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インスタで消費動かす、インフルエンサー、10傑はこの顔!!、ママや犬、タレント超。

[ 2017年9月6日 / 日経MJ(流通新聞) ]

企業、女性誌からシフト

 若い女性に人気の画像共有アプリ、インスタグラム。特に発信力のあるユーザーは「インフルエンサー」と呼ばれ、カワイイ、おしゃれの伝道師として消費者を動かす。企業もその力を生かさずにPR戦略は語れない。強い味方になってくれるのは誰か。知られざる「インフルエンサー10傑」を独自調査でランキングした。上位には何とワンちゃんとママが――。

 フォロワー数が多いのは700万人超の渡辺直美さんを筆頭とした有名タレントだが、報酬が高すぎてPRには起用しにくい。そこでインスタのデータ分析を手掛けるノタリ(東京・渋谷)の協力で、独自ランキングを作った。企業の依頼を受けたPR投稿には「#PR」というハッシュタグ(分類コード)をつけるのが基本。ユーザーごとに過去1年のPR投稿を抜き出し「いいね!」を押された数を合計した。

 芸能人を押しのけ、4位に入ったAi.tさん(26)は普通のママだ。「友人がインスタの登録もしてくれて」、勧められるまま娘の渚ちゃん(3)の育児日記として始めた。渚ちゃんのあまりの愛らしさにフォロワーは19万人に。食事をしながら寝てしまう動画は100万回再生を記録した。画像の交流サイト(SNS)は、やはり「カワイイ」が絶対価値だ。

 インフルエンサーとしての可能性を企業は見逃さなかった。通販の千趣会は子供服、大塚製薬はポカリスエットでPRを依頼。Ai.tさんは「子育てにつながるものだけ」に絞ったが、それでも1年間で67件のPRを投稿する売れっ子に。

 ベビー雑貨「マールマール」を展開するYom(東京・渋谷)は「『かわいい』『これ着せたい』といったコメントが多く寄せられていた」ことから依頼した。別の企業は「フォロワーのコメントに丁寧に返信していること」に着目。フォロワーの属性が自社の商品に合い、かつ投稿者とのつながりが強いほどPR力は高まる。

 代理店を通し、タレントを起用し、資金も必要なのが一般の広告。インスタ広告はそんな常識を覆す。PR力のランキング1位は、素人どころか犬。マーケティング会社経営、小野慎二郎さん(44)が飼い犬の日常を紹介するアカウント「まるたろう」は261万人ものフォロワーがいる。4月、挙式大手のワタベウェディングのPRで投稿した写真には小野さん夫婦も登場し、12万「いいね!」を獲得した。

 国をまたぐ仕事を探していた小野さんは「写真でイメージを伝えられ、言葉の壁を越えるのにぴったり」とインスタに着目。東日本大震災後、癒やしになればと飼い犬の姿を投稿し始めた。海外との時差を意識し、朝昼晩の1日3回投稿する。

 インスタのメッセージ機能を使えば、企業は直接インフルエンサーと連絡が取れる。三井不動産やペットフード販売会社からPRの依頼が舞い込んだ。フォロワーの8割が外国人なので国内での効果は薄まるが、PR投稿数は1年間で53件、累計いいね!数は182万件に達する。

 依頼が増えすぎたため昨年、電通と契約した。「反社会的勢力など悪意ある会社を見分けるのは個人では限界がある」。積み上げた信頼をPRで壊しては元も子もない。PRは1カ月に1〜2本に絞った。

 インスタのユーザーは「F1層」と呼ばれる20〜34歳の女性が中心だ。情報感度が高く、拡散も早い。インスタは他のSNSと違い、画像ファーストで商品イメージがおしゃれに伝わる。インフルエンサーはさりげなく商品を薦めるコメントを添え、広告主のサイトに飛ぶリンクをつける。

 様々な関係者に聞くと、PR投稿の報酬は1フォロワー当たり数円〜十数円、あるいは投稿ごとの固定報酬となっている。ある大手アパレルの場合、1人のインフルエンサーへの依頼料は年間200万円程度だ。ただ、活用に本腰を入れる企業が増えた結果、「イベントに呼ぶ料金がどんどん上がっている」(大手化粧品メーカー)との声もある。

 ビジネスチャンスと見て、インフルエンサーと企業をつなぐサービスも登場している。その1社、レモネード(東京・港)の石橋尚也・最高経営責任者(CEO)は「企業ブランドとのフィット」を重視する。普段、高級ブランドばかり写している人がカジュアル衣料をPRしても効果は薄い。また、顔の自撮りが多い女性だとフォロワーの8〜9割を男性が占めることもあり「男性商材のPRが向いている」。

 ビジュアルに優れたモデルはやはり強い。3位の横田ひかるさん(22)もその1人だ。ユニクロと契約し、送られてくる服を着こなして自撮りする。服が大好きな横田さんは、PRと関係ない私服姿の投稿でも「フォロワーの人がマネできるように」と着用ブランドのリンクをつける。

 ユニクロの依頼を受けた理由も全国に店舗があり、地方の人が手に入れてマネしやすいから。「フォロワー思い」の姿勢はやはり、インフルエンサーの条件といえる。

 「若い子は夜8時から10時の間にインスタを見る」といい、投稿する時間帯にも気を使う。後ろ姿や動画も加えて分かりやすくすると反響が大きいという。

 女性誌の衰退と、インスタの隆盛は裏表――。そんな解説をするのは、約3000人が登録するインフルエンサー仲介会社、タグピク(東京・渋谷)の安岡あゆみCEO(29)だ。自身も12〜25歳まで読者モデルとして「CanCam」などに登場していた。

 着飾った姿を見てもらうという点で、女性誌とインスタは同じ。ただ、「AneCan(アネキャン)」が昨年10年の歴史に幕を閉じるなど、雑誌は振るわない。先の横田ひかるさんも、契約誌が休刊になる憂き目にあった。彼女たち、そして女性誌を通じ情報発信してきた企業の受け皿として、インスタが勢いづいているという訳だ。

 安岡さんは「インスタは動画を加工するフィルター機能など、若者をひきつける改良が常に行われている。人気はしばらく続く」と見る。

 もっとも、若い女性の好みや流行は移ろいやすい。今回のランキングも直近3カ月で集計すると、10人中6人が入れ替わる。SNS自体も次々と新顔が現れ、ユーザーが大移動する。今、旬のインフルエンサーは誰なのか。MJで今後もしっかりフォローしてお届けしたい。(佐竹実、鈴木慶太)

 ▼インフルエンサー 交流サイト(SNS)などでの情報発信を通じ、フォロワーらの消費行動に影響を与える人のこと。2000年代半ばに、米国で人気ブロガーの情報発信力に企業が着目し、マーケティングに役立つ人や集団として認識されるようになった。

 フォロワーが数十万を超える有名人や芸能人だけでなく、1万〜10万人の「マイクロインフルエンサー」、1000人〜1万人の「ナノインフルエンサー」などと分類されており、訴求する商品や消費者に応じて企業が使い分けている。

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