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セブン、成長神話を棚卸し――再定義する「共存共栄」(経営の視点)

[ 2017年5月15日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

編集委員 田中陽

 43年前のきょう、東京・豊洲で産声を上げた「セブンイレブン」。大雨の中、最初の客が買ったのは800円のサングラス。雨は終日降り続いたが、初日の売上高(日販)は50万円。来店客は約900人。現在の中堅コンビニ並みの成績だ。ダイエー創業者の中内〓氏もこの日、約70平方メートルの店の視察に訪れた。

 行く先の暗い酒販店からセブンへの転換を決意した店主の山本憲司さんは当時、20歳代半ば。今も店を切り盛りし日販は200万円にもなる超繁盛店だ。

 約1万9000店、全店売上高約4兆5000億円。小さな店の集積が巨大小売業となったセブン―イレブン・ジャパン。本部と加盟店はフランチャイズチェーン(FC)契約で結ばれ、統制の取れた店舗運営が強さの源泉だ。一店一店が独立自営なため一店たりとも赤字経営は許されない。追随するファミリーマート、ローソンとて同じことだ。

 日本でコンビニが生まれて40年超。先月開かれたセブンの親会社、セブン&アイ・ホールディングスの決算会見で井阪隆一社長が発した一言が投資家、加盟店、同業など多方面に波紋を呼んだ。

 「この環境下では制度変更しないといけないと考えた」。創業以来かたくなに守り続けてきたセブンのFC契約の生命線、ロイヤルティー料率の修正に言及したのだ。店で稼いだ粗利額を本部と加盟店で分け合う料率を当面、1%引き下げる。1店で加盟店は年80万円潤う。逆に本部は160億円を失う。

 各店が右肩上がりの利益を続けていたから本部も加盟店も潤い、ロイヤルティー料は聖域でよかった。だが、人手不足による人件費高騰、社会保険加入の適用拡大で粗利の中からこうした諸経費を支払う加盟店側の負担増が無視できない事態になってきた。井阪氏の言う「この環境下」だと創業の理念である本部と加盟店の共存共栄の関係が揺らぐ恐れがあった。

 変化の激しい時代にあって40年以上も聖域でいられたのが驚きだ。出来のいいビジネスモデルなのは間違いないが取り巻く環境は様変わりしているのも事実だ。商店街のパパママストアからコンビニへの転換を進めてきたが今は駐車場が確保できるロードサイドやオフィスビル、駅構内や病院内などへの出店も多い。

 コンビニ経営のなり手も商店主から小売りを知らない事業会社や脱サラ組も目立つ。また後継者問題を解消するために零細店から転換した加盟店主らも年を重ね幾度のFC契約更新を経る中で後継者問題が頭をもたげるようになってきた。

 取扱商品やサービスも消費者の変化に対応して大きく変わった。レジ周りにある唐揚げなどの店内調理品、ネット通販商品の受け渡し、税金などの収納代行、ご用聞きのような宅配は創業時にはなかった。当然、収益構造も変わる。

 変化対応こそがコンビニの真骨頂とするなら、社会インフラとなった21世紀型コンビニのビジネスモデルの構築や手厚い加盟店支援の施策作りに取り組むべき時期だろう。持続的成長のためにビジネスモデルの棚卸し、コンビニの再定義が必要だ。

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