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旭川に駅直結のイオン――街再生へ地域力問う(列島追跡)

[ 2012年12月3日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 JR旭川駅に直結するイオンモールの進出計画に、北海道旭川市の中心市街地が揺れている。危機感を抱く駅前の一部商業者が出店反対を表明。市は影響を最小限にとどめる要望書を提出した。一方で、高い集客効果に期待する声もある。郊外から都心へシフトする出店の在り方は中心市街地の衰退を加速させるのか、再生につながるのか。全国の試金石となりそうだ。

 北海道旅客鉄道(JR北海道)グループとイオンモールが2万8千平方メートルの敷地に11階建てビルを建設。イオンモールは1〜5階(延べ床面積4万6千平方メートル)に、JR北海道系ホテルが上層階に入り、2014年度中に開業する。

 イオンモールにとって駅直結型の大型店は初めて。売り場面積は駅前に延びる日本初の恒久的歩行者天国「旭川平和通買物公園」にある西武旭川店、フィール旭川の2店に匹敵する。

 イオンの岡田元也社長は札幌市内で「考えられる最も新しいショッピングセンター」などと発言。イオンモールも「札幌に流出している消費者を呼び戻す」(広報室)と意欲的だ。

 地元商業者は反発を強める。「中心市街地は一挙に廃虚になるだろう」。ファッションビル「オクノ」の石原嘉孝社長ら5人が「全市全壊を拒否する市民の会」を結成。「劇場・娯楽性も備えた巨大な商業空間ができれば、共存する道はない」(石原氏)と断じた。

 旭川市郊外では04年に売り場面積約6万1000平方メートルの「イオン旭川西SC」が開業。買物公園の平日の通行量は03年から08年で36%も減少した。丸井今井旭川店(現フィール旭川)が09年閉店。西武旭川店も一時、撤退を発表して撤回した経緯がある。

 一人勝ちへの懸念を回避すべく旭川市は11月中旬、イオンモールに地元商業者の機能を補い相乗効果が得られる機能の導入、買物公園の利便性向上への貢献など4つの要望をした。

 イオンは地方都市では高齢化に伴い人口が都心に回帰し、市街地で買い物をする消費者が増えるとみる。旭川平和通商店街振興組合の鳥居幸広理事長は「中心部出店をチャンスと捉え、市の計画と連動させ相乗効果を狙うべきだ」と説く。

 旭川市は昨年、国から中心市街地活性化基本計画の認定を受けた。市営住宅建設による街中居住人口の増加や高齢者に配慮した補助交通手段、小劇場・映画館の開設など40超の事業・イベントを計画中だ。ただ街中居住増加の目標は500人程度。イオンモール進出後は回遊効果を高める仕組みづくりも必要だが、買物公園自体に魅力ある店が少ないなど課題は多い。

 イオンモールのテナント選びはこれからだが、市中心部に限らず広域の商業環境が変わる可能性もある。旭川大学の江口尚文教授は「オフィス誘致で昼間人口を増やすなど、市全体の街のデザインを根本から見直す必要がある」と説く。中心部に出現する巨大な集客施設を街の活性化にどうつなげるのか。地域の知恵が問われている。

(旭川支局長 川井幸司郎)

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