを飲みながら買い物を楽しみ、疲れたら中庭で気軽に休憩することもできる。夏になると中庭にはサーファーが集い、コーヒーを飲みながらトークを楽しんでいるようだ。
コーヒーを飲みながら買い物ができるということもあり、お客の滞在時間が長いのが印象的だった。それほど大きくない店内だが、充実した品揃えで、商品が少ないというイメージを感じさせない。

フードマーケットがとてつもなく楽しく、面白い

 常に思うことですが、海外のフードマーケットは面白い。特にフルーツ売り場は、商品の見せ方や売り方にVMDの視覚的効果が満載で、とても楽しい場所になっています。合わせてPOPのデザインも秀逸で、トータルな世界観で楽しさが視覚的にブランディングされています。このような空間が身近にあれば、毎日行きたくなってしまうでしょう。

 食を通じてお客様とコミュニケーションをとるための仕掛け作りも活発で、各コーナーでは食材と関連した雑貨や本が陳列され、美味しく作るためのレシピやライフスタイルに合わせた商品コーディネートが沢山見られました。一例を挙げると、ピザのコーナーにワインブックが置かれ、さらにプレートなどのコーディネート提案がされています。また、食材をみんなで試食し、ワインを飲みながら気軽に楽しめる場所になっていることも人気の秘訣です。

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◆Union Square(ユニオンスクエア)

◇Whole Foods Market(ホール フーズ マーケット)
オーガニックスーパーの「Whole Foods Market」には、店内には色とりどりの野菜や果物、食材が並んでいる。日本ではなかなか見られないポップなパッケージのビールやお菓子などが揃っていて、お土産を買う場所としても最適。見ているだけで楽しめ、アメリカを感じられる場所でもある。また、店内にはデリコーナーがあり、イートイン・スペースで食べることができる。マンハッタンには4店舗あり、地域によって取り扱っている商品が異なり、客層が違うのも見ていて面白い。

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◇EATALY(イータリー)
名前の通り、イタリアの食材を取り扱うイタリアン・マーケットプレイス。名前の由来は、EAT (食べる) とITALY (イタリア) から。
正面入り口に足を踏み入れた瞬間、色とりどりの果物が陳列されていて、この先にはどんなものがあるのだろうかと、期待が膨らむ。店内では、ありとあらゆるイタリアの名産品が取り扱われ、商品自体がディスプレイにもなっている。様々な形のパスタやチーズ、魚等を見ているだけでも面白い。日本にも店舗はあるが、規模は断然ニューヨークの方が大きい。
魚料理やパスタとピザ、チーズ等、食材別のレストランが店内にあるので、新鮮な食材を使った料理を食べることもできる。1階に料理教室、最上階には屋内ビアガーデンもある。ニューヨークで本場のイタリアを感じられる場所として、ニューヨーカーに人気のマーケットプレイス。

みんなの笑顔と幸せをよぶ、VMD+五感表現
執筆者:大髙啓二

大髙 啓二
4hearts co.,ltd. 代表VMD+五感空間ディレクター


1968年山梨県生まれ。小売業で販売スタッフを経験したのち、VMD担当として、売場作り講師・ディスプレイ・空間デザイン・イルミネーションなど、幅広くデザインとディレクションを手掛け、JAPAN SHOP VMDセミナー特別講師を二度務める。現在はVMD事業に+五感に訴える光・音・香をデザインする五感空間を創り、2013年独立。お客様がたくさん集まる場所にふさわしい、楽しさや、感動、そして共感、「心が動く空間づくり」をプロデュースし活躍。


・有楽町マルイ開店VMD総合ディレクション
・体感型WATCHパビリオン 「THE WATCH SHOP.TOKYO」のVMD+五感ディレクション
・日本最大級ライフスタイル型クルマ選び「WOW!TOWN」新潟 木更津VMD+五感総合ディレクション
・JAPAN SHOP「O2O時代のVMD リアル店舗戦略と最新動向」の特別講師
・日本ディスプレイクリエイターアカデミーのVMD講師
・葬儀業界初「萩原東京展示会」にて音・光・香をテーマに新しい葬儀スタイルを総合プロデュース、葬儀用BGM監修
・トヨタグループ「みんなのガレージ」の全国店舗の空間プロデュース
・ロレアルジャパン全国ディスプレイコンテスト特別審査員
・六本木ヒルズ主催 ヒルズブレックファーストにスピーカー

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