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車査定・修理・整備やレンタカー...、イオン、複合施設で集客、物販から「総合力」勝負へ。

[ 2016年2月17日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 イオンが大型ショッピングセンター(SC)の新たな集客策の開発に取り組んでいる。高齢化や電子商取引(EC)の普及を受け、広域からの来店を促すためにはこれまでにない来店動機を持つ必要があるからだ。12日には初めて、自動車関連の複合施設を設置。最大の来店手段であるクルマ関連の需要を取り込み、SCの総合化を進める。

 「買い物している間に査定してもらえる」。自家用車の中古買い取り査定をしてもらうため、イオンモール土浦(茨城県土浦市)を訪れた56歳の男性はそう話す。SCに中古車の買い取りや販売、レンタカー、修理・整備といった自動車関連の店ができると聞いたときは「違和感があったが、よく考えると便利だ」。

 SCの駐車場にできた新店は、路上サービス大手の日本ロードサービス(東京・足立)の新業態。同社とイオンはこの「ガレージステーション」を、地方を中心に3年で30カ所に設ける計画だ。

 実際のサービスは、日本ロードサービスと契約する事業者が提供する。中古車オークションのユー・エス・エスは、同店で初めてレンタカー事業を手掛ける。クルマ離れが指摘される中で、人が集まるSC内での新ビジネスに可能性を感じたからだ。

 クルマでの来店がほとんどの場所でレンタカーの需要はないようにも思える。だがクルマが生活に不可欠な土浦では「軽など小型のクルマを複数台所有する家庭が多い」(日本ロードサービス)。大人数で出かけるときなどに、比較的大型のクルマが借りられるという。

 そのため、同店が扱うクルマには後部座席用テレビや革製シート、足休めなどがついた特別座席など、通常レンタカーにはあまりないオプション装備をつけている。レジャーや「たまにはいいクルマに乗りたい」というファンの需要を狙う。キャンプやスノーボード用品などとセットにしたプランなども検討し、SC本館との相乗効果を出していく考えだ。

 「もう物販だけでは限界がある」と、イオンモール土浦の大石幸治ゼネラルマネージャーは話す。衣食住の商品を総合的に扱ってきたSCだが、人々の生活需要は「買い物」だけで満たせるわけではない。イオンはレジャーや交通、医療、保育など、小売業が範囲外としてきた事業領域も取り込んで、さらなる「総合化」に突き進む。

 イオンはこのほか、SC内の指定したコースを歩いて回った来店客に、ポイントを付与する取り組みも本格化する。2カ所で実験していたが、2016年度に10カ所以上に広げる。東北など、冬に積雪で外を歩きにくくなる地域の施設で実施。地域住民の健康増進につなげたい自治体などとも連携する考えだ。

 自動車関連の複合施設の展開には、平日などには場所が余りやすい駐車場の有効活用という側面もある。歩いてポイントをためてもらう取り組みは、平たんで空調の効いた大型施設は高齢者などのウオーキングに適しているとの判断からだ。

 イオンは広大なSCの敷地や設備を、物販以外の何に使えるか模索している。行政機能を取り込む動きもある。だがこうした来店を主眼にした施策が十分な収益を生むかは不透明さも残る。今もなお地方に大型施設を作り続ける同社は、高齢化や人口減に向き合いSCを再定義する必要がある。(中川雅之)

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