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16年度百貨店調査――衣料不振、モデル転換急ぐ、有力専門店を導入。

[ 2017年8月16日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 ピークの1991年には年間10兆円に迫った国内の百貨店市場。長く続く退潮の背景には利益率の高い衣料品の販売に売り場づくりが偏り、どこの店も人気のアパレルブランドや海外高級ブランドが並ぶ「金太郎あめ」に陥ったことがある。衣料品の販売不振という構造問題と向き合うなか、百貨店各社は立地や市場環境に応じ、有力専門店の導入など、生き残りに向けた多様な店舗形態を模索している。

 16年度の売上高が15年度を2・2%上回り、東京都心の百貨店で最も高い伸びとなった大丸東京店(東京・千代田)。8〜10階の3フロアで展開する生活雑貨店の「東急ハンズ」に加え、カジュアル衣料の「ZARA」やアウトドア用品の「ICI石井スポーツ」など店内には知名度の高い専門店が入る。

 運営する大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングはこうした「脱・百貨店」戦略で先行してきた。

 4月、Jフロントが森ビルなどと組んで開業した東京・銀座の「GINZA SIX(ギンザシックス)」は脱・百貨店戦略の象徴だ。旧松坂屋銀座店跡を開発した商業施設はあえて「百貨店」の看板を掲げず、収益の大半をテナントからの賃貸収入で稼ぐビジネスモデルに転換した。

 商品分野ごとの販売動向をみると、17年度も半数を超える百貨店が「婦人衣料」「紳士衣料」ともに販売額の減少を見込む。Jフロントの山本良一社長は「婦人衣料が好調だった時代に売り場を広げすぎた。17年度は衣料品を1割減らし、中長期的には3割削減することで過剰な売り場を適正にしたい」と話す。

 専門店との相乗効果を集客につなげているのは高島屋新宿店も同じ。新宿店が入る商業施設「タカシマヤタイムズスクエア」には家具・インテリア専門店の「ニトリ」が16年12月に出店。17年3月には新宿店の8階にカジュアル衣料のユニクロが手掛ける世界初の新型店「ユニクロ ムーブ」も導入した。

 大都市圏の郊外や地方都市に数多くの店舗を抱える三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦社長も「店舗によっては有力テナントの誘致も検討する。しかし、テナントばかりで成功するわけではない」と慎重な見方を崩さない。

 百貨店は本来、その名が示す通り多種多様な商品・サービスがそろい、その場に足を運ぶことが消費者にとっての「楽しみ」だった。「顧客の支持と採算の両立を忘れた瞬間、自主編集でもテナントでも生き残れなくなる」。阪急阪神百貨店の荒木社長の言葉はこれからの百貨店経営の難しさを端的に示している。

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