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日経の紙面から

2012年ヒット商品番付――新定番、閉塞感破る。

[ 2012年12月5日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 景気後退リスクが高まる日本。所得は伸び悩み、個人消費も失速気味だ。東日本大震災から1年半が過ぎても復興は進まず、閉塞感が漂う。2012年MJヒット商品番付には、そんな重い空気を打ち破る需要創造型のモノやサービスがそろった。東西の横綱「東京スカイツリー」「7インチタブレット」をはじめ、上位の商品は各分野で新たな「定番」となるにふさわしい実力を発揮している。(関連記事2、3、20面に)

 東の横綱「東京スカイツリー」(東京・墨田)は誰もが認める東京観光の新定番だ。5月の開業後、周辺の商業施設「東京ソラマチ」を含む来場者数が予想を上回り、事業主体の東武鉄道は年間目標人数を当初の3200万人から4400万人に引き上げた。半年間では約2792万人と、その目標の6割を超えた。

 波及効果も大きい。カカクコムの宿泊予約サイトによると上野・浅草・錦糸町地区にあるシティホテルの11月の平均予約単価は1万6891円と前年同月より46%上昇。はとバスの展望台見学ツアー利用者は半年で13万人を超えた。

 今年はレジャー消費の好調が目立つ。JTBによると夏休み期間の国内旅行者は7431万人と過去最高だったもよう。内閣府のサービス支出DIでは、遊園地等娯楽費を10〜12月に「増やす」と回答した世帯は4・9%で、前年同期より0・2ポイント上昇した。

 これら旅行者の新たな足として支持されたのが東の大関「LCC(格安航空会社)」。3月のピーチ・アビエーションを皮切りに7月にジェットスター・ジャパン、8月にはエアアジア・ジャパンが就航した。成田―札幌は最安で片道4000円台。各社は国内・国際線とも路線を拡大中だ。

 IT(情報技術)関連の端末・サービスでも新たな定番が登場した。西の横綱は「7インチタブレット(多機能携帯端末)」。従来の10インチ前後の大型タブレットより画面がスリムで、持ち運びに適している。先陣を切ったのは米グーグル「ネクサス7」や韓国サムスン電子「ギャラクシータブ」。11月には米アップルが7・9インチの「iPad mini(アイパッドミニ)」を発売し、ブームに拍車がかかった。

 調査会社のBCN(東京・千代田)によると、10月のタブレット販売台数に占める8インチ未満の割合は52・0%と、9月の15・9%から急伸した。

 交流サイト(SNS)などソーシャルメディアが浸透するなか、急成長した新サービスが西の大関、NHNジャパン(東京・渋谷)の運営する無料通話・メッセージサービス「LINE(ライン)」だ。11月末時点の利用者は全世界で8000万人。1億人突破も視野に入った。NHNジャパンは今年に入り交流サイト機能を持たせたほか、企業などがマーケティングに利用できる公式アカウントも導入した。

 東の関脇のホンダ「N BOX」は燃料タンクを車体中央下部に置き、軽自動車ながらミニバン並みの室内空間を確保。この分野で出遅れていた同社が新しい軽の形を示した。ファミリー需要を獲得し、4月の新車販売でホンダの軽として8年4カ月ぶりの首位に。シリーズ第2弾「N BOX+」と合わせ1〜10月に18万台売った。11月にも第3弾「N―ONE」を投入し攻勢をかける。

 東の小結「阪急うめだ本店」(大阪市)は、エイチ・ツー・オーリテイリング傘下の阪急阪神百貨店が11月に全面改装開業。個人消費の「モノからコトへ」の流れに合わせて、総売り場面積8万平方メートルの2割をイベントスペースなど物販以外に充てた。平日に14万〜15万人、週末や休日は平均約20万人が訪れる。

 停滞していた即席袋麺市場を活性化したのが西の関脇、東洋水産の「マルちゃん正麺」。通常のノンフライ麺と違い、生の麺をそのまま乾燥させる製法を採用して麺本来のコシと味わいを再現した。割高ながら人気を集め、1970年代から年間シェア首位だった「サッポロ一番」(サンヨー食品)を抜きそうだ。

 西の小結「メッツ コーラ」は特定保健用食品(トクホ)に認定された初のコーラ飲料。キリンビバレッジはコーラ飲料が脂っこい食事と一緒に飲まれる点に着目して開発。年間販売目標は当初の7倍に引き上げた。

蒙御免

 殊勲賞 香川真司

 敢闘賞 ロンドン五輪

 技能賞 2.5世帯住宅(旭化成ホームズ)

話題賞 夏のバーゲンセール

    タイガー

残念賞 平清盛

 日経MJが消費動向や世相を踏まえ、売れ行き、開発の着眼点、産業構造や生活者心理に与えた影響などを総合的に判断して作成した。「東・西」は大相撲の番付表にならい東方が西方より格上であることを示す。

(第42回)行司 日経MJ

【表】2012年ヒット商品番付

   商品名   寸評

横綱   東京スカイツリー   5月に開業した高さ634メートルの東京の新名所。周辺施設を含めた年間来場者予想は4400万人と、計画から1200万人上積み

大関   LCC   全日本空輸系のピーチ・アビエーションなどが相次ぎ就航。高速バス並みの運賃で搭乗率は8割ほどで推移

関脇   N BOX(ホンダ)   ミニバン並みの広い室内空間を実現。1〜10月の販売台数は約18万台と計画を約5割上回る

小結   阪急うめだ本店(エイチ・ツー・オーリテイリング)   売り場面積8万平方メートルと3割広げてリニューアル。全面開業後1週間の売上高は前年同期より8割増えた

前頭   東京駅   10月に復元開業した赤レンガの丸の内駅舎が観光拠点に。周辺の商業施設の売上高は前年比2割増

同   フィットカットカーブ(プラス)   カーブ状の刃で段ボールやプラスチックも軽い力で切れるはさみ。年250万本と異例の販売を見込む

同   トップ ハイジア(ライオン)   抗菌成分が衣料に付着して洗濯のたびに抗菌力が高まる洗剤。同社の濃縮液体洗剤売上高は前年比5割増に

同   LTEスマホ   データ通信速度が従来より3倍近く速い新規格に対応したスマホ。キャリア3社が相次いで参入し主流に

同   ビックロ(ビックカメラ、ユニクロ)   家電と衣料品を混在させた「ゴチャゴチャ感」のある売り場が話題に。年間売上高目標は500億円

同   黒ビール   「アサヒスーパードライ」ブランドが市場を活性化。年内の販売目標は当初の1.5倍の300万ケースに

同   街コン   地域活性化を狙い、飲食店が連携して街ぐるみで合コンを開催。今年は全国で累計100万人が参加見込み

同   塩こうじ   伝統の調味料に健康志向や用途の広さから注目が。マルコメは初年度の販売計画を2倍の20億円に修正

同   聞く力―心をひらく35のヒント(文芸春秋)   読みやすい軽快な文章で、会話術の参考書的役割を果たす阿川佐和子さんの新書。77万部を発行

同   炭酸美容   血行促進などの効果がある炭酸ガスを使った美容が話題に。洗顔料やマッサージアイテムが相次ぎ発売

同   俺のフレンチ・イタリアン(俺のフレンチ俺のイタリアン)   キャビアなど高級食材を低価格で提供。立ち飲み席主体で最大5回転する日も。当初予想の2倍の売れ行き

同   プレーンストッキング   ナマ足より美脚に見えることで若年層の間で脚光。2月発売のグンゼ「ミリカ」は計画比1割増で推移

同   ファストフィッシュ   骨を取り除くなど食べやすい水産加工品を水産庁が〓1500品目認定。イオンでは計画5割増しの売れ行き

同   DXウィザードライバー(バンダイ)   仮面ライダーウィザードの変身ベルト。発売1カ月間の出荷量は前作の約1.5倍ペース

西

   商品名   寸評

横綱   7インチタブレット   タブレットは小型が主流に。米アップルのiPad miniなど新製品が相次ぎ登場し、店頭販売の割合は10月に5割を超えた

大関   LINE(NHNジャパン)   メッセージのやりとりもできるスマホの無料通話アプリ。国内利用者は3600万人に。ゲームやSNSも開始

関脇   マルちゃん正麺(東洋水産)   乾燥麺ながら生麺のような食感が特徴の即席袋麺。発売後1年で2億食を突破。当初目標の2倍を記録

小結   メッツ コーラ(キリンビバレッジ)   トクホのコーラ飲料の火付け役。脂肪の吸収を抑えるとされ、年間販売計画を当初の7倍の700万ケースに

前頭   86、スバルBRZ(トヨタ自動車、富士重工業)   トヨタと富士重が共同開発した小型スポーツ車。86は10月までに目標の2.8倍ペースの約2万台を販売

同   コンビニチルド和菓子   コンビニの冷蔵和菓子が健康志向のシニアらに人気に。ローソンの「あんこや」は累計3000万個を販売

同   レノアハピネス アロマジュエル(P&Gジャパン)   洗剤と一緒に使う衣類の香り付け専用ビーズ。使う量で香りの強さが調節できる。発売直後から品薄に

同   JINS PC(ジェイアイエヌ)   パソコンなどから出る青色光を30〜50%カットするレンズのメガネ。社員全員に配る企業も

同   渋谷ヒカリエ(東京急行電鉄)   ミュージカル劇場や商業施設が入る大型複合施設が4月開業。7カ月強で来館者が年間目標の1400万人突破

同   ザクとうふ(相模屋食料)   「機動戦士ガンダム」の敵役の頭部を模した容器に入った枝豆豆腐。目標を7割上回る約150万個を販売

同   1人カラオケ   カラオケ店が主に男性のお1人様需要を発掘。専用店舗や専用ルームが登場し集客は好調

同   焼き肉牛丼   焼き牛丼が看板メニューの「東京チカラめし」は初出店から1年3カ月で100店を突破。吉野家なども追随

同   実はスゴイ!大人のラジオ体操(講談社)   ラジオ体操の正しい実践が究極のエクササイズと気づかせてくれる1冊。手軽さと懐かしさで50万部を発行

同   エリクシール デーケアレボリューション(資生堂)   1本で乳液、日焼け止め、化粧下地の機能を備えた化粧品。多忙な女性に受け7カ月で120万本を突破

同   ゼウス(ロッテ)   強い刺激のチューイングガム。年10億円の売り上げでヒットといわれる中で20億円以上を見込む

同   ドアモニ(パナソニック)   取り付け工事不要のドアモニター。若い女性やシニアに人気で、年間販売は目標を上回る10万台超の見込み

同   個人輸入代行サイト   円高で海外通販サイトの利用が加速。エニグモが運営する「バイマ」は会員が100万人を超えた

同   山下達郎&ユーミン   ベスト盤が相次ぎヒット。山下達郎さんのアルバムは50万枚超の売り上げ。中高年需要をつかんだ

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