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バーチャル試着切り札、セレクトショップ、ネットで店で、満足度高め再訪促す。

[ 2015年4月6日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 セレクトショップで、デジタル技術を使い新たな試着体験を提供する動きが広がっている。日本では洋服を購入する前に試着する人が多く、試着時の満足度が売り上げに大きく影響する。「服が売れない時代」の起爆剤にしようと、各社が知恵を絞っている。

 アーバンリサーチは1日、商業施設「東京ソラマチ」(東京・墨田)に“新店”を開いた。広さわずか6平方メートル。店内に洋服は一切見当たらず、置いてあるのは大きな液晶画面と端末くらいだ。

 来店客は画面上でアーバンリサーチの服の中から気に入った商品を選ぶ。するとカメラを通じて試着する人の体形を読み取り、3次元(3D)で洋服を表示する。体に合わせて洋服が動くなど、実際に着ている感覚で試着できる。気に入ればその場で商品データを自分のスマートフォン(スマホ)に送って購入する。商品は後日自宅に届く仕組みだ。ソラマチ店ではスタッフが常駐しているが、イメージは洋服の「無人販売機」だ。

 この新しい店の試着システムは、アーバンリサーチがインターネット関連企業のワープジャパンと共同で開発した。正確な試着ができれば限られたスペースにも出店でき、海外にも販路を広げやすくなる。

 もう一つの可能性は、インバウンド(訪日外国人)需要の取り込みだ。システムは英語などにも対応しており、幅広いサイズや着こなしが提案できる。最新の技術ときめ細かな商品提案の組み合わせは、日本らしいおもてなしといえる。

 同社は通販サイトでも今春、デジタル技術を活用した試着システムを導入した。

 顧客はサイトにアクセスして、欲しい商品を選択する。過去に購入履歴がある商品のほか、手持ちの服を測って数値を入力すれば、選んだ服をイラスト化したものと重ねてサイズ比較ができる。

 胸囲や丈の長さが数センチ違うといった情報が表示されるため、実際に着た時のイメージがしやすくなる。

 スウェーデンのベンチャー企業バーチャサイズがECサイト向け試着システム運営しており、ユナイテッドアローズも昨年導入を決めた。売り上げの伸びが目立つネット通販で利便性を高め、実店舗の来店にもつなげる狙いだ。

 バーチャサイズの上野オラウソン・アンドレアス社長は「欧米のネット通販の返品率は3割程度。これに対して日本は1割。商品に満足しているのではなく、不満があってもあきらめてしまうケースが多い。これではリピーターにつながらない」と指摘する。バーチャサイズによると、同システムを利用した顧客はそうでない顧客に比べて平均単価が2割ほど高い。サイズが理由で返品する割合も半減した。

 実店舗、ネット通販とも購入につながる試着の仕組みをどう構築するか、各社の模索が続きそうだ。(水口二季)

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