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産業景気予測特集――経営者の目、石黒成直・TDK社長、他11名。

[ 2017年10月5日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

石黒成直・TDK社長
スマホ向け部品堅調

 例年秋にピークを迎えるスマートフォン向けの部品は今年も堅調だろう。韓国サムスン電子や米アップルなど大手が新機能の搭載を積極的に進めており、部品メーカーが付加価値を提供できる余地が広がった。

 自動車向け電子部品も2桁に近い成長が続く。電動化や電装化、通信機能の搭載が着実に進む。ひときわ好調なのが産業機器分野だ。世界的に半導体製造装置やロボットの投資意欲が旺盛で電子部品の需要が拡大する。

御手洗冨士夫・キヤノン会長兼CEO
ミラーレス一眼が台頭

 デジタルカメラ市場の縮小が叫ばれているが、スマートフォンで写せない範囲の広角や望遠機能を持つ機種は全く減っていない。機種によっては前年を上回る伸びだ。特に、ミラーレス一眼が台頭している。

 2017年は前年比で少しずつプラスになってきていると感じる。カメラ所有率の低い発展途上国でも、カメラを持つ人口が増えている。カメラ事業に関しては希望を持っており、将来的に悲観はしていない。

平野伸一・アサヒビール社長
ワインや洋酒がけん引

 6月の酒税法改正による店頭でのビール系飲料の値上がりは、当社では月間の販売数量を約3%押し下げる影響があるとみている。長雨や日照不足など天候不順が直近は響いたが、9月に入り販売はまずまずの動きだ。

 秋以降はワインや洋酒などビール系以外の販売が伸びる。足元では缶チューハイも好調。これらの商品で販売をけん引する。ビール離れした消費者の受け皿ともなれるよう、総合酒類会社として競争力を高める。

山本良一・J・フロントリテイリング社長
訪日客リピートに対応

 訪日外国人のインバウンド需要は過去最高だった2015年度を上回るペースだ。以前のような高額品の「爆買い」は鳴りをひそめ、化粧品など消耗品の売れ行きが伸びている。

 格安航空会社(LCC)を利用して気軽にアジア各国と行き来できるようになった。訪日客は一度限りの旅行者ではなく、商圏内に住む常連客と同じようにとらえるべきだ。サービスや商品提案も、リピート利用を前提に考える必要がある。

馬城文雄・日本製紙社長
古紙高騰でコスト増

 紙の需要は依然として厳しい。年初の見立てよりは善戦しているが、下げ止まるとは思えない。気がかりなのは段ボールの原料となる古紙だ。

 ネット通販の拡大で段ボールの需要が世界的に高まる。中国が環境規制を強化する中で日本産の古紙の取り合いも激しくなり、古紙価格が高騰している。コスト増の要因となっている。各社は洋紙と段ボール原紙の値上げを実施した。この価格をいつまで保てるかが当面の課題となる。

森雅彦・DMG森精機社長
中国で本物求める声

 中国の需要は強いと思う。顧客が非常に成長してきた。いままで購入資金がなかったのに加え、国営企業の製品を買わなくてはならない事情もあった。だが、それではいい商品が作れないというのがわかったようだ。

 本当の技術を求める声が強くなり、我々の機械を買い始めている。安定した加工精度はドイツか日本でしか実現できない。工作機械受注の好調がいつまで続くかはわからないが、今の状態が普通だと思っている。

菊地唯夫・ロイヤルホールディングス会長兼CEO
節約志向が根強く

 株価や所得の上昇もあり、消費の底堅さは見られるものの、勢いがあるわけではなく、外食業界は、引き続き大変厳しい状況にある。消費税の引き上げを控え、将来の年金不安などに対する節約志向が根強い。ここ数年、消費を支えてきた団塊の世代の消費減退などの影響も出始めている。

 値下げが一色だったが、少し値上げがまだら模様に出てきている。デフレが20年間続いているので、少しずつ是正すべきものが変わっていく。

近沢靖英・ダイエー社長
値下げに効果 方針継続

 節約傾向は続く。当社も数回にわたってベーシックな商品を値下げしたが、効果が出ており、方針は継続する。値下げをすると、デフレに逆戻りといった形で批判されることもある。

 だが、世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズのように、値段を下げたことで成長し、地域を発展させた事例は多くある。人工知能(AI)など技術革新により、固定費は下がっていく。値下げをことさら悪く見るのは誤りだ。

西本利一・東京製鉄社長
鋼材市況が上昇傾向

 2020年東京五輪・パラリンピック向けの需要がようやく出てきた。首都圏の再開発案件は後ろ倒しになるケースもあり、20年以降も一定の鋼材需要が見込める。

 世界の粗鋼生産の半分を占める中国が過去最高の生産を続けている。それでも内需で吸収し、輸出が減り、市況も上昇傾向だ。中国当局は鉄鋼メーカーのヤミ設備の取り締まりを進めており、供給過剰で鋼材価格が大幅に下落する事態はあまり想定していない。

瀬川大介・リコーリース社長
中小企業でも投資増加

 国内のリース市場は頭打ち傾向だが、設備投資は底堅い。訪日客対応や、人手不足に伴うIT(情報技術)化への対応も進み、取引先の中小企業でも計画を上回る投資実績が出てきている。特殊車両や建設機械の需要は今後も伸びるだろう。

 情報機器は基本ソフト(OS)の更新に伴う本体の切り替え需要が今後動き出す。日銀のマイナス金利政策の影響で、資金の調達コストは下がっているが、地銀との競争は厳しさを増している。

大隈郁仁・東急不動産ホールディングス社長
都心居住の流れ続く

 住宅市場は大きな流れとして子供のいない共働き世帯(DINKS)やシングルなどがけん引して都心居住の流れが続いている。郊外の一部では駅から離れていたりする物件については売れ行きが鈍くなっている。

 ただ都心の物件は好調な動きをみせており、全体的には心配する状況ではない。上昇が続いた新築マンションの販売価格も天井が見え始めてきたが、施工費や地価などの原価を積み上げると価格は下がらないだろう。

徳広英之・トモズ社長
外出増のシニアに期待

 総人口が減少するなか、ドラッグストアの利用人口は伸びている。企業の定年延長の動きなどを背景に、外に出る機会の増えたシニア層が化粧品を購入する頻度が上がった。単身世帯の増加も追い風だ。洗剤などの日用品をドラッグストアで購入する男性客も多い。

 ただ消費環境は厳しさを増している。価格と価値の見極めがシビアになっているという印象だ。取り扱う商品の品ぞろえや価格帯の設定がますます重要となる。

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