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「社内での対話増やす」、三越伊勢丹HD杉江次期社長が会見、再浮上へ抜本対策見えず。

[ 2017年3月15日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 突然のトップ交代に揺れた三越伊勢丹ホールディングス(HD)は都内で新経営体制に関する記者会見を開いた。4月1日付けで社長に就任する杉江俊彦取締役専務執行役員(56)は中間管理層らとの対話による社内融和の方針を打ち出し、5月にも構造改革案をまとめる考えを示した。ただ現時点での具体策は乏しく、再浮上へ向けた道のりは平たんではない。

 「大西洋社長は外部との対話に時間を取っていたが、社内でのコミュニケーションが不足していた。今後は社内での対話を増やしたい」。13日に開かれた記者会見で杉江氏はこう強調した。

 飲食や婚礼、旅行など百貨店以外の事業にも積極的に参入を図った大西社長。地方店の構造改革にも取り組んだが、昨年の会見で店舗名を挙げて「不採算店は見直す」と発言したところ閉鎖するとの誤解が広がったことから、従業員から不満が出ていたという。「発言について気をつけてほしいと労働組合から申し入れがあった」(杉江氏)

 成長戦略よりも構造改革を優先させる。「2017〜18年度は負の部分を正すということをやる」と表明。具体策については早ければ5月の決算発表時に示すとした。

 ただ杉江氏は大西社長の多角化路線を引き継ぐ姿勢も見せる。経営戦略本部長として大西体制を支えてきたのは杉江氏自身。大幅な方針転換は打ち出しにくい。

 杉江氏が大西路線を継承するならば、大西社長が辞任する必要はあったのだろうか。社長交代については「19年3月期に営業利益500億円としていた経営上の目標を2年先送りした責任を取る」(杉江氏)とするが、実際は大西社長の構造改革と成長戦略に不満を持った労組の上層部が石塚邦雄会長(67)に泣きついたもの。大西社長との違いを打ち出さないと、杉江社長が就任した意味がなくなってしまう。

 記者会見では大西路線の継続とも転換とも取れない発言が目立った。現場の反発を受けてリーダーは交代したが、目新しさはなく三越伊勢丹HDが持つ問題の根深さをうかがわせる。

 「人件費の削減は必要だ」「地方店には何らかの手を打つ」――。杉江氏は改革に痛みが伴うことを示唆したが、具体的な手法については「労働組合などと協議して決める」と述べ明言を避けた。構造改革が必要なのは明かだが、矢継ぎ早に展開を決めれば労組に手足を縛られる。杉江氏は記者会見中に繰り返した「対話」で果たして乗り切れるのだろうか。

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