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450万人の衝撃無期雇用迫る新ルール(上)人手不足、囲い込み急げ、大企業、待遇改善で先行。

[ 2017年8月9日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 パートなどで働く人の雇用ルールが2018年4月に大きく変わる。有期契約で5年を超えて働く人が申し出ると、企業は無期雇用に転換しなければならなくなる。対象者は約450万人。深刻な人手不足を背景に大企業はいち早く人材囲い込みに走り、中小企業には戸惑いが広がる。

地域総合職の道も

 「この会社でキャリアを積んでいきたい」。明治安田生命保険の人事部で社員の社会保険の事務を担当する篠井ゆいさん(36)は4月、有期契約から無期に移行した。同社は無期転換ルールを見据え、まず4月に評価が高い一部の有期社員を無期に転換。19年4月には全員を移行させる。篠井さんは今月から産休に入る予定で「安心して休める」と話す。

 同社の有期社員は全国一律の基本給だが、無期社員には仕事のランクに応じた資格給を支給する。仕事の評価で決まる賞与も用意し処遇改善に力を入れる。簿記検定など資格取得の報奨金も出し、能力に応じて地域型総合職への道も開く。

 厚生労働省の調査では有期契約で働く人のうち、約38%が無期への転換を希望した。雇用期間が5年超の人に限った調査ではないとはいえ、無期転換ルールの対象者約450万人のうち、170万人規模が無期転換を申し出る可能性が浮かび上がる。

 企業を対象にした労働政策研究・研修機構の調査では、63%がなんらかの形で無期雇用に切り替えていくと回答。このうち43%がフルタイム契約を正社員に転換すると答えた。

働く人に選択権

 企業は処遇改善を義務付けられていないが、正社員の有効求人倍率が04年の調査開始以来、初めて1倍を超えるなど「売り手市場」の様相は一段と強まっている。新ルールは働く人に選択権があるだけに、同業他社より待遇が劣れば人材流出が相次ぎかねないという懸念も根強い。

 J・フロントリテイリングは契約期間が1年を超える約1600人を無期契約に切り替え、長期休職も無給から有給に変更した。宝飾店のスタージュエリーも契約社員の給与を正社員と同じ水準に設定。人件費は約6千万円増えるという。

 基本給など所定内給与を比べても、非正規の賃金は正社員の6割程度。正社員など無期雇用への転換が進めば、「持続的に賃金も上昇する公算が大きい」(大和総研)。負担に耐える余力のある大企業を中心に新ルールを先取りした雇用転換や処遇の改善が広がる。

 人件費や業務の調整弁として活用されてきたパートなど非正規社員の決断が大きなうねりを生み出す。歴史的な人手不足が雇用の力関係に微妙な変化を巻き起こそうとしている。

 ▼無期転換ルール 同じ企業と有期契約を更新し、5年を超えると雇用期間の定めのない無期契約を申し込む権利を得られる。有期契約で働く人は約1500万人で勤続5年超は約3割を占める。2013年4月施行の改正労働契約法で定められ、13年4月以降の契約が対象。1年以下の契約で働く多くの人は18年4月に権利が発生する。

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